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スプートニクの恋人 (講談社文庫)

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著者 : 村上春樹
  • 講談社 (2001年4月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062731294

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スプートニクの恋人 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「ぼく」の語りによって描かれる
    「ぼく」とすみれとミュウの間に横たわる様々な形の愛と欲望。
    自分の好きな人が自分以外の何者かへの愛によって変わってしまう、止められない変化を隣で眺めている。
    失われていく様を。
    そして扉が開いて、彼女は行ってしまった。

    迂遠な比喩に溢れ、孤独で感傷的な夜があり、異国的に緩やかな時間の流れ、いくつかの女の子との文化的な営み、喪失感との対峙、社会に馴染まない魅力的な女の子、世界の狭間みたいな場所。
    ふんだんに味わえる春樹節が連れてってくれる彼の世界がなんだか懐かしくすらある。

  • <あちら側とこちら側>のパラレルワールド、大事な人と切り離される喪失感に強く共鳴する。

    <すみれの存在が失われてしまうと、ぼくの中にいろんなものが見当たらなくなっていることが判明した。まるで潮が引いたあとの海岸から、いくつかの事物が消えてなくなっているみたいに。ぼくにとってもはや正当な意味をなさないいびつで空虚な世界だった。>
    <ぼくらはこうしてそれぞれに今も生き続けているのだと思った。どれだけ深く致命的に失われても、どれほど大事なものをこの手から簒奪されていても、あるいは外側の一枚の皮膚だけを残してまったくちがった人間に変わり果ててしまっていても、ぼくらはこのように黙々と生を送っていくことができるのだ。手をのばして定められた量の時間をたぐり寄せ、そのままうしろに送っていくことができる。日常的な反復作業として-場合によってはとても手際よく。>

  • 初 村上春樹。冒頭から畳み掛けてくる、巧みな
    文章に引き込まれた。

    現実味があるようで、どこか霞がかかったような
    人物像も独特で面白かった。

    ほかの作品にもチャレンジしようと思った。

  • 表現方法がすごく好きです。引き込まれるような展開
    や一気にページをめくるような物語ではありませんが、ふとした空き時間に読むとやはりおもしろくなんだかんだ最後まで読めてしまいます。
    結局どうなったのか、読み手にいかようにも想像させてくれる結末で個人的にはよかったです。

  • この人こんな文体だったっけと、何よりもまず感じた。丸括弧による挿入が気が滅入るほど多く、序盤で投げ出そうか迷った。しかし、読み終わるとそこそこ良かったんじゃないかと思う。説明のし過ぎのようにも感じた。丁寧に書いたんだろう。

  • 久しぶりの村上春樹。歳をとったからか、哲学的な持ち味に昔ほど心踊らない。もっと即物的なものに満たされた生活に慣れたからか。
    ともあれ、ギリシャの神秘的な体験の表現とかはさすが。すみれとぼくとミュウの関係性はまさにスプートニク。頭のウニョウニョさせたい時は、中毒性があるね。

  • 暴力的なほどの性欲と、もどかしいまでの切なさが、良い具合に混じり合う小説。

    物語の舞台は東京の中央線沿線からギリシャの小島へと移っていく。
    展開としたら唐突なはずなのに、地理的な距離感を飛び越えて、連なるような意識世界を構築する。
    美しすぎるほどの描写で描かれるギリシャの島の情景が、夢幻的な魅力を与えてくれる。

    物語の軸は「たまたま」年上の女性に恋をしたすみれ。
    だが、すみれが自らを語るのではなく、すみれに恋をする「僕」の視点から世界は切り取られる。
    僕がすみれを愛しても、それは叶わぬ(というか叶えられぬ)行為であり、僕はそれを理解している。
    それはすみれも同じであり、縮まることも広がることもない距離感が、痛い。

    ラブ・ストーリーとは言えど、結果として恋愛模様があるわけではない。
    「血が流れる」ほどの衝撃が、そこにはある。
    非現実なハッピーエンドへと結実するその過程は、身につまされる居心地の悪さとともにひとつのカタルシスへと導いてくれる。

