恋と禁忌の述語論理 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062990387

感想・レビュー・書評

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  • 各論賛同総論残念、なので別作品に期待して星五

  • 図書館で借りた本。
    アラサー美女の硯さんが論理を使って謎を解く。
    「スターアニスと命題論理」仲良し4人組のお茶会事件「クロスノットと述語論理」イタリアンレストランの従業員殺人事件「トリプレッツと様相論理」双子ちゃんのどっちが犯人?事件「恋と禁忌の・・・・・・?」上記3作品をつなぐもの

  • 数理論理学で事件を推理していく、というミステリー。
    キャラクターも立っていて、会話のテンポも良く、数理論理学も説得力があり、なんだけど、肝心の事件自体がちょっとありきたりというか、リアリティが薄い印象・・・かと思っていたら最後はちょっとびっくり。
    それはまあ事件設定が薄いはずだよねって感じにはなりました。
    ただ少し、技巧に走りすぎた感じはしました。

  • 正直予想ではもっと軽く読めると思ったんですが表紙に騙されました。
    まず謎解きがあってその答え合わせが数理論理学で証明で本当に苦しめられました。
    最後の謎が一番気になります。

  • アラサーの天才数理論理学者で美人の叔母、変わり者の探偵たちを友人に持つ大学生の甥と設定はライトノベルだが、内容はメフィスト賞受賞作らしく理系のロジック満載の推理と意表を突くオチ。
    数式などは表面だけしか理解出来なかったが十分面白かった。脇役の探偵たちも十分にキャラが立っていたところも良かった。

  • アラサー美人論理学者が,甥からの「解決済み」の事件の相談を論理学で検証する話。
    ありがちな個性派探偵モノではあるが,作中にもっとありがちな個性派探偵を出して,論理学で上回るという,アンチありがちな個性派探偵小説の一面も持つ。
    事件自体はイマイチだが,論理学とはなにかが何となく分かる。
    ちなみに作者は東大卒で,「真偽」と書いて「マギ」・・・。

  •  探偵曰く、「神の奇蹟」の証明には、それが「どんな手段を以てしても人間には成し得ないこと」――つまり「不可能性の証明」が必要となる。それは俗に「悪魔の証明」と呼ばれる、最悪最凶の証明方法だというのだ。
    (P.296)

  • 数理論理という、とてもアカデミックな探偵手法を入れたミステリ。
    一旦一般的で本格な解法で解決されているように見える事件を、安楽椅子探偵が再調理する、というパターン。
    一般的な手順で行われた結論の欠落をロジカルに導きだすのも、その先の数理論理による新事実もしっかりしていてそれなりに楽しめたが、いかんせん事件自体やトリックが魅力に乏しい。
    続編が待ち遠しい、とはならなかった。
    3-

  • サブキャラのインパクトがそれぞれデカい。どっからでもスピンオフ出来そうなくらい。

  • ”恋と禁忌の述語論理”井上真偽著 講談社ノベルス(2015/02発売)

    ・・・第51回メフィスト賞受賞作。
    大学生の詠彦君が天才数理論者の叔母・硯さんに相談する三件の事件。
    数理理論は事件の証明が出来るのか?

    ・・・”花屋探偵””大学生探偵””職業探偵”、三者が出した推理を再考査する。
    三人ともシリーズ化できそうな位、魅力的な探偵だったので硯さんの前座扱いになって惜しい、と思っていたところの最終章。
    予想外のどんでん返しとタイトルに繋がるラスト。

    今年の一番を十分狙えるタイトルでした。

    ・・・論理学についての記述は私には難解でしたが、ある程度流し読みにしても十分楽しめました。
    (解る人にはもっと楽しめるのかも?)

  • 大学生の詠彦が、天才論理学者の叔母・硯(独身アラサー美人)の元を訪れ、話題として解決した事件の真相が本当に合っているか証明してもらう。という連作短編小説。

    ”物理学とは自然現象の法則を明らかにすることであり、
    論理学とはヒトの思考の法則を明らかにすることである”

    真相を証明するのに、動機なんか考慮せず、すべて論理式で導き出す。という設定で、
    (例文)私は髪をツインテールにしようかと思ったが、さすがにアラサーでツインテールはないのでやめた。
    (公理)A1:私はアラサーである。A2:私はアラサーであるならばツインテールはない。
    (結論)Z:ツインテールはない。
    のような例題で論理学をわかりやすく説明していて、こういった回りくどく感じる論理学で硯は安楽椅子探偵のごとく事件の真相を導き出す。

    年齢のことでスネたり、モテる詠彦に嫉妬する硯が萌えカワイらしく描かれている。


    「スターアニスと命題論理」
    料理の中に香辛料の八角と間違えて、毒性を持つ”しきみ”の実を入れてしまい、それを食べた人が死んでしまったけど、それは事故だったのか?それとも故意に入れた毒殺だったのか?

