スプートニクの恋人 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062731294

感想・レビュー・書評

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  • 恐らく20年とか昔、読みかけで放り出して忘れてたのだと思う(多分当時の僕は読書より音楽仲間と連む時間を優先してたし)けど、後半の記憶が全くなかったおかげで読み終えた今、新鮮な気分…

    すみれが素敵。ハードカバーで欲しくなりました。

  • 「僕」のすみれに対する想い、出会えた喜びが真っ直ぐに伝わってくる。
    成就するとかしないとかはともかく、こんなふうに人を愛せたら、幸せなんだろうなぁ。
    これはミュウとすみれの物語ではなく、確実に僕とすみれの物語だ。

    地中海に浮かぶ、ギリシャの小さな島の風景や、ミュウの観覧車の話は、まるで映画のワンシーンのようだった。

  • 夜遅くに読み終えたのも相まって、とんでもない寂寥感

    "正しいこと"ってなんなんだろう?


  • 村上春樹の中編のなかではダントツに好きな本。
    なにがすきかって登場人物たち。すみれちゃんが特に好き。
    大胆だけど繊細で、素直で、突如大嵐のような恋におちたすみれちゃん。
    その恋が彼女を幸せにするかとか、どのような意味をもつかとか、そういうのはわからないけど、恋はそんなもんだよね。
    終わりかたも良い意味で村上春樹らしくなく、すみれちゃんのことが村上春樹も愛おしくなっちゃったんだなとかんじた。

  • すみれが生まれて初めて恋をした時の気持ちを「広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻」と例えた所が印象的。

    私も「言葉」をもっと覚えよう。
    そして「表現」を身に着けよう。
    そしたら、もっと上手に気持ちを伝えられるようになるかなぁなんて思った。

    「ぼく」に感情移入した。
    というより、あたしは「ぼく」に恋をした。


    もし、「ぼく」が高いところに上って、自分の目で確かめようと決心して実行したら、そこから降りて来る時、あたしは迎えに行きたい。
    そんぐらい、「ぼく」が好き。


  • 孤独について

  • 久々の村上小説。儚く強い登場人物たち、美しい景観、堪能できました。ごちそうさまでした。

  • 非常に面白かった。特に村上春樹の作品をそこそこ見てきただけに要素要素が詰まっていて、村上春樹が織りなす物語とは何かの一片が見れた作品。異世界へと飛んでカオスになる物語がねじまき鳥や世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド、羊を巡る冒険とかで描かれていたけれど、これは最初かなり国境の南、あるいはノルウェイの森のようにストーリーライン自体は非常にシンプルで分かりやすいものだった。特に前半部分。今までとは違って主人公からヒロインに抱く恋心というものが、ヒロインは「性欲」という形で持って一切応えられない、そしてそれをお互い知っていながらも、ヒロインが主人公を「大切な友達」として求めているのがとても良い。そして彼女が恋に落ちながら、それを何事もないかのように相談に乗り、そしてギリシャまで出向いて彼女を探すのも美しい。そして、その恋された人も素敵であるが過去によって喪失している人間で、すみれから迸る、そしてぶちまけられたパッションに応えることができない。
    そしてすみれが消失してしまうかと思いきや…
    ここら辺の描写がかなり今までの作品と比べたら比喩的にめちゃくちゃストレートに描いているなという印象がある。たぶんそんなに村上春樹を読んでいなくてもいったい何が起こっているのか?というものがある程度ぼんやりと物語の中で体験できるのが良かったと思う。論理的に立ち戻らないでも、テクストとして楽しめることができるので、そういう意味では記念碑的な作品じゃないかな。村上春樹とはどう読めばいいのか?それは自由でいいんだ。たとえこのスプートニクだけに限らず他の作品もみんなそうであると思わせてくれた作品。
    インタビューも非常に面白かった。カフカについても触れていて、自分の作品はそんなに難しいことを考えなくてもいいし、自分もプロットで全てを厳密にどう書こうと決めているわけではない、と言っていたのが印象的(Wikipediaの出典のリンクにあった)
    とにかくラストも良かった。いいね。

  • 久しぶりの村上作品。村上さんの作品の魅力をギュッと詰め込んだ濃厚な作品だと思います。
    最後に「ぼく」の教え子(彼の母親と「ぼく」は関係を持っている)の万引き事件から「ぼく」の彼への独白といったような場面がこの作品の幕引きで、救済なのだと思った。「あちら側」に行ったミュウをすみれは「こちら側」に連れ戻すことはできなかったと思うけれど、「ぼく」の下へは戻ってくることができたのか?
    300ページほどの中編作品のため勢いで読んでしまいましたが、じっくりと読むといろいろなものが見えてくると思いました。 

  • 「どんなことでもそうだけれど、結局いちばん役に立つのは、自分の体を動かし、自分のお金を払って覚えたことね。本から得たできあいの知識じゃなくて」

    「長いあいだ一人でものを考えていると、結局のところ一人ぶんの考え方しかできなくなるんだということが、ぼくにもわかってきた。ひとりぼっちであるというのは、ときとして、ものすごくさびしいことなんだって思うようになった。」

    「彼女の髪は髪留めで後ろにまとめられ、ちいさなかたちのいい耳が露出していた。さっきできたばかりのようなすてきな耳だった。」

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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