プラネタリウムのふたご (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062755252

感想・レビュー・書評

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  • 物語は、まるで童話のような世界で繰り広げられます。山奥の小さな村、そこにあるたったひとつのプラネタリウム、そこで拾われた双子テンペルとタットル。テンペルは手品師の一座に加わり、タットルは村に残って郵便配達になり、それぞれの世界で成長していく二人。

    やがて物語りは悲劇を生むのですが、それがけして悲しいだけの結末じゃなく、ものごとが、あるべき場所にキチンと納まっていくような、なんともいえないカタルシスがあるのですよね。ファンタジーのようでいて現実的でもあり、フリークスめいた手品師の一座や、迷信の残る山の存在は、ヨーロッパの古い映画と宮沢賢治の世界が混在しているようでもあり、なんとも不思議な世界観と、そしてけして押し付けがましくない優しさに満ちた寓話です。

  • 「でも、それ以上に大切なのは、それがほんものの星かどうかより、たったいま誰かが自分のとなりにいて、自分と同じものを見て喜んでいると、こころから信じられることだ。そんな相手が、この世にいてくれるってことだよ。」
    泣けた!!!

    寂しい、けれど優しい。どうしてこんな物語が書けるんだろう。いしいさん素晴らしい!

    星の見えない村のプラネタリウムで拾われた、ふたごのタットルとテンペルのお話です。

    プラネタリウムに行きたくなった!
    2008年10月19日

  • うーん。。。
    悪くはないけど、特によいとも思えなかった。…ような。

    読んでから結構経つので忘れてしまった。

  • 不思議な世界だった。
    どうして死んでしまうことになるのか、ふたごの命とこれからの人生にはどんな意味があるのか。
    テンペルとタットル。
    銀の髪の美しい少年。


    泣き男のプラネタリウム、私も聴いてみたい。

  • せつなくてやさしいお話でした。
    ”だまされる才覚”ってなかなか考えさせられる言葉だなって思います :)

  • 物語を読んだなぁ、と思えるお話。
    この人のお話はいつも孤独がつきまとうけれど、温かいというか。

    プラネタリウムもサーカス(この話では旅の手品師一座だけど)も行ったことがないのです、実は。
    いってみたくなりました。

  • 前半から中盤にかけては中々ページが進まなかった。中盤から後半、最後までは一気に進んだ。

    前半の話がゆったりとしていて、その分後半の展開に泣けてきた)^o^(まじかよ、そりゃないぜ、的な。後味が悪いって意味じゃないよ。

    人は誰しも手品を必要としているなぁって感じ。(ワザと)騙される幸せ、読後はほんのりあったかくなる、的な。

  • テンペルとタットル。
    優しい双子のはなし。

  • 稀代の大嘘つきによるとても優しい嘘のお話。

  • いしいしんじ先生の本は必ず泣いてます。ここではないどこか。誰も辿りつかないどこかの世界で、誰かが生まれ育ち、その世界に馴染み、またぶつかっては幻想を見てる。それは同じ。この人の本を読むことは幻覚を見ようとするのに近いのかもしれない。細かい事は覚えていない、でもいつもどろどろしたものの中に浸ってる感じがする。真っ黒くて抜け出せない場所が、この世界にはある。その周りを注意深く、私たちはまわっている。

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著者プロフィール

いしい しんじ:作家。1966年、大阪生まれ。京都大学文学部卒業。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲二文学賞、12年『ある一日』で織田作之助賞、16年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。そのほか『トリツカレ男』『ぶらんこ乗り』『ポーの話』『海と山のピアノ』『げんじものがたり』など著書多数。趣味はレコード、蓄音機、歌舞伎、茶道、落語。

「2024年 『マリアさま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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