    「クロスノットと述語論理」
    テナントビルのフロア内のトイレで絞殺死体が発見されるが、だれでも出入り自由だったことから容疑者が絞り込めず。ただ凶器のネクタイの結び方にヒントが?

    「トリプレッツと様相論理」
    雪山の洋館で殺人事件が発生。被害者は花瓶で殴られ紐で絞殺された。容疑者は双子の姉妹。ただし1人は腕をケガしていて、もう1人は鉄壁なアリバイがあった。犯行現場には1往復の足跡が、、、。


    <オチ>
    「恋と禁忌の……?」
    硯が詠彦に殺人ほう助なんてしないで、と諭す。

    最初の事件の被害者は詠彦の幼馴染・ゆりの姉だった。
    硯の論理で事件が故意に毒殺したことが証明されたことで、ゆりは犯人に復讐しようと企てた。
    詠彦はゆりに依頼されて彼女のかわりに完全犯罪の計画を企て、その計画に穴がないか硯に試していたのだ。
    2番目と3番目の事件は詠彦の創作だったのだ。

    すべてを見抜かれた詠彦は硯に謝罪し、ゆりを説得して復讐を止めることを誓う。

    ・・・そして最後に
    詠彦は硯が好きなことと、
    硯は詠彦の叔母でないことがわかる。

  • 【収録作品】レッスンI「スターアニスと命題論理」/レッスンII「クロスノットと述語論理」/レッスンIII「トリプレッツと様相論理」/進級試験 「恋と禁忌の……?」

  • 2015/02/20読了

  • 全体的に中途半端だったな、という印象。
    自分の頭の都合もあるでしょうが数理論理学は説明がややおざなりであるうえに、実際事件の解決に効果を齎していたのかというと、レッスン1に関しては全く必要の無いただの遠回りに思えたし、3のトリックに関しては肝心の部分が数理論理学と関係ないところが決め手になっていてなんだかな、という感じ。事件とは有る程度有機的に絡み合っているとは思ったものの、やっぱりもともとの理論の説明が足りないから、結局結論部分だけを見てそういうことねーとなってしまい、物語の一要素だけに留まっていたかなあと思います。
    あとイヤだったのは会話・地の文・応酬に西尾維新臭を強く感じたこと。あざといキャラクター、時折挟まれるギャグなど、完全に西尾維新の影響を受けていると思ったのですがどうでしょうか。西尾の苦手な部分だけを抽出されている感じで読むのが若干辛かったです。

  •  登場人物の九割が女性、主人公はなぜか女性たちから構われまくっているっていうそれ、なんていうエロゲ?

