ロードムービー (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 6902
感想 : 510
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770637

感想・レビュー・書評

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  • この作家さんとは本当に相性が良いなぁ。

    冷たい校舎の〜のスピンオフの様な内容だけれども、読んでいなくても全く問題なく楽しめると思います。
    実際私は登場人物ほぼ覚えておらず。

    4編からなる短編集。どれも良い。
    一番初めの表題作は心にグッときて、そして驚かされる。二度美味しい。

    いやぁ、本当に辻村作品は良いなぁ。

    冷たい校舎の〜を読んだ人は尚、読んでない人も
    私の様に忘れた人も楽しめる作品だと思う。

    パラパラーとでもいいから、冷たい校舎を再読しようかしら。

  • 先に冷たい校舎を再読して良かった!
    主人公達のその後が描かれている本は大好物!
    どれも胸の痛い話ではあったけど、皆自分をしっかり持っていて、めげない!勇気を貰える一冊。

  • 「冷たい校舎の時は止まる」のスピンオフ。
    景子と裕二の子供の「トシ」が主人公の「ロードムービー」
    充が主人公で梨香も出てくる「道の先」
    「道の先」の千晶のその後が描かれる「トーキョー語り」
    鷹野と深月の小学生時代の話である「雪の降る道」
    どれもとてもよかった。「冷たい校舎の時は止まる」の彼らの、物語が終わった後(もしくは物語が始まる前)を知ることができてとても嬉しい。
    ロードムービーは辻村深月お得意の叙述トリック。典型的な性別のトリックなのに、どうしてこうも見事にひっかかってしまうのか。
    トシの「できる子」特有の悩みがすごく好きだ。いじめられているときの描写は「うわ、これ、”ある”……」と思ってしまう。辻村深月の小説は、作中で起きている出来事の経験なんてないはずなのに、その感覚を知っているような気になる。そこが本当にすごいと思う。
    「道の先」は、大学生になった充と、充がバイトしている塾にいる少女、千晶との物語。充が成長して、千晶に「大丈夫だ」と声をかけるシーンが大好きだ。苦しい時を乗り越えた人にしか言えない言葉を、充が千晶に言ってくれたことが、とても嬉しい。充と梨香がいつもの会話をしていてくれたことも、とても嬉しい。
    その千晶が引っ越した先の物語が「トーキョー語り」だ。田舎の高校生って感じがすごくした。田舎に生きることに何一つルサンチマンを抱かない、狭い世界で生きている主人公のさくらをより濃く描いたのが「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」や「傲慢と善良」なんだろうなあ、なんて思った。
    「雪の降る道」は、菅原がかっこよすぎる。本当に菅原がかっこよすぎる……。そしてみーちゃんが健気すぎる。しかしヒロを責める気にはなれない。ヒロがみーちゃんに八つ当たりをしてしまう気持ちが痛いほどわかるし、幼少期であればあるほど、人を傷つける言葉というのは簡単に吐けてしまうと思うから。小学校低学年くらいだと、あれくらい言っちゃうことあるよな、と思った。
    みーちゃんが一緒に泣いてくれたことが、「冷たい校舎の時は止まる」の鷹野に繋がっているんだと思うと、胸がいっぱいになる。たまらなくなる。

  • ロードムービーのラストは衝撃だった…!
    改めてちゃんと伏線あるなと。

    『冷たい校舎の時は止まる』の登場人物が再登場していて、嬉しかった。
    辻村さんの作品はこういうクロスオーバーみたいな仕掛けがあって楽しい。

  • 読了。小学生の家出だったり、塾のバイトだったり、幼馴染の話だったり…の短編集。だけど、辻村深月マジックにやられました。「え⁈そういうこと⁈」っていう嬉しい驚きが心地よかったです。あー、これは再読必須です。

  • 5篇からなる短編集。なにやら意味ありげな表現が多いなと思っていたら、「冷たい校舎の〜」のスピンオフだったみたいで、また読む順番間違えたなと後悔。
    知らずに読んでも、短編同士のつながりもあり、それぞれの立場の感情に寄り添ったいい話だった。けど、だからこそ、前作の繋がりがわからなくて残念。

    ロードムービーは、小学五年生のトシとワタルの話。人気者だったトシが、学校でのいじめをうけ、ワタルと2人で家出する話。中学生との喧嘩のシーンとか、名前の漢字の話が出た時に、なんか違和感を感じていたけれど、全然気づかなくって騙された!と思った。
    ワタルのスピーチがよかった。全然弱虫なんかじゃなくて、2人の友情が素敵だった。

