- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065183816
感想・レビュー・書評
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高名な作家さんも普通の人間だった。
自由奔放な少年時代。
家族に愛され、励まされ、時々叱られ、
反抗したり、わがまましたり。
夢を追いかけ奔走したり、自分がイヤになったり。
大切な人を失ったり、病気に挫けそうになったり…
そんな毎日の中から溢れるほどの素敵な作品を作り上げていったのだな。
宮沢賢治が愛おしいです。
それから、お父さんの気持ちが分かりすぎて、もはや私はお父さんになって本の中に入っていました。
この小説の最後に読むアメニモマケズはやはり泣いてしまいますね。
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映画館でポスターを見て読んでみた。
俳優や女優を売り込むために原作を探すいつものパターンかと期待していなかったが、期待を大きく裏切る作品。宮沢賢治は注文の多い料理店の童話作家くらいしか知らなかった。
その父政次郎の切り口からの作品。
こんなお父さんがいてくれたから宮沢賢治の作品が生まれたんだなー。愛情と家長としての威厳に揺れながら逞しく生きる姿に胸が熱くなる。
宮沢政次郎がきっと好きになるそんな作品。 -
駅の映画のポスターで興味を惹かれ、原作があると知り、直木賞作品とはいえ「結局は今をときめく俳優を出す(だけの)映画」になるレベルののだろうなと思い読んでみたら、ごめんなさい。ストーリーも文体もめっちゃ好き 笑
宮沢賢治の生涯はなんとなく知っていたけど、事実かどうかはおいておいて、新時代の父親の苦悩と幸せとが楽しめる。僕の父親はどうだったんだろう。僕は知ることはない父親の気持ちを疑似体験できました。岩手県の方言もなんか可愛い -
岩手旅行に出発する前に宮沢賢治の作品が読みたいと思い、本屋へ。童話や詩集を購入するつもりが、映画化の文字に惹かれ賢治の父の物語を購入してしまった。家族や環境に甘え、好きなことに突き進む賢治は最初は甘ったれのボンボンだと思ったけど、迷いながらもその時々で自分の進むべき道にまっすぐに邁進する賢治とそれを支える家族の姿にあたたかさを感じた。賢治の作品の背景を知れたのもよかった。もう一度、宮沢賢治の作品を読み返してみたいと思う。
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「注文の多い料理店」や「雨ニモマケズ」を著した宮沢賢治の幼少期から臨終後までの出来事を見守っていた父親の愛情が感じられた。大病を患った時の看病やお金の無心にもとことんまでつきあった親、そして兄弟姉妹も皆、賢治のことが大好き。この家族が過ごした日々は大変なことが多かったけれど、人生を駆け抜けた賢治にとっては最高の家族だったと思った。
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宮沢賢治の印象がだいぶ変わってしまいました。
親がサポートしたから今これだけ名前が知られていると思うと、親の愛情って果てしないと思いました。
私はここまでできないなぁ〜 -
雨ニモマケズ…のこの詩は知っていたものの、宮沢賢治本人や、その生い立ちに関しては恥ずかしながらほとんど知りませんでした。
父である政次郎さんの視点から宮沢賢治の事が書かれていますが、賢治に対する愛情の深さに、序盤から涙がでて止まりませんでした。
宮沢賢治のよき理解者であり、父親になることで弱さを痛感し、心配し、そして共に喜び、見捨てず賢治に寄り添う父政次郎さんがとても魅力的でした。
宮沢賢治のイメージもガラッとかわりました。優秀ではあるけれど、明るいし、いたずらもするし、自由だし、お金の無心もするし、でも私たちと同じように悩み、もがいていた人生だったのだ、と。
東北の方言も懐かしく、岩手山の雄大な景色を想像しながらよみました。
映画化される、と聞いて読みましたが、そちらもとても楽しみです。
そして、自分の亡くなった母を思い出しました。 -
この作品は、直木賞の選考でも、かなり評価が高かった、と言うことはどこかで聞いた覚えがあり、実際、伊集院静さんの選評には「一回目の選考から文句無しの各選考委員の支持を受けました」と書かれている。
しかし、文庫化されