文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 7783
感想 : 623
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  • Amazon.co.jp ・本 (1376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062732475

感想・レビュー・書評

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  • 箱根の明彗寺を舞台に京極堂の詭弁が冴え渡る。京極堂のベスト3は「姑獲鳥の夏」「魍魎の匣」そして「鉄鼠の檻」。憑き物落としはシリーズ最高の出来ですね

  • いや〜、面白いし、没入感半端ないけど、疲れたぁ
    百鬼夜行シリーズは手を出すと、ほかのエンタメが止まるなぁ

    今回は私の大好きな関口くんがちょっと出番少なめ、悩み少なめだったなぁ

    あと、登場人物が爺さん多すぎて、たまにちょっと笑う。
    ジジイ元気いっぱいだの〜って。

  • このシリーズは凄まじい没入感が味わえるから好き。
    京極堂の詭弁や蘊蓄は当然ながら、題材となる“禅”について最低限の知識を頭に入れておかないと全くもって理解しがたい事件だった。
    その点を読者に分かりやすく伝えるために枚数を費やしたのかと思うと、1300頁を超えるのも納得。
    存在の知られていない寺で僧侶が次々と殺される。
    それには驚きの真相が待ち構えていた。

  • 【2021年38冊目】
    とにかく分厚い鉄鼠の檻。片手で読んでいると疲れてくる。久々に読みましたが、思ったよりも難解ではなく、8割型は理解出来ました。珍しい。

    過去の事件の登場人物が出てくると「おっ」となります。もちろん一冊完結なんですけど、ゆるりゆるりと全てが繋がっているのが読んでいて楽しいです。

    「ーー」をこんなに効果的に使う作家さんを私は京極夏彦さん以外に知らないなと思っています。

  • 京極堂シリーズ読み直し中 2周目読了
    最初から最後まで朗読してみた

  • 箱根の長旅からようやく帰還。
    でも、今回は京極堂の蘊蓄が少ないから読み易かったことは確か。
    毎回思うけれど、事件の順序を確認しないといかんかな。
    スティーブン・キングと同様、読み始めるには覚悟が必要。
    次はいつのことになることやら。

  • 雪で覆われた箱根で次々と殺されていく僧侶たち。白と黒のコントラスト。凍えそうな空気と張りつめる緊張感。読んでいて、情景を、温度を、色を、肌で感じた。
    とにかく長く重い一冊(小口だけ見ると、大きな絹豆腐のよう)だが、主軸となる事件のほか、数々の謎をどう解くか……先の展開が気になり、中弛みすることはなかった。
    慈行の、お堅く冷たく、そして美青年というキャラクターが、今作において、華やかな存在だった。ラストの彼の行動も含めて、個人的にとても印象的な人物。

  • 益田くんが出てくるところで、にやっとしてしまった‥。
    言葉にできない、言葉にしてはならないものを書いた本がこんなに分厚いとは?
    禅は日本語と馴染む、という部分になんとなく納得。
    初めから外に居る京極堂に高まる!

  • 普段あまり関わりのない宗教、寺、禅。
    中身が濃ゆかった(笑)。禅の意味、悟るとは、山奥のお寺でそんな答えのない修行をしている僧達の狭い世界での小宇宙が広がっている。

    犯行動機の「悟り」。
    自分が見つけられなかった答えを持つ人への羨望と憎しみが自分にはおもちゃを欲しがる子供のようで、いくら修行をした偉い人でも欲は捨てきれないものなんだなぁ

  • なんとなく敬して遠ざけてきた京極夏彦の長い小説。
    読み始めてみれば、イコノグラフィを思わせるような様々な登場人物同士の含蓄のある会話によって物語が進行する。聖なるもの、卑俗な欲望、少しの飛躍、歴史的ないきさつ。箱根山の人里離れた夢のような檻の中の出来事。
    禅とはこういうものなのかと、どの程度真に受けて理解したつもりになっていいのか、怪異小説の体でもあり、悩ましいところでもある。

