クラインの壺 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062750172

感想・レビュー・書評

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  • 岡嶋二人は流石すぎる、安定している。
    今でこそ良くありそうな話だけど、インセプションやらSAOやらは全てこれじゃん。
    設定も細かいし、文章もテンポ良く読みやすいしで、岡嶋二人流石すぎる。

  • 仮想現実(VR)を背景としたSF仕立てのミステリ。30年以上前の作品(映画「マトリックス」より更に10年前!)だが、設定は古びていない。というよりも、むしろ、VR技術が進んだ今のほうが、リアリティをもって受け入れやすい作品ではなかろうか。

    「夢と現、どっちかな?」という、「胡蝶の夢」からある古典的な - VRという設定であれば必然的ともいえるテーマだが、ミステリらしく、その判断のためのヒントも適度に散りばめられており、謎解きとして普通に楽しめる。終盤は、そうした伏線が回収されつつ進んでいき、「うんうん、そうだよね」などと、心の中でつぶやきつつ、このまま事件解決にむかっていくものと思って読んでいると…。

    YouTube チャンネル「ほんタメ」で、ヨビノリたくみ氏が「読書感想文にぴったりな本」に紹介していた1冊。学校の宿題に向いているかどうかはわからないが、確かに、読後は自分の解釈を誰かと話したくなる。

  • 31年前に書かれたお話だとは思えない。どきどき、ぞわぞわ、しました。

  • ドラクエIIIが最新だったらしい平成の始まり、1989年に描かれたVRゲームサスペンスのあまりにリアルな世界に没入し、その精巧な仮想現実を追体験した。
    壺の底を覗き込んで、何者かから逃げ続ける主人公の袋小路ぶりを知ってしまったとき、スリルは最高潮に達したのだった。‬

  • 本当に1989年に書かれたもの?想像力が凄すぎる。
    どれが現実で、何がゲームの中の話なのか、読んでて混乱。
    迷宮に迷い込んだようで、楽しかった。これぞ読書の醍醐味。

  • 今でこそありがちなバーチャルリアリティネタだけど、90年代以前にここまで題材として昇華してるのは流石。プロットも読み易くキレイにまとまっていてバシバシ読み進められる。解散前最後の作品で、殆ど井上夢人氏の手によるもらしい。

  • 読了後、しばらく余韻に浸っていた。

    異常なほどに読みやすい文体、読むのを止めるのが不可能なサスペンス、衝撃の真実...と思いきや、それとは逆の考え方もできる、余韻を残すラスト。

    正直、どちらであったとしても驚く。
    VRなどが開発されているからこそ、現実味があり、怖くはあるが、とても面白い。

    個人的には今のところ岡嶋二人の最高傑作。


  • 20年くらい前にドラマを見た記憶があり、原作も勧められたので読んでみました。
    映像化したものと同じくらい鮮明な文章で、自分もクラインの世界に入り込んだ様な奇妙な感覚を終始味わえる不思議なストーリーでした。
    勧めて下さった方は読み終わった後に「で、どっちだと思う?」と聞いてこられましたが、正直、未だに良くわかりません。読む人によって意見が分かれるかもしれませんが、それを議論するのもこの作品の面白い所だと思いました。

  • ポケベルとか言ってる時代に、VRの更に先を進んだ世界を描く先見性が凄い
    仮想世界に対する空想を古今東西誰しもしてきた事だとしても
    いずれこんな体験が出来るのかなと
    途中までの展開はおおよそ予想はつくがそれ以降、読者もこの作品の中の人物も内と外どちらにいるのかわからない。評価の分かれそうな部分
    現実と仮想世界の区別がつかなくなるのは恐ろしいし寂しいなと感じた
    しかしいまこの感想を書いている自分が仮想世界の住人ではないという事を証明する事もまた、出来ない
    はじめのところから始めて、終わりにきたらやめる事にする

  • ※2005/9/16のblogより転載

     自分の作ったゲームシナリオ「ブレイン・シンドローム」がゲームの企画に採用されることになり、新たなヴァーチャルリアリティシステムのプロジェクトに関わる事になった主人公は、テストプレイ中に謎の声を耳にする。
     上杉彰彦はゲーム開発会社イプシロンの秘密の研究所で体感ゲームシステム「クライン2」を実体験するが、何者かによる作為的な事象に、このプロジェクトに潜む謎と謀略を危惧し始める。そんな時、一緒にモニターとしてゲームをプレイしていた高石梨沙が突然失踪してしまう。
     溢れる不信感、何が現実で何が虚構なのか・・・・・・
     最後まで現実世界を把握出来ないままに・・・・・・

     最近は殺人系以外のミステリも読む事も多くなってきたけど、このクラインの壷は展開といいバックボーンといい、非常に読み易く且つ読み応えがある一冊でした。
     読み終えてふと考えた「俺って気を失った事あったっけなぁ・・・??」と。
     自分自身に置き換えてみても、少しガクブルしてしまったよ。
     それにしてもこの作品って、もう十数年も前のものなのよね。岡嶋二人先生(井上夢人先生)の先見性っていうの!?創造性の高さにはただただ驚かされますね。脱帽です。

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著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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