- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062931021
感想・レビュー・書評
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面白かったです。
世界の最果てにある古びたアーケード、行ってみたくなります。
世界の片隅に本当にありそうです。文房具屋さんに一番行ってみたいです。
義眼屋さん、レース屋さんと遺髪レース編み師、ノブ屋さん…どの店主もひっそりとしていました。
主人公も、つかみどころがなくてひっそりとぼんやりとしていました。何歳かもわかりません。
ラストのその先を考えてしまいます。遺髪レース編み師さんに自分の髪を渡していたので、主人公はきっと…とは思いますが。
雄ライオンのノブの奥の暗闇、わたしも入ってみたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2018.09.12読了
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これは面白い。
気になっていた作家だけれど、これほどまでに好みだったとは。
本の中全体に広がる怪しさ、美しさ。
ものを売る、買う、運ぶ、そこにあるのは生きた感情だと思うのに、何故か生き生きとした感じがない。
あるお店もあるんだけど、どちらかというと終わりにするためにやってきて、何かを買っていくような。 -
クエイ兄弟の映画「ストリート・オブ・クロコダイル」の、淡いカラー版。
カバーが酒井駒子だったので手にとって、そのままするすると読んでしまった。ドーナツのポーズ、認めてあげられたらよかったのに。 -
サヨナラだけが人生さ。
ただし「サヨナラ」はゼロではない。
手のひらからこぼれていくのをただただ見ているしかない、こぼれていくものはたただた美しく愛おしい。あかぎれだらけの手のひらにしみいる。
こぼれていくもの以上に私が存在をつかめなかったのは、大家さんの娘である少女でした。
追記)解説を先に読んではいけない -
大衆文学寄りの小川洋子作品。漫画化されたものも読んだことがあるけど面白かった。小川洋子は、名前にRがつく人物を多く登場させる。
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まぁいかにも小川洋子の世界が満喫できますが、ちょっと印象が弱いかな、個人的には。アーケードという設定がネガティヴに働いてしまった感がある。枠組みに囚われてしまって自由さを失ってしまったというか。
でも死の匂いが静かに漂う独特の空気はしっかり味わえます。 -
「紙店シスター」が好きでした。
「百科事典少女」のRちゃん、「この世界では、し、ではじまる物事が一番多いの。」のフレーズが意味深に感じる一冊。 -
不変の小川ワールド。
ただただ静か。
雑用係のお祖父さんの手紙、遺髪レースの赤ん坊のところは、ほろっときた。
最後のお父さんの焼死から見えてくる物語の構造。結構、入り組んでいる。 -
世界でいちばん小さなアーケード。そこに並ぶお店と客を描きながら紡がれる物語。使い古しのレースの端切れを売る店の客は、劇場の衣装係さん。この衣装係さんを皮切りに、使用済みの絵葉書を売る店、ドーナツ屋、義眼屋、ドアノブ屋などなどが登場します。語り手はアーケードの配送係の女性で、かつアーケードの大家の娘。大家は火事ですでに亡くなっています。いずれの話もノスタルジーを感じさせ、読み手のイマジネーションを膨らませる逸品。特に、ライオンのドアノブの向こうにある「窪み」に埋まる話が好きでした。大家だった父親と彼女の身に何が起こったのか、最後にあきらかになるシーンは切なくてたまりません。この世界観、大好きです。