  • ギリシャに行ってみたくなる。この世の全ては夢幻。

  •  性欲メイン。

     人間臭いはずなのに、どうしてだか人間のにおいがしないんだよなぁ。生きてるにおいがしない。不思議。主人公もそうだし、すみれもそうだし、ミュウもそう。ミュウはともかく他二人は性欲があるのに、どうしてもそこに「人間らしさ」が見えない。隔離された別の場所にいるアンドロイドの劇を見てるみたい。
     単純な疑問なんだけどさ、そう簡単にガールフレンドとかって作れるもの? セックスってできるもの? 基本引きこもりのコミュ障だから、ひとづきあいってすごく限定されてるんだよね。そんな簡単にセックスをするだけの付き合いの相手って見つけられるものなの? って疑問が常に付きまとうので、どうしても「同じレベルにいる人間」に見えないんだなぁ。たとえば、この主人公がどこかで下手うって相手を妊娠させただとか、二股ばれて大修羅場だとか、そういうのが盛り込まれてたらまだ人間として読めたかもしれない。本命には性欲を抱いてもらえないかわいそうさってのは、ただ悲劇(かどうかは知らんが)の主人公っていうエッセンスを加えてるだけで、人間味はないもの。
     ミュウの観覧車のくだり以降が劇的に面白くなる。そこまではちょっとつらい。
     主人公がさ、夜中に音楽を聞いて山上りするじゃない。そこで、「こちら側」に戻ってこなければ、彼はすみれのところに行けたんじゃないかって思うんだけど、そういう認識であってる? たとえその音楽を聴いたくだりそのものが夢でしかなかったとしても、ここまではっきり覚えているのなら、一度くらいは、「戻ってこなければすみれに会えたのでは」って考えてもよさそうなのになって思いました。
     村上春樹がすげー好きなひとは、作品のどこについて語るんだろう。ストーリィ性? 登場人物の思考? 地の文の表現? 今のところ三作しか読んでないけど、全部同じ主人公ですって言われても驚かないよ? 感想を聞いてみたい気もするけど、めんどくさいから聞きたくない気もする。
     抜粋。


    ぼくの本物の生命はどこかで眠りこんでしまっていて、顔のない誰かがそれをかばんにつめて、今まさに持ち去ろうとしているのだ。


     ところどころある面白い表現が好きです。脳味噌食べる猫のくだりも好き。

  • 話の終わり方が好きだ。気持ち良い終わり方だった。村上春樹の小説でも好きな方だ。相変わらず音楽に関する描写が丁寧で、個人的にはそういうところが読みたくて、村上春樹読んでる感じ。

  • よかった。けど寂しかった。親友欲しい。最後は希望をもって終わることができてよかった。

  • 「スプートニクの恋人」村上春樹。
    読み始めてすぐに「もしかして?」。
    中盤でハッキリ言及され「やっぱり!」。
    この小説、舞台が、東京都国立市なんです。主に。いや、一部が、かな…。
    だからなに? と言われると、何でもないんですけど。自分が若い頃に寝起きしていた街なので、懐かしいなあ、というだけで。この本の魅力なり本質と言うものとは、関わりはありません。いや、無くもないのか…
    どことなく浮世離れした、と言っても所詮は多摩地方である、という小奇麗でサバーバンで文教地区で山口百恵な感じが、ムラカミハルキワールドにけっこうイケるんぢゃないかなって思いました。間違っているかも知れませんが。(村上春樹ワールドについてと、国立市についての両方とも)
    たしか、「ぼく」が国立市に住んでいて、「すみれ」が吉祥寺の設定だったと思います。中央線コネクションですね。
    #
    1999年に発表になった村上春樹さんの小説。
    らしいと言えばらしい、そして村上さんの小説の中では、長編というよりも、「長い短編」と言うべき系譜に所属する気がしました。
    「羊をめぐる冒険」「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」「海辺のカフカ」「ねじまき鳥クロニクル」などのような、なんていうか複数の断層があるような感じではなかった、というだけの意味ですが。
    #
    語り部は「ぼく」で、日本の都市部で暮らす20代の男性。仕事は小学校の教員。
    その「ぼく」が恐らく大学生時代からなのか、付き合いである女友達が「すみれ」。
    簡単に言っちゃうと、すみれちゃんは小説家になることを信じて疑わず、親が開業医で金があるために仕送りで暮らし、ロックでアウトローな雰囲気と外観で朝寝て昼起きてタバコを吸って小説を書くのだけど一つも書き上げることなく暮らしている。
    そして、ほとんど依存の関係のように「ぼく」に深夜電話をかけてきたり、とにかく絡んでくる。
    「ぼく」はずうっとそんな「すみれ」のことが大好きなんだけど、男女としては相手にされないであろうことを感じていて、タダの友人関係に甘んじている。仕方なく別に男女関係の相手を作ったりしているのだけれど、やっぱり好きなのはすみれちゃんだった。
    そんなすみれちゃんが22歳のときか、強烈な一目惚れ、運命の恋に落ちます。相手は、かなり年上で、相当なお金持ちの実業家で、韓国籍の人で、既婚者で、そして女性だった。物語の中ではミュウという呼び名。そして、このミュウさんは別段同性愛者ではない。
    ミュウを求めるすみれ、すみれを求める「ぼく」。三人の物語は東京からギリシャの島へと移り、すみれは失踪した…。
    #
    と、言うようなお話。
    すみれちゃんの、ミュウさんへの恋心の経緯を追っていく物語は、起承転結で言うと「転」のあたりで、「えっ?」という急展開を見せます。言ってみればそれまで、洒落た心理描写と語り口の一風変わったよろめき恋愛物語みたいだったのが、突然、カフカ的な不条理のるつぼに叩き込まれる感じ。
    なんだけど、そんな中にもしっとりとロマンチックが止まらないのが村上春樹さんの暴走する恥ずかしさ。素晴らしさ。
    ちょっと途中で「分かったからもう次に展開してください」と訴えたくなる思わせぶりな生殺しの時期もありましたが、総じて憎らしいくらいに先を焦らして意外に転がして、どきどきわくわく読ませてしまう。
    そんなカッパエビセン風味も、「長めの短編」感がありました。「多崎つくる」とかと似ています。
    で、まあ、相変わらず恋愛なんです(笑)。でもそれでいいんです。恋愛について描かれているけれど、その向こうに伝えたいことってきっと恋愛性愛ぢゃ、ないんだなあ、って言う気がします。
    なんでも上手く書ける人は居ません。
    #
    読後に後味として僕が感じたのは、「社会に出る。世... 続きを読む

