エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社+α文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062814195

感想・レビュー・書評

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  • 内容や視点についてはとても興味深かった。
    特にお金は交換手段であって目的ではない。しかし、お金がお金を稼ぐ道具として使われることから、お金を稼ぐ・蓄える事が目的になっている。金融や投資にお金が大量に回っていて、必要な物やサービスを得るためにはあまり回らなくなっている。
    現実の世界を見るといいサービスや物より、そういったものを生み出すかもしれないという会社の方が大きなお金を産むという事になっている。
    この本を読んで、今まで考えたこともなかった視点だったのでお金の本質について知る機会となった。

  • ◯お金を持っている人間はお金を持ち続けても費用がかかりません。対照的に、例えば、農民は種をまくのを延期できません。(中略)これでは、取引をしようにも、立場が違いすぎます。(117p)

    ◯お金を使うことで利便を受けているなら、受益者はそのための料金を社会に対して支払って当然です。(228p)

    ◯マイナス利子のシステムは、環境にもよい長期的な投資へと、投資要因の変更をもたらすのです。(245p)

    ★20年前の本。現在の経済システムが持続可能なものでないことを既にエンデさんが指摘していたのだ。1920年代からゲゼルが言っていることに、環境破壊が進んで災害が自らの身に及んでようやく気付く愚かさ。

  • ある程度、経済に精通していないとむずかしい内容だと思う。私はあまり理解出来なかったけど、お金のあり方について考えさせられた。
    お金が利子を産むことが、歪な世の中にしている。
    お金は本来は等価交換のためだけに使われるもので、お金自体が商品になったことが問題。
    利子は例え自分が借金をしていなくても、間にある企業で発生しているので、商品には実に30%も上乗になっているそう。
    利子がつかない、もしくは価値が下がっていくことが健全な経済になるのでは?ということを終始問いかけている。
    その代替案として、過去からさまざまな利子のつかない貨幣が考えられていて、代表的な成功した貨幣としてイサカアワーが取り上げている。
    しかしこの本が出て10年以上経った今、検索してみるともう誰も使っていないようだ。
    利子がつくということは、貧富の格差をどんどん広げていくので、こういった考えは今もまた出てくると思う。PayPayに始まった支払いが、やりようによっては可能性があるかも知れない。

  • 「はてしない物語」や「モモ」のミヒャエル・エンデの遺言ってことで手にした一冊。エンデだからファンタジーかなと思ったら、お金とは何ぞやという警鐘でした。確かに、「モモ」の時間泥棒に通じるテーマですね。
    物々交換の代替手段だったお金が、拝金主義を招いて手段が目的になってしまっている今の世の中。
    地域通貨って、ただの地域限定の商品券的な意味だとしか思っていたけれど、お金を循環させる、すなわち景気を回復させる有効な手段になるとは知らなかった。
    やっぱり、どこかでNHKスペシャルを見ているような気分になった。

  • 物々交換の代替として登場した貨幣であるが、今となっては、利息がつくのが当たり前のものになり、本来の意味がなくなった。これこそ、金持ちがより金持ちに、貧乏がより貧乏になる原因なのだと、指摘。

    ヴェーラという貨幣
    ただし、自由貨幣という価値が減少する貨幣。
    スタンプ制を採用し、額面を維持する場合は、スタンプを購入する必要あり。
    不況による蓄財を抑制し、市況の活性を促した。
    1920年の世界恐慌時代のドイツ

    イサカアワーという地域貨幣。現在は、使いづらい貨幣に。

  • エンデの資本論。人間が創りだしたものであるのだから、貨幣制度は変えることができる。

  • 今議論されている内部留保課税は貯蓄税の法人版みたいなものだが、貯蓄税に対する世間の風当たりの強さを考えると実現可能性は如何許りのものか。利子は現時点で自由に使用できる貨幣の制限に対する補償金として誕生したものだが、この利子が諸悪の根源なのだそうな。政府がどれほど財政健全化のために努力しても破綻は避けられないという悲観的な結論しか見出せなかった。この本を読むと消費税より貯蓄税のほうが好ましく思えるが、個人的には賛成しかねる。消費しないという防衛策が取れないため。

  • 一部の地域で流通している地域通貨「交換リング」や「減価するお金」のお話し。

    作品中でも解説されているが、いま流通している通貨に変わる仕組みというよりも、現行の金融制度を補完し、コミュニティを活性化するような意味合いであれば、かなり効果的な手段ではないかと思った。

    しかしこのような仕組みが、世界中に広がるイメージがイマイチ想像ができないのは、自分が現在の資本主義体制に慣れ過ぎてしまったせいなのか、それともそんな仕組み自体が、エンデやゲゼルが創造した一流のファンタジーだからなのか。

  • うーむ。数珠繋ぎ的に読んだ本でしたが、同じような話が延々と続いてとても退屈でした。
    しかしながら、それが意味のない主張ではないことはわかります。
    過剰になりすぎた資本主義社会のことについて、いろいろ考えてたミヒャエルエンデが参考にしてた経済学者の話。タイトルがやや釣りぎみかな。

  • 地域内での交換を促進し、域内経済を活性化させるために導入する地域通貨。実際に、通常の通貨(日本の場合は円)に比べ域内流通にどれほど有利なのか。また利子の問題についても語られているけれど、地域通貨はその問題解決につながらないように思う。

著者プロフィール

1948年生まれ。
映画監督。大正大学特命教授。71年東京大学法学部卒業。NHKディレクター、プロデューサーとして『がん宣告』『シルクロード』『チベット死者の書』『エンデの遺言』などを制作。長編ドキュメンタリー映画作品として『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ"』『大津波3.11 未来への記憶』『笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ』がある。

「2017年 『むのたけじ 笑う101歳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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