ニッポンの思想 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880091

感想・レビュー・書評

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  • 平坂書房で購入する。読みやすい本でした。登場人物を絞ったことは、いいことです。前半の主人公は、浅田、中沢、柄谷、蓮実の4人です。後半の主人公は、福田、宮台、大塚、東の4人です。そんなに間違った人選ではないと思います。1980年代前半、浅田彰ブームがありました。僕のような思想に無縁な者ですら、その名前を知っていました。残念ながら、その本を読むことはありませんでした。別に、今も、昔も、分かりもしない難しい本を読むのは嫌いではありません。にもかかわらずです。正直、理由は分かりません。この本も、多くの読者がつくような本ではないと指摘しています。基本的に、読むことではなく、購入するだけで、多くの読者の知的スノビズムを満足させただけだと指摘しています。この指摘は、正しいと思います。同時に、悪い時代ではなかったような気がします。後半に登場する思想家は、前半に登場する思想家のように本を売ることが出来ませんでした。そのため、東さんだけが一人勝ちの状態になっています。思想家を育てるには、その思想家を理解できる読者だけではなく、僕のようなその思想家を理解する能力のない読者が必要なことが理解できました。そんなところでしょうか。

  • 浅田彰と中沢新一の対比は凄く分かりやすかった。日本の現代思想を俯瞰するにはとても有用な一冊。

  • 最近、SNSの発達もあり、マスコミで見ない日は殆どない批評家の方々(宇野さんとかびっくりするくらい露出してますよね)。どういった変移があって現在の言説が為されているか、その歴史を80年代=ポストモダン以降から遡って説明しています。さくっと概要掴むには良いと思います。

    個人的には、柄谷行人と東浩紀の繋がりを知りたかったので、3、7章が興味深かったです。これらを踏まえて、もう一度「探究」を再読し、「存在論的、郵便的」に手を出してみたいと思います(全く読める自信が無いけれど…)

  • 日本の現代思想を読むうえで道しるべとなってくれるものが欲しい、日本の現代思想を概観した教科書が読みたい、とおもって手に取りました。その目的は達成されたと思います。現時点でのわたしは、佐々木敦による各々の評価が妥当なのか判断し得ないのでなんとも言えないのですが、まあとりあえず今後読むべき本をリストアップできてよかった。ニューアカによってあぶり出された「わかりたいあなた」は、そのままわたしにも当て嵌まる、と自戒を込めて。というわけで今後原典にあたります。以下メモ書き。


    ・日本の思想と文芸批評は深い関係を持ってきたが(小林秀雄、吉本隆明、江藤淳、蓮實重彦、柄谷行人など)、ニューアカはそうではない。だからこそ文芸批評=思想が持ち得なかったポピュラリティを得た。テクストを読む行為の軽視。

    ・「馬鹿でくだらない現実=世界」は論じるに値しないとする「80年代の思想」と、いや、それこそ論じるべきなのだという「90年代の思想」、この違いが歴然としたのが、「オウム事件」だった。

    ・「大きな物語」が終わって、「歴史」が終わって、「マルクス主義」が終わって、「右翼と左翼」という二項対立が終わって、相対主義や多元主義が極められてしまったとき、確固とした尺度になり得るものとして残されていたのは、もはや「値段」だけだった

  • とてもわかりやすく論点整理されていて面白かったです。
    続編(?)の「未知との遭遇」も読むのが楽しみ。

  • ニューアカ以降の日本の思想の歴史についてスーパー理解できた

    気がする
    ありがとうございました

  • 自分たち以外の者は思考していないと宣言するかのような「思想家」という単語。
    お互いにきちんと相互理解しているとは思われない、上滑りした、科学から剽窃した造語の羅列。
    少なくともこの辺りの人たちが記す「思想」ってものは、自慰行為なんじゃないかと思ってしまう。

  • 入門書としては最適。

  • 西洋思想も面白いけれど、そういうのに影響をうけても結局日本人なわけだからこういうのも面白いと思った。

  • ここに登場する人たちについて、聞いたことはあるけどちゃんと書物を読んだことはありませんでした。(一部の人はそれなりにかじってた程度。)

    けれど、彼らが「何を語ったか」というよりも「どうやって語ったか」というパフォーマティブに注目して書いた、と前述にある通り、ディティールや文脈を面白くなぞってくれているおかげで、それなりに楽しんで読めました。

    ただ、知っている人にとっては物足りないし、知らない人にとっては省略されすぎている&盛りすぎているのでちょっと疲れる形になってるかも。
    丁度良い前提知識量が難しい本。

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著者プロフィール

佐々木 敦(ささき・あつし):1964年生まれ。思考家/批評家/文筆家。音楽レーベルHEADZ主宰。映画美学校言語表現コース「ことばの学校」主任講師。芸術文化の諸領域で活動を展開。著書に『増補・決定版 ニッポンの音楽』(扶桑社文庫)、『未知との遭遇【完全版】』(星海社新書)、『あなたは今、この文章を読んでいる。』(慶應義塾大学出版会)、『ゴダール原論』(新潮社)、『ニッポンの文学』(講談社)、小説『半睡』(書肆侃侃房)ほか多数。


「2024年 『「教授」と呼ばれた男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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