  • なんと言えばいいのかわからない。
    おもしろかったし、深く考えるところもあった。
    ほかの村上春樹の本を読んでいないので、この話がわかることは無いと思う。
    村上春樹の他の作品を読んでから出直してきます。

  • ぼくとすみれ、ぼくとにんじんのお母さん、そしてすみれとミュウの恋愛関係は生活感がなくて、とてもさらりとしていて心地よさそうだ。ギリシャの小さな島での描写も暑いのに涼しげで好きだ。すみれの貧乏も悲壮感がなくてむしろ潔い。何かを感じてそれが何かを知りたくて、物語の世界に気持ちよく浸ってしまうんだけど、結局何かを見つけられた気にはならない。感じるんだけど何かを学んだりした訳でもない。だけど、引き込まれてしまうのはなぜなんだろう?

  • なぜか、年明けに村上さんを読んでいる。たしか…ランゲルハンス島も新年に読んでた。
    村上さんを読み始めた頃は、主人公がいけ好かなかった。あまりにも俺に無いものを持っていて…
    ところが、今回は共感すら覚え。
    まるで、俺の気持ちを代弁して頂いているような錯覚。

    癒された。いや、慰撫されたと言うべきか…

    Mahalo

  • 久しぶりの再読。こんないい本だったとは。前読んだときより響いた。やっぱりタイミングってあるんだな。村上春樹はとくにそう思う。

  • すんなりとストーリーを追うことができて読みやすい。それでいて随所には「らしさ」も織り込まれているので、村上春樹の本への入口としてお勧めしたい作品です。

  • 失われた自分、それって時々感じる物足りなさかな?満たされない気持ちかな?時々どうしようもなく寂しくなったり、誰でもいいからそばにいて欲しいとか、そういうの?
    もともと失われてしまっているのかも。

  • 題名で避けていたけど面白かった。
    ギリシャいってみたいな。

  • ワッと盛り上がりがあるわけではなく、
    ただ静かに静かに水のように流れて、ゆっくりゆっくり止まっていくような物語。
    主人公は最後、失われた自分自身の半分、つまりすみれを探して、「あちら側」へ行ってしまったのかもしれない。月の描写と血という表現がそう感じさせた。
    けど、主人公にはきっとそれが幸せ。

  • この小説が好きで4回目の読了。
    登場人物が少なく、物語の世界も限定的。
    ひどく孤独な恋の物語。
    一人の人生がどんなに豊かでもやはりその活動できる範囲は限界が有り、ほとんどの人は狭い世界を限定的に生きる。
    大切な人も絞ってみると非常に少ない。
    そんな限定的な人生で出会う人達はやはりそれだけで物語が完結してしまえる程、存在感がある。
    どんな人生が良いのかわからないけれど、こんなスモールワールドでも充分幸せに物語を紡いで行ける。

  • 村上春樹は文章が気に障るっていう話でとある人と盛り上がった。そうなの?あるいは。みたいなやりとりとか。言葉の選び方が、ひとつひとつひっかかる。良い意味でも悪い意味でも。だからずっと違和感を抱きつつ、でも読んでしまう。

  • 湖畔で椅子に寄りかかりながら

    読みたい本

  • 定期的に村上作品が読みたくなるごく自然な衝動に従い、読んでみました。でも思った以上に読み応えがあって、なかなかすんなり先に進んでいきませんでした。学校の先生をしている主人公と、ミステリアスな女性すみれとの関係は付かず離れずというのか、その関係性がもはや文学です。年上の女性ミュウに漂う不思議な雰囲気とか、すみれが失踪してしまう南の島とか、万引きしてしまう生徒と対面する僕とか、全部が村上春樹ブランド、って感じで良いんです。

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スプートニクの恋人 (講談社文庫)の作品紹介

22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。-そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー。

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