  • 物語を楽しみつつ禅の知識を仕入れられそうだったのでよんでみた。

    相変わらずの重たい空気、ありえない展開にんなアホなと思いつつ、程よく禅の知識をつけられた。

    日本に伝わった南宋禅だけでなく北宋禅やらなんやら色々調べてみたい。

    体系的な知識を積み重ねるだけでは大悟などは到底至らないのでしょうが。

    日々の生活の中で公案も生かしてみたい。

  • 過去三作を凌ぐ1300頁越えの大作。人里離れた禅寺での不可解な連続殺人事件に挑む京極堂一派、レギュラー陣は序盤から登場し、京極堂も終盤を待たずに本格参戦。前作での焦ったさは解消され、更には過去作の因縁も浮上。長丁場ながら盛り下がることなく、中盤以降は散らばったピースが加速度的にはまり出す。蘊蓄パートも今まで以上に本編と密接に関連し、物語により一層深みを与える。パーティに鳥口君がいると重苦しさも緩和されるし、初登場・山下警部補も中々憎めないキャラクター。うーむ、このシリーズの【檻】から暫く出られなさそうだ。

  • 再読
    とある商談のため、箱根山中の旅館「仙石楼」に滞在していた骨董商、今川雅澄は『姑獲鳥の夏』の一件以来東京を離れて同旅館に居候していた久遠寺嘉親と出会う。時を同じくして、仙石楼へとやってきた中禅寺敦子と同僚の記者・飯窪、カメラマンとして同行した鳥口守彦。彼女らは科学雑誌「稀譚月報」の取材のため、「明慧寺」を訪れようとしていた。だが、その「明慧寺」は京極堂こと中禅寺秋彦ですらその存在を聞いたことがないという寺でもあった。
    そんな中、仙石楼の庭園に忽然と僧侶の死体が現れる。周りに足跡はなく、不可解な現場に旅館は騒然となる。更には、神奈川県警の横暴な捜査に業を煮やした久遠寺老人は榎木津に調査を依頼し、関係者一同で明慧寺に乗り込む。そこには外界と隔絶された閉鎖的で独自の社会が形成されていた。同じ頃、京極堂は友人からの依頼で古書を運び出すため、箱根山を訪れていた。
    関口をして「檻」と形容せしむる明慧寺。その中で次々と僧侶たちが殺されてゆく。警察にも手に負えない明慧寺に憑いた闇を京極堂が落とす。


    百鬼夜行シリーズ第四弾である。
    今回は一見さんお断りの作品である。まず後々につながることなので、どうしても必要な事ではあるが、本の内容が禅に費やされている。これはシリーズを読み続けている方でも大変でしょう。ある意味作者に試されているような感じです。
    また今回は憑き物落しが少ない感じである。わかっている方は、これが禅の話が分からないとうまく入ってこない。
    ただ、以前の登場人物、新しい登場人物が入り乱れてくるのが面白く、今後を期待する展開となる。
    ただ最後は賛否が分かれるような結果になる為、連続ドラマを楽しむようにして読み進めて自分がどう感じるかを楽しむ読み方がよいでしょう。
    読み返すとまた違った感情が湧いてくる話である。


    初回
    京極堂シリーズ4
    突然現れた僧の遺体、山中を駆け巡る少女、埋没した蔵、箱根に起こる奇怪な事件に巻き込まれる人物たち。
    骨董屋今川、あの久遠寺医師、そして関くん。
    さらに山中にある謎の寺での連続殺人。
    前半では、謎のままであるが、ところどころに散りばめられたヒントを頼りに読み進めていくと面白い。
    後半でああ、そうだったのかと納得していく自分がいる。
    ただ、今回は憑き物落としというよりは、普通の探偵小説のような気がします。
    宗教の複雑さに目を向けてじっくりと読み進めれば、色々あるなではなく、おかしいと気がつくはず。
    久遠寺医師が、気の毒に思える最後でした。

  • 禅について、詳しく書いてありなんとなく分かったような分かってないような気持ちに。
    犯人の動機もこのテーマならではって感じがしていい。
    人の恋文渡す役がそれを忘れてて〜って展開が姑獲鳥の夏に既視感…

  • さすが弁当箱本と呼ばれるだけあってすごいボリューム。でもそのボリュームを苦と感じさせないところが、この本の魅力だなぁ。
    お馴染みのキャラの個性がお互いを引き立ててて面白い。とくに榎さんが〜(笑)彼らしさ炸裂してていいですね。
    ちょっと弱気になる京極堂も見れますし。
    シリーズ四作目ですが、少なくとも一作目は読了されてからのほうがオススメします。
    次の作品を読むの楽しみ

  • 京極堂シリーズで一番好き!
    妄執、ハンパない妄執!!
    動機、わけわかんない動機!!(笑)

    いやー読むの3度目だけど、何度読んでもおもしろい。

  • 箱根の山中にある謎の禅寺.京極堂でさえその存在を把握していないその寺で,禅僧を狙った連続殺人事件が発生する.
    1300ページを超える長編だが,ほとんど退屈せず読むことができる.京極堂シリーズで最も面白かった.
    また,会話が前作までに比べてコミカルである.
    憑き物落としの際,慈行と京極堂が対峙するシーンはまさに鳥肌もの.