     既に解決された事件の推理を披露して、その論理を検証してもらうパターン。
     物語としては面白かった。論理学の盛り込み方も分かりやすく書いてあると思うよ。うん? ってなったのは数か所だったし。論理学を齧ったこともない人間が読んだらどう思うかまでは分からん。どうだろう、主人公の思考(硯さんの言ってる意味が分からんって嘆いている部分)がいらっときて、この子は本当に理系の学生なのって思った。いや、硯さん、ずいぶん分かりやすく説明してくれてるよ。分かれよ、って気分だったけど、さわりだけでも論理学を勉強したことがあるからそう感じただけかもしれんな。
     最終的なオチに絡んでくるのもあるけど、各探偵の推理がなぁ。いやうん、どうなのそれっていう。ミステリとしてはお粗末でなぁ……。
     要するに論理学、命題論理、述語論理を使うってことは、「探偵の推理を記号を使って単純に書き直した」ってことなのよ。そんなの当たり前じゃん、そういうことを含意してるでしょっていう部分を記号にしたの。記号に出来てしまうのっていう部分が論理学の醍醐味だと思うのね。
     そこを主題としてミステリを書くっていうのも面白いし、論理学大好きだから楽しかったんだけどさ。それぞれの「謎」は弱い、探偵たちの推理も弱い。論点違うだろそれ、って部分が多々。わざとそうしている、と捕えるほかない。ひっくるめて冊子全体のオチがあったからミステリとして許容範囲内ってところか。
     既に提出された答えを否定して新たに上書きするって手法においては、貴族探偵の二作目を越えられないね。あれは最強だったわ。否定する一つ目の推理は完璧であればあるほど、否定されたときの衝撃がでかいのは当然。その見せかけの完全性が足りなかった。
     いやでも面白かったんだよ。もともと論理学好きだしな。頭悪いからすぐ忘れちゃうし、自分で思考を展開できないけど、読むのは大好き。人生で衝撃を受けた出来事を三つあげなさいって言われたら、「綾辻の小説を読んだこと」と「x^2+y^2=r^2で円が表せること」と「P∨¬P」を知ったことだわ。「PあるいはPではない」とか当たり前じゃん。「今雨が降っているか、あるいは降っていないかのどちらかである」って命題を否定する人間はいないっしょ? なんだろうそういう当たり前を記号にして命題化して、始点にするっていうのがたまんないね。人間の思考ってね単純なんだよ。
     排中律が好きなので、そこを否定せずに、対偶を使った証明の危険性を説いてもらいたい。対偶は嫌い。なんか不安定じゃね? あれって。
     どの部分を命題として抽出するか、細分化するかってのが不明瞭、不明確だから完全とは言い切れないけど、完全なものってのは人間が手に入れられないものだろうしな。硯さんみたいに「すべての人間の思索活動の頂点に立つもの」とは言わないけど。頂点じゃなくて、基準。基礎、基本。頂点という言い方だと優劣をつけているような印象を与える。そうじゃなくて、すべての思索活動に「横たわっている」ものだと思ってる。
     いやうん、面白かった。フレーゲ、ラッセル、タルスキ、ホワイトヘッド、ゲーデル。このあたりの名前が出てくる講義を受けたことある人、興味を持ってるひとには楽しめると思うよ。がっつり知識のあるひとにはくどいかもしれんけど。
     シリーズで続けるのならば、次はちゃんと硯さんに探偵をしてもらいたいね。検証役ではなく。
     抜粋。


     ――可能性から事実は導けない。


     これも当然のことなんだけど、人間はなかなかこういう根本を理解したがらない。

  • 第51回メフィスト賞受賞作。本格ミステリにおける謎解きに数理論理学を取り入れ、記号と純粋な演算のみで真実を導くアンチミステリ的なものを目指したことはわかります。が、実際には組み立てたロジックの正誤を検証するだけの後追い作業に過ぎず、印象に反して予想以上に普通のミステリで終わってしまっています。自分で解けた際の喜びは確かに格別ではあるものの、門外漢に理解させる気ゼロの解答だけ示したような図表もエンタメとしては問題でしょう。美人であざといアラサーお姉さんな硯さんと濃ゆいキャラクターたちで読ませてはくれますが、数多ある蘊蓄系ミステリの亜流でしかなかったのにはやや肩透かしを食らいました。

  • テーマもいいし、構成もいいし、キャラクターもいい。唯一の欠点は数理論理学が全く理解できないところだが、これは自分の学の無さということで…。理解して読めたら更に面白いんだろうなと考えると若干の悔しさを覚えてしまう。

  • 事件を数学的に検証、ってことで興味津々で読み始めたのだけど、文系頭はかなり沸騰。
    解決した事件を検証する、動機は必要ない、ふむ、そういうミステリもあるのか、と思いながら読んできて、え?そういうことだったの、とびっくり。なるほどな。
    しかし、あれだ。最後に明かされるその人間関係的設定、って必要なのか?

  • メフィスト賞受賞作。数式は飛ばして読みました(笑)

  • もともと僕はメフィスト賞というものにそれほど期待はしていません。
    しかし、前回受賞した「○○…殺人事件」を完璧にスルーしており、評判が立った後読んだため、すっかり波に乗り遅れた感があり、今回は評判を待たずして読んでみた次第です。
    結果を言うとスルーしても問題はなかったかなという感じです。
    内容は、一度決着のついた事件をいかにもなキャラ設定のアラサー安楽椅子探偵が、数理論理学なるものを使い、超遠回しに推理の穴を指摘して事件を解決するといった多重解決ものです。
    帯に書かれた「探偵を超える最終探偵」という謳い文句は少々誇大広告な気がするのですが…
    3話ある中でベストをあげるとすれば、同じ条件から綺麗なロジックで皮肉な結末をもたらす冒頭の「スターアニスと命題論理」でしょうか。
    1番文量のある「トリプレッソと様相論理」は、雪密室のトリックに気をとられる余り、推理に大きな穴が開いてしまっている始末です。
    それでもエピローグの展開はなかなか面白いと思います。
    文章は小慣れている感じで特に躓くこともないし、キャラも立っているため本格寄りのライトなミステリを読みたい方にオススメです。

