タテ社会の力学 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062919562

作品紹介・あらすじ

日本では法よりも社会的規制によって人々の行動は律される。『タテ社会の人間関係』で著者が提示した「タテ社会」というモデルを動かすメカニズムを、全人格的参加、無差別平等主義、儀礼的序列、とりまきの構造など、興味深い事例で解明、日本社会のネットワークを鮮やかに描き出す。外的変化に柔軟に対応する軟体動物的構造の再認識に国際化の扉は開く。

感想・レビュー・書評

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  • あまり頭に入ってこない文体で分量のわりに読み終わるのに時間がかかった。
    学歴・職場といったものに価値を置き評価を決める人は多いのだなあと思った。
    正月などでの親戚が集まって食事したときもそういう話が多い。
    日本人の法意識と法からの逸脱の許容範囲は全体がやっているかやっていないかで決まるというのは、自分の体験とよく一致するものだった。
    似た文章も引用しておく。

    パウロ・コエーリョ「アルケミスト 夢を旅した少年」から
    「キャラバンと砂漠は同じことばを話していました。だからこそ、砂漠はキャラバンが横切ってゆくのを許してくれるのです。それはキャラバンの一歩一歩をテストして、時間どおりにいっているのか見ています。そしてもし時間通りならば、僕たちはオアシスに行けるはずです」
    「もし、われわれのどちらかが、そのことばを理解せずに、個人的な勇気だけでキャラバンに加わっていたら、この旅はもっと困難なものになっていただろう」

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740694

  • 具体例が少ない。日本人はこれこれだという定義が多いが、具体的に何を指しているのか判断できないので、何を言っているのかよくわからない。定義先行は20世紀的な記述か。もし、今書かれたらもう少し違うものになるかもしれない。でも評価されないかもしれない。

  • 「タテ社会の人間関係」が素晴らしかったので、姉妹編の本書を読む。
    「小集団」というのが、本書の一つのキーワードだと思うが、この概念を使って、人材育成のあり方についても論じる事ができるのではないかと思う。

  •  文系学問ってロジックなんだよなぁと思う。

  • タテ社会の人間関係の姉妹書。前書でカバーしきれなかった論点を補足するための新たな軸の導入とのことだが、小集団の概念にしても甘えの関係にしても、基本は前書で導入された個と集団のあり方に立脚して説明がついているような気がした。敢えて言うなら、少々わかりにくかったポイントをブレークダウンして解説するためのadditionalなconditionの紹介、といった形か。

  • 比較社会学の本。
    日本社会の特徴は、小集団が縦に結びついている。
    ヒトデの腕のようになっている。
    責任を明確にしないメカニズム。
    日本人は、序列をつけることが好き。
    タテ社会のエッセンスは、序列を守ること。

  •  日本人としての自分を再発見することができた。いかに少集団的意識によって自分が行動しているか・・・

     ネット社会の発展によって、常に複数の他人と繋がっている状況が一般化された社会において、中根千枝の理論がどう読み直されるか、気になる。

  • 日本社会の構造を分析した書物である。ポイントは日本人の個体識別レベルは家族・仕事場などの「小グループ」であること、「小グループ」では、ある程度「わがまま」が許されフラストレーションが発散できるが、同時に個人の「勝手」を規制する力も働く。この「小グループ」が数珠状につながる点が第二のポイントである。小グループは互いに序列をつけあい、互いに追従・規制をしあうが、上位グループからの権力は届かない。「右みて、左みて」をして、自分たちの行動を規制している。このような軟体構造をもっているために、原則がないので理解しづらいが、同時に変化への対応能力も高い。

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