私たちが星座を盗んだ理由 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.50
  • (78)
  • (205)
  • (242)
  • (49)
  • (9)
本棚登録 : 2511
感想 : 202
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778206

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ラストで鮮やかに反転する、ファンタジックな5つの短編集。


    ふんわりした表紙画に、究極のどんでん返しとの紹介文に興味を惹かれました。

    「恋煩い」
     一年半も名も知らぬ上級生に片思い中の『アキ』は、友達から聞いたおまじないを試してみる事に…。たまたま最初の同じ無いをした後に良いことがあり、馬鹿らしいとは思いながらも次々に試さずにはいられなくなるが、友人がおまじないを聞かせていたのには別の理由があり…。
     女の子の行動心理がいまいち受け入れられず、「ふーん」という感じ。オチは「プロバビリティの犯罪」。

    「妖精の学校」
     少年が目を覚ましたのは白い世界。以前のことは覚えておらず、そこには彼と同じぐらいの子どもたちが暮らしていた。
     どうやら記憶を消された子どもたちが隔離されている島。何のために?この話の反転はどの部分を指すのか?ラストの数字の意味は?分からず終い。

    「嘘つき紳士」
     お金が必要だった男が拾ったのは、直前に事故死した男の携帯だった。彼は死んだ男になり済まし恋人からお金をだまし取ろうとするが、だんだんと彼女に惹かれていってしまい…。
     死んだ男の彼女を悲しませないように、男が死んだことを知らせぬまま別れる。が、その後事故の真相に気づく。反転はこれが一番良くできていると思った。

    「終(つい)の童話」
     怪物によって大勢の人が石像に変えられた村に、十年後石像を人に戻せる人物がやってくる。村人たちはくじで直す順番を決めるが、最初の男の石像が粉々に壊され、その後も次々に壊されていく。
     自分の家族の順番を繰り上げる為に他人を壊したのか?が犯人と動機は意外な結果に。しかもこの話は、結末が「リドルストーリー」。これ気になっちゃってあんまり好きな手法じゃないんだよね。

    「私たちが星座を盗んだ理由」
     病弱な姉の為に、星座を一つ消してみせた幼馴染の男の子。秘かに憧れていた彼と再会した妹は、あの夜のことを訊いてみる。
     取り違えの理由はちと苦しいが、妹の気持ちは分かる。ただラストは予想通り。

  • 幻想的な雰囲気のミステリ短編集
    どれも話の導入から結末まできれいに流れていて、楽しめた。
    一つ目の「恋煩い」が1番ドキッとした。

  • 6冊め。どんでん返しが売りの短編小説集。といってしまうとあまり良くない感じがするなぁ。ミステリアスで幻想的な短編小説集のがしっくりしますね。
    というのもどんでん返し感が弱いというか。これからちゃぶ台ひっくり返しますよーっていってちゃぶ台にご飯とかお味噌汁並べられてもだってそれひっくり返しちゃうんでしょう?って見守っちゃう感じというか。うん、うまい喩えではないのはわかる。ひっくり返した先は確かに新事実なんだけど、もうちょっと事前に確認すればわかるんじゃ…?っていう事実というか。
    のでこれは裏表紙のあらすじが良くないと思います。それよかなんとなくふわふわとした夢のような浮遊感がなかなかよくて、実際好きなところはその辺でした。
    長編だとどんな話書く人なんだろ。気になります。

  • うーん、この最後にぞくっとくる感じ…だいすきです♡恋煩い、妖精の学校、嘘つき紳士、終の童話、私たちが…のどれも良かった。短編集は、個人的には小池真理子さんしかうけつけないわ、なんて思っていたけど、恋煩いの最後の一文で心奪われて…そこからは一気読み。中でも好きなのは、恋煩いと私たちが…かなぁ。私たちが…は、淡くて幼い恋心がまさかそんな方向にいってしまうなんてと驚いているのもつかの間、さらに驚きの事実が。本格的なミステリというわけでもなく、サクッと読めるのに、衝撃はハンパない。北山さん、ハマりそう!

  • それなりに面白かった!
    こういう系統大好き。

    特に1話目のオチが良かった。

  • すべてはラストで覆る!の帯にやられましたが
    実際、はっ!としたのは
    恋煩いだけでした。
    しかし、どの話も入り込み最後が気になる話でした。

  • 恋煩い、がかなりドッキリしました。
    妖精の学校、は不思議な雰囲気でしたがあの島はこんな気持ちなのかもしれない。
    嘘つき紳士、は驚きました。女は怖い。
    終の童話、は中世っぽくて面白い。
    そして星座を盗んだ、は切なく終わりました。
    5つの話はあっさり目でしたが、どれもいい内容だったと思います。

  • ミステリ短編集。
    ・恋煩い:恋する高校生の青春ミステリ。メフィスト賞作家らしい展開。これが一番好き。
    ・妖精の学校:最初??だったがネタバレサイトを読んで納得。再読するとこれはこれは・・・
    ・嘘つき紳士:携帯を拾った男と,携帯の前の持ち主の彼女の話。こういう路線の作家なのね。
    ・終の童話:人間を石に変える魔物に襲われる村の話。
    少年と憧れのお姉さんの淡い恋心と切ない展開。
    ・私たちが星座を盗んだ理由:これはあんまり。
    全体的にレベルの高い出来。他の作品も読んでみたいと思った。

  • 全5編からなる短編集.評判につられ手に取ってみたが,予想以上に面白く,贅沢な一冊だった.表紙からは窺い知れないシリアス感がたまらない.おススメします.
    以下あらすじ(背表紙より)
    難病の女の子を喜ばせるため、星座を一つ消して見せる男の子を描く表題作ほか、5つの物語のすべてに驚愕のどんでん返しが待つ、ファンタジックな短編集。優しく、美しく、甘やかな世界が、ラストの数行で残酷に反転する衝撃は、快感ですらある。まさに、ミステリの醍醐味!

  • 一話目が非常に衝撃的で、期待してなかっただけに一気に引き込まれました。ラスト一行の文字列から数秒間目が離せなかったくらいです。
    その緊張感を保ったまま二話目にいったものですから最初っから不気味で殆どホラー感覚でした。この一話目と二話目の連携が絶妙。欲を言えばもう少し二話目の謎のヒントを与えて欲しかったです。あのメモと本の落書き。あと影の正体とか。
    たださすがに三話以降は飽きました。表題作に至ってはガッカリの域。一つくらいハッピーエンドのどんでん返しがあれば良かったのにと思いました。

全202件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

2002年、『『クロック城』殺人事件』(講談社ノベルス)で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー。代表作として、デビュー作に端を発する一連の〈城〉シリーズなどがある。

「2022年 『月灯館殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北山猛邦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×