    道の先は、中学の塾講師と、お金持ちで頭がよくて、講師を試すところがある、千晶ちゃんの話。
    大人びていて、なんでももっていそうな千晶ちゃんだけれど、だからこその孤独もあって、先生の存在が、先生との約束が救いになったんだろうなと思う。
    前作を読んでないから、この留守電の相手が誰だかわからなくって、歯痒い気持ち。

    トーキョー語りは、田舎の高校に、転校生がやってくる話。田舎だからこその都会への憧れと、コンプレックスと、妬みと。
    主人公のさくらがとっても呑気でいい子で、なんだか癒されるけど、都会に憧れて外に出ていきたい同級生からしたら、感覚が合わなくって、ずれを感じてしまうのもわかる。篤志くんがいいキャラしていて好き。
    一美、とっても嫌なことを言ってしまうけど、高校生くらいの年だったら、リアルな感情なんだろうなと思う。
    あの遠山さんが、高校生になった千晶ちゃんで、キャラ違いすぎて全然気づかなかったけど、まだあの時の約束と、としまえんの思い出を宝物にしていて、嬉しくなった。
    最後あんみつで終わるのいいなと思う。

  • 2023年1冊目。5編から成る短編集ですが、是非「冷たい校舎の時は止まる」の後で読んでみてください。感動が倍増します。短編同士の繋がりもだし、冷たい校舎は〜からの繋がりも楽しめる一冊です。冷たい校舎は〜の彼らが頑張っていること、頑張ってきたこと、胸がじんとします。また本作のみの登場人物も、各々のフィールドで是非頑張って、と応援したくなります。最後の雪の降る道は号泣....辻村深月さんの描く子どものエピソードにはほんと弱いです。

  • 最高だった。。
    表紙の絵がやさしくて、借りてみた一冊。

    この短編集で私が好きだったのは、ダントツで「ロードムービー」!
    読んだ人はみなさん好きなシーンだと思うのだけど、、、
    ワタルの演説シーンと、家出してたところをトシの両親が迎えにきちゃうシーンが鳥肌立った。

    ワタルは物語冒頭からずっと、情けないイメージだった。トシの後ろにちょこちょこついていったり、隠れているような。でもそんなワタルはこれだけトシのことを考え、勇気を出して行動した。二人の間にアツい友情を感じた。


    あと、トシとワタルが中学生から暴力を受けるシーンは、映像はなくて文字だけしか見てないのに本当に胸が痛くて、アカリと中学生にめちゃくちゃ腹が立った。

    トシが女の子だったというのはビックリだったけど、男の子に思わせる意味ってなんなんだったんだろう?とちょっとモヤモヤ。


    みなさんの感想を見ていると、他の作品とリンクしている部分もあるそうな。。辻村深月さんの作品をいろいろ見て、「この人ってあの人か!!」とかつながったら楽しそう☺️

  • 冷たい校舎…を読んでないのですが、スピンオフだとは全く知らず、本作に手を出しちゃいました。が、別に問題なく楽しめました。

    自分の子供(小学生)も、傍目にはゲームの事しか考えてないように見えちゃうけど、実は色んな心の葛藤なんかあるのかぁーとしみじみ。

  • まるまる全部、『冷たい校舎の時は止まる』のスピンオフ短編集だった。
    色々仕掛けがあっておもしろーい。
    下記、全部大量ネタバレ注意。

    「街灯」
    大学生になった鷹野と深月の一コマ。

    「ロードムービー」
    これは騙された!
    まさか、主人公が女の子だとは思いませんでした。
    名前を見ても全然気づかなかったけど、桐野景子と諏訪裕二の娘?のようだった。
    口調が男っぽいのは母譲りか。
    作中で、鷹野と深月が結婚する。

    「道の先」
    大学生になった片瀬充が、バイト先の塾で出会う生徒との交流を描いた話。
    梨花もちょっと登場する。
    ラスト、充のことが好きだった女の子は、両親の離婚で遠くに引っ越してしまう。

    「トーキョー語り」
    で、前作で引っ越していった子が脇役で登場。
    東大に入ってまた東京に行くために勉強に励んでいる。

    「雪の降る道」
    ヒロとみーちゃんと、スガ兄3人の交流を描いた話。
    これを先に読んでしまうと、『冷たい校舎の〜』のメインのトリックがすぐ分かってしまうな……。
    というわけで、ネタバレだけどさすがにボカす。


    やはり、フルネームのない登場人物には要注意!な辻村深月作品であった。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

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