私たちが星座を盗んだ理由 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778206

感想・レビュー・書評

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  • 5つからなる短編集。
    それぞれに繋がりはないけれど、そのどれもが少し不思議な、少し不穏な空気を纏った5つの物語。

    恋煩い
    恋する少女が誰しも通る〝おまじない〟と言う通過儀礼。一人称で進むので、少女の知らぬところで何かがあるなという期待を裏切らない展開ではあるけれど、ちょっと上手く行きすぎかな。

    妖精の学校
    これはなかなか難解。見知らぬ部屋で目覚めた少年は自分の名前を思い出すことができませんでした。妖精の学校でおこるあれこれ。ではあるけれど…結果、リドルストーリー。謎。
    (考察が検索で出てくるけど、だから?とさらに悩む笑)

    嘘つき紳士
    借金に追われた男が、携帯電話を拾ったことにより、犯罪行為に及んでしまう。嘘つき紳士というより嘘つき野郎なんだけど(笑)所詮はキツネとタヌキ。ちょっと上手く行きすぎかな。

    終の童話
    人を石に変え食べてしまう怪物、石喰い。
    昔々のこと、小さな田舎の集落が〝石喰い〟に襲われ、村の人たちは次々と石にされてしまった。
    それから10年、かつて少年だった青年は、愛する人との〝別れ〟にどうケジメをつけるのか。

    私たちが星座を盗んだ理由
    幼い私の恋心。幼い私の寂しさ。恋も寂しさも人を惑わす。優しい姉と幼馴染の彼。2人の間で揺れ動く少女がしたこと。
    星座トリックは面白いけど小学生にはどうかな。

    どれもストーリーは面白いのだけれど、詰めが今一歩という感じでした。ドンデン小説というよりイヤミス小説。いろんな意味でモヤッと…(^^;;

    今年の28冊目

  • 5つの短編集で、どれも最後にウッとさせる。
    表題の作品が気になったが、何でそのまま綺麗に終わらせてくれないんだ、と感じた。
    そこも含めても満足です。



    優しく、美しく、甘やかな世界が、ラストの数行で、残酷に崩壊する快感。景色が反転し、足元が揺らぎ、別な宇宙に放り出されたかのような、痛みを伴う衝撃。かつて、まだ私たちが世界に馴染んでいなかった頃の、無垢な感情を立ち上がらせてくれる、ファンタジックな短編集。ミステリの醍醐味、ここにあり!


    難病の女の子を喜ばせるため、星座を一つ消して見せる男の子を描く表題作ほか、5つの物語のすべてに驚愕のどんでん返しが待つ傑作短編集!

  • 短編のためボリュームも丁度良く、スイスイ読み進めることができました。
    個人的には、「恋煩い」と「終の童話」が好きです。

    「たった一度だけ勝てばいいんだから」

  • 表題作を含む5作品収録の短編集
    いずれの話も楽しめました
    どの物語にも謎を配置しているのはさすが
    短編ではちょっと物足りない物語もあったりしました

  • 面白かった!
    5話からなる短編集
    童話のようなお話に予想できない結末
    物語に引き込まれぐいぐい読み進められた
    読了後の余韻も残る
    ラストがわからなくてググった作品もあるけどとても好きな世界観
    お気に入りは「終の童話」

    北山猛邦作品にハマりそう!

  • ちょっとしたミステリー集かなと思ったら、とんでもない。どんでん返しの嵐に目が点。世界とはこんなに脆いものなのか。

  •   短編集です。「妖精の学校」を読んだときの衝撃は忘れがたい。正確にいうと、読み終えた当初は、どういうことかわからず、そのあと最後に出てくるある数字をググることで、衝撃を受けたのですが…

     少年が目を覚ますと、妖精の学校という孤島に連れてこられていた。そして少年には過去の記憶がなく、同じような境遇の子供が何十人もいるようで…。そして彼らはいずれ妖精になるため島で勉強しているらしく…。そんな感じの内容です。

     この手の管理社会、あるいはディストピアを匂わせる作品は大好物なのですが、読み終えてみると予想の斜め上からくる社会派要素に驚きました。

    すべてを知ってから思い返すと、言葉や表現の意図、思惑や利権に踊らされる子供たちの残酷さや無情さなど、色々なことを考えてしまいます。

    作中で話がすべて明らかにならず、簡単ではあるけれど自分で調べてみたからこそ、より話が印象的なのだろうかな、と思います。

     もう一つ印象的なのは「終の童話」

     人を石化する魔物や、それを解く呪術士がいるというファンタジーの世界観で、その世界観だからこそ起こり得る事件が描かれます。

     特殊な設定だから生きる動機の謎が、面白かった。結末のちょっとぼかしている感じも、より物語の痛切さを表しているようで、味わい深い作品でした。

  • 名短編集。日常の謎3編、ファンタジー2篇。
    特に、ファンタジーがとても素晴らしい出来。
    失礼ながら、メフィスト賞の頃の読者置いてきぼりのセカイ系ミステリを書いていた方とは思えず、作り込まれた世界観にのめり込んで読めた。藤子・F・不二雄先生のSF好きな方はハマるのではないか。
    「終の童話」魔物に石化されてしまった初恋の少女。石化を直せる魔術師が現れた後、石化人間が連続で破壊される事件が起こる。
    ホワイダニットとしても傑作だし、リドルストーリーとしての終わり方も切なくてよい。とにかくこの短編は素晴らしい。

  • また騙されてしまった…表紙とタイトルに。
    5つの話からなる短編集。まさか、そんな終わり方とは!と一話目から衝撃だった。どの話もなんとなく救われないラストで、読み終わった時に切ない気持ちが襲ってくる。一話読む度、次の話こそは嫌な終わり方じゃないよねと思いながら読むのに、やっぱり複雑な気持ちになるラストで期待は裏切られる。でもある意味予測していない結末だったので、そのドンデン返しは面白かったかも。

  • ミステリー短編集、それぞれ若干ファンタジーぽく、ホラーじみたものもあって違った雰囲気が良い。ちょっと調べないと、何のオチなのかわからない話もあって少し不気味。中では「嘘つき紳士」が好みかな。

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著者プロフィール

2002年、『『クロック城』殺人事件』(講談社ノベルス)で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー。代表作として、デビュー作に端を発する一連の〈城〉シリーズなどがある。

「2022年 『月灯館殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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