知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2026
感想 : 165
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880480

感想・レビュー・書評

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  • ①とても難解な内容なのに、ディベート形式のおかげかとても興味を持って楽しく読めた。大学生、会社員、科学主義者、文化相対主義者、形而上学者から方法論的虚無主義者なんて人まで集まって大討論。なんとなく自分もそこに参加しているような気になれます。
    ②言語、予測、思考の限界について、ウィトゲンシュタイン、ポパー、ナイト、ファイアアーベント、カントなどを俎上に載せ、様々な観点から議論するディベート形式の新書。

  • 『知性の限界』が先だと思ったら『理性の限界』の方が先だったのね……。新書で哲学書だから飽きるかもと思ったけど楽しく読むことができました!単純に哲学者達ばかりでなく科学者や一般人を交えた内容で分かりやすかった。特に宇宙論と神の存在論がお気に入りです。

  • 会社サボって読破。対話方式は嫌いだが、対話方式だからこそ、分かりやすいと思う。哲学から物理学まで広く深く論じているのは、本当にすごいなぁと思う。賢い人は、他者に分かりやすく教えると言うけど、本当は分かったように思わせる事ができるらしい。著者の高橋さんもそうなのかもしれない。

  • 対話形式で不可逆性や不確定性について解説され非常に読みやすい。カント主義者の言動に悪意を感じるが笑。

  • 知性の限界

    言語は無意味なのであろうか?予測は不可能なのか?思考は有限なのであろうか?


    そうした様々な人間の限界を論理学や社会学、物理学、さらには会社員と大学生でディスカッションしていく知の仮想シンポジウム。理性の限界の続編です。


    今回も興味深い思想や哲学がてんこ盛りでした。


    ヴィトゲンシュタインの「論理哲学論考」は哲学を叩き切る剣であること。つまり、言葉の定義が明らかではないことを問うても答えは出ないということ。

    ファイヤアーベントの「なんでもかまわない」の真意。


    神の存在を証明する方法の数々。

    確かにこのような用語は知らなくてもなんら問題はない。けど、知っておくと物事をより深く考えられるでしょう。

    マイケル・サンデルの書籍が大ヒットした日本。


    きっと多くの方が楽しめる本でしょう。

  • 同著者の『理性の限界』の続編。言語の限界、予測の限界、思考の限界の三章だてである。それを読んでいない人は、そちらを先に読むことをオススメする。

    題材が題材だけに、すなわち物理学的な世界ではなく文系の世界の話であるために、この手の話に慣れていない人には少しハードルが高いかもしれないし、理性の限界ほどキレの良い流れにはなっていない(特に個別の話が概念的で広がりが狭いゆえに、司会者がぶっきらぼうである)。とにかく、文系学問というのが論証と反証というようには進んで来ていない学問であるからこれは致し方ない。
    とはいえ、存在や真実とは何か、といったような形而上学的な話の流れはほとんど触れられていないので、そういうのが苦手な人でも読めると思う。

    われわれが日常用いる言語、思考というものがどこまで行けるのか。科学と非科学の違いは何か。そういった疑問の入り口を呈して、それにまつわる議論を概観するには、多少現代的というバイアスはあるものの面白い本だ。
    この本の読者には文中の議論からぜひもう一歩考えを進めてもらって、今の社会で絶対に正しいと思われているもの、あるいは思われていないものの正当性、あるいはその欺瞞について考えてもらうとよいだろう。現代社会に対して俯瞰的に、あるいは時に批判的な観点からこの本を読むと、さらに楽しめること間違いなしである。

  •  理性の限界の続編で、今回は言語の限界、予測の限界、思考の限界について。さらにウィトゲンシュタインの論理実証主義、ポパーの反証主義、ファイヤアーベントの方法論的アナーキズムを示して三人の科学とは何かという思想を比較する。頭爆発だけどまとめてみる。

     第一章言語の限界。ウィトゲンシュタインは哲学を言語の問題として切り捨て、科学は論理に基づき実証されなければならないと主張したが、不完全性定理により論理実証主義が崩壊。その後、言語ルールは社会集団の生活形式によって習得されるとしたことで他文化の相互理解は言語に限界があるという結論。

     第二章予測の限界。帰納法は個別的な前提から普遍的な結論を導く推論方法であるが、可能性が極めて高いということで完全ではない。ポパーは反証主義を打ち出し、すべての科学理論は反証と暫定的理論の繰り返しであると主張した。帰納法に加え複雑系が絡むと予測など到底不確実である。

     第三章思考の限界。宇宙の成立に関わる物理定数に何らかの微調整が働くという説から3つの神の存在証明が並べられる。論理実証主義は自己矛盾に陥り、反証主義は過去の主張を消し去った。ファイヤアーベントは科学は本質的にアナーキスト的行為であると主張した。つまり、なんでもかまわない。

     研究してたころは反証されて(文句つけられて?)訂正しての繰り返し。論理実証のための理論、シミュレーション、実験。 「なんでもあり」に至れる科学者は大天才か、オカルトか。 宇宙論は偶然であれ必然であれ観測者としての人類が存在しているからいいじゃない、って思うんだけどなぁ~

  • 人はどこまで分かるか、そしてどこから分からないのか。

  • ディベート形式の内容なのだが、とにかく面白い。買ったきっかけはヴィトゲンシュタインについての記述があったからなのだが、全体的に気軽に読めておもしろい〜〜理性の限界も早く読みたい。

  • 一般人 哲学史家 数理経済学者 形而上学者 宇宙物理学者 カント主義者 論理実証主義者などなど 様々な登場人物による座談会形式。

    言語の限界 予測の限界 知識の限界について様々なスタンスで語る。

    無数の脇道を三つのテーマで強引にくくりあげたような、よく言えば教養 悪く言えば雑学の塊のような本。割と好みだけど二回は読まない。

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著者プロフィール

國學院大學教授。1959年生まれ。ミシガン大学大学院哲学研究科修了。専門は論理学、科学哲学。著書は『理性の限界』『知性の限界』『感性の限界』『フォン・ノイマンの哲学』『ゲーデルの哲学』『20世紀論争史』『自己分析論』『反オカルト論』『愛の論理学』『東大生の論理』『小林秀雄の哲学』『哲学ディベート』『ノイマン・ゲーデル・チューリング』『科学哲学のすすめ』など、多数。

「2022年 『実践・哲学ディベート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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