  • ★4.0
    再読。初めて読んだ時は禅の何たるやが分からず、よく意味が分からなかった。が、何度となく読んでいるうちに、いつしか禅の魅力に取り憑かれてしまった。勿論それは、分かった気がする、というだけのものだけれど。箱根山で次々に起こる僧侶殺人事件、その背景には策略だったり煩悩だったりと僧にとってマイナスな部分が描かれるけれど、決して僧も禅も貶めることはない。加えて、またも過去の事件と現在が繋がる用意周到さ。それにしても、僧をも悟らせる榎木津のとんでもなさが凄く、惑わされてばかりの関口は意外に直感だけは鋭い。

  • 禅宗の宗派(っていう言い方は違うんだろうな多分。)のあたりはよくわからなかったが、ラストがよかったので読後感は悪くない。どこまで広がっていくのかと思ったが綺麗に畳まれていたと思う。
    しかし、長すぎて一気読みが難しいので、登場人物が多いと混乱してしまうなぁ。
    今回は榎さんの格好よさが目立つ。あとは、ある意味悟った山下警部補。今後に期待。

  • シリーズ第4作。
    ひと癖もふた癖もある主要キャラ達にもよく馴染み、いい感じで作品世界に嵌まり込めた。

    仏教という1mmも興味のない分野が舞台なため、今まで以上に読みにくかったが……うん、面白し!


    ★4つ、8ポイント。
    2016.07.22.古。



    それにしても……

    小児性愛に男色、おまけに近親相姦とは・・・ちょいとやり過ぎでしょ、京極さん。心が疲れたよ。

  • 僧、僧、僧。成長しない迷子、仏教、禅。変わらぬというか濃くなった世界観、厚さも進化したような…。良い意味でだらだらとしていて、こっちもついついだらだらと読んでしまいかなり時間を費やしました。前三作と比べるとぞわりとくる要素が弱めな印象も。京極堂の憑き物落としはこれまで通り「超すっきり!」といったのが感じられなかったなぁ…。気に入ってないというわけではなくて、これもこれで普通に好きなんですが。宗教という檻に囚われてしまった人ならではの動機は衝撃的。シリーズを通し読みしようと思っていたのですが、体力が^^;

  •  ものすごく面白かった!
     冒頭で昔を懐かしみながら楽しそうに旅行へ誘っていた京極堂が、最後には時を止めた人を豪く憎いとまで言ったのがなんだか胸に残る。
     いろんな凝り固まった檻の、見出されて開かれていくのを読んでいるとスッとした。それぞれ克己していて嬉しくなる。
     山下さんが好きだなあ。最初は大分苛立たしかったけど、ちゃんと物事を受け止めるようになって格好良かった。山下さんをそこへ導いたのが、ついその前まで悩んでいた常信さんだったのも良い。菅野に最後の一押しをしたのは榎木津だったけど、久遠寺さんも、久遠寺さんの立場から言葉を紡いでいて素敵だった。
     榎木津さん今回特に優しかった気がする。ほんとにとても面白かった。

  • 難しかった。一つだけ浮かんだ言葉は「思惑」。惑わされてはいけない、考えていることはみんな違うということ?
    重くて(実際の本の重量)て長くてまどろっこしくて集中力を終盤失ったので要再読。

  • 今回が一番面白く、読みやすかったです。
    いつも机上で事件が展開しているイメージがあったが、今回は箱根という舞台に移動していて、いつもよりも全体的に能動的な巻です。
    鳥口がよく頑張っていました。
    何を以て異常とするのか、自分の常識が本当に常識と言えるのか等、認識の相対が問われている作品であると感じました。
    禅宗や寺院経営などが詳細に書かれており、面白かったです。
    敦子や慈行の行動や描写で、伏線かなーと思った箇所があったのですが、回収されなかったので何でもなかったようです(笑)
    様々な人がかわるがわる憑物落としされていく箇所は『水戸黄門』が頭をよぎりました。