  • 新人作家なので余り酷評はしたくないのだが、はっきり言って面白くなかった。
    本格物を目指しているのは判るが、事件そのものが古色憤然としている。探偵の上をいく論理学推理も謎解きには寄与していない。そもそも推理その物が穴だらけなので、フーダニットが成り立っていない。子難しい論理学の講義はそれなりに楽しめるが、数式は理解不能、定理の基準が甘すぎて数式が成り立たないのではと危惧する。
    キャラがイケてるので救われる。キャラの絡みと謎解きの面白みが有る分だけ救われる。別の解答が成立する作品だが、最後の章でなんとなく纏めている。
    次回作への複線と思われるが、作家独自の謎解きを期待したい!数式では無くスッキリと筋の通った推理でお願いします!

  • ミステリの謎解きを数理理論で解決する⁈
    そんな摩訶不思議な名探偵が現れた。アラサーの美女・硯(すずり)さんに謎を持ち込むのは甥の大学生・詠彦(えいひこ)。

    詠彦が関わった3つの事件。全て法律上では「解決」した事件をこの結末は是可否であるかを「演算」して欲しいというのだ。

    自慢じゃないが、こちとらバリバリの文系とくらぁ。んなもん解るかあ!と思ったんであるが。
    いや、うん、ひとつずつ文章をPだのQだのに置き換えるなんて斬新だわさ。文章にしたら3行に及ぶのに置き換えたら、ただのP。ただし何度も文章と見比べてるんだけどね、あたしののーみそでは。

    いやはや、目からウロコがはげ落ちるたあこいつのコトですな。

  • ミステリとしてはそこまで悪くはない。しかし、数理論理学のペダントリを売りにした「理系ミステリの到達点」を標榜する割には、その理解が間違っており、ミステリ部分の良さを完全に殺してしまっている。理系成分に拘らずに、たんなるミステリだけを書いてみてはどうか。

  • 論理数学で矛盾を導くミステリ。硯さんが論理数学の専門家である必要なかった気がする。特に不完全性定理のところとか、ツッコミどころのある解説な気がするけど、日常の言動や行為を論理命題に落として検証という流れは、初学者向けとしてはいいのかもしれない。最後の硯さんの下りは計算高いというかあざというというか、じゃああの天然もワザとと解釈すると、既に詠彦はだいぶ調教済み、と。

  • 論理学×探偵×メフィスト×お姉さん。
    表紙や雰囲気でビブリアを意識していると見せかけて、中身は論理学の教科書でミステリ。ロジックを公式で示す+論理学の理論をぶっこんでくるあたり、自分ではやる気が…ミステリとしての基礎部分はシンプルなのでいかに論理学公式で示すのかというお話。ただミステリを論理式でやるなら、物語はいらないただの問題のわけで、それを超えた物語があるのかというと。うーん…
    連作を通じた仕組みはなかなか。
    あとアラサーお姉さんがあざとい。ただただあざとい。ここら辺はビブリアっぽい。
    論理学、もしくはメフィスト、もしくはアラサーあざといお姉さんが好きな方に。

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著者プロフィール

神奈川県出身。東京大学卒業。『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞。
第2作『その可能性はすでに考えた』は、恩田陸氏、麻耶雄嵩氏、辻真先氏、評論家諸氏などから大絶賛を受ける。同作は、2016年度第16回本格ミステリ大賞候補に選ばれた他、各ミステリ・ランキングを席捲。
続編『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』でも「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位を獲得した他、「ミステリが読みたい!2017年版」『このミステリーがすごい!  2017年版』「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」にランクイン。さらに2017年度第17回本格ミステリ大賞候補と「読者に勧める黄金の本格ミステリー」に選ばれる。
また同年「言の葉の子ら」が第70回日本推理作家協会賞短編部門の候補作に。
他の著書に『探偵が早すぎる』(講談社タイガ)がある。

「2018年 『恋と禁忌の述語論理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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