  • 読もう,読もうと思ってなかなか読み始めることができなかったが,夏休みの旅行のお供として持っていき,読み終わった。京極夏彦の作品は,読み始めると,一気に読み終えてしまうだけの中毒性がある。鉄鼠の檻は,禅宗をテーマとした作品だが,謎の作り方がとてもうまい。この作品における最大の謎は,連続殺人事件の犯人が誰かという点ではなく,中善寺秋彦ですら知らなかったという明慧寺という寺がどういった寺なのかという点である。「この明慧寺が真言宗の寺だったからですね。」という部分は,ミステリを読んでいて,久しぶりに心底驚いた。臨済宗,曹洞宗といった禅宗についての話が進めた上で,「真言宗の寺だった。」という真相は,ガツンとくる真相である。もっとも,この真相で驚くためには,ある程度禅宗についての知識が必要である。この作品では,761ページから40ページ程度を使って禅の歴史と禅についての解説がされており,この部分を読んで,受験勉強の際に覚えた日本の宗教史が整理され,復習できていたことが生きてくる。この作品には,明慧寺の正体以外にも,連続殺人の犯人は誰か,その動機は何か,見立ての真相,謎の少女の正体は何かなどの謎がある。真犯人は,ミステリを読みなれていると,「こいつは何者?犯人なんじゃないの?」と想定してしまう人物であり,意外性は少ない。しかし,「悟ったものを悟った順番に殺していた」という動機,鉄童という真犯人の育てている子が,禅の公案の見立てを行い,仏となった被害者を,いわば供養していたという部分は,十分な意外性だった。もっとも,動機・見立ては,力のない作家だとバカミスになってしまう程度のアイデアとお思えるが,筆力があるとそれ相応の意外性と読み応えになるということか。謎の少女である鈴の正体については物語内で合理的な解釈はされない。鈴子の子どもではなく,鈴子本人であったという描写だが,どうして鈴子が13歳の少女のままであったのかは謎のままである。また,最後の火事の際に,仁秀老人と鈴子の死体が出てこなかったという部分も謎のまま。もともと,榎木津という論理的には解明されないものが存在している世界観であり,割り切れない謎がのこってしまうのも仕方がないのだろう。禅というテーマで,知的好奇心を十分に満たすことができるうんちく,明慧寺の正体という意外性,割り切れない部分は残るが,それを十分にカバーできる作品全体の雰囲気。なかなか満足できる作品だった。

  • 白と黒の世界が目の前に現れるような描写に引き込まれます。

    何層ものベールを丁寧にはぎとって、核心に迫っていく、じわじわとした話の展開がもどかしくていいように作家さんの手のひらで転がされてるような。。。かなり分厚い本ですがどんどん読み進めてしまいます。

    このシリーズの中で一番好きの作品です。

  • 京極堂シリーズ。日本の宗教、特に禅宗について深く学べたようなよく分からないような。結果的によく分かってない。
    1300頁を越す文庫本はさすがに読み応えがあり、さらに宗教についてということで、沢山湧いて出てくる坊さんの名前も誰が誰か把握するのに一苦労。
    ミステリィとしては若干物足りないが、おどろおどろしい雰囲気の、雪の山中の禅寺での奇怪な事件は、非現実的で楽しめた。

  • 前作の真言立川流に続き、今作では北宗禅なる仏教譚に及ぶのだけれど、いくら丁寧に読んだところで理解の外だ。それでも京極堂が披露する解説の欠片を分かった気になるだけで喜ばしい。禅が開花したのが禅発祥の印度ではなく、育まれた中国でもなく、日本であるのは、日本語に起因する。禅は言葉では表しきれず、日本語はその難しいものを伝えるのに比較的適している。というより、日本には高度な抽象化を日常的に受け入れる文化があったからだなんて、誠に筋のいい解説だ。相変わらず榎木津は愉快であって頼もしい。

  • 山の中に建つ不思議な寺の中で起こる連続僧侶殺人。
    彼が創った檻の中でまた一人、悟りを開き、また一人、殺されていく。
    悟りとは何なのか。
    禅とは何なのか。
    誰もが心に秘密を持ち、それは澱となって心に溜まっている。
    榎木津がそれを暴き、京極堂が秘密を解体する。

  • 喝!
    禅のお勉強になる。あと益田がかわいい。文庫本が重すぎて腱鞘炎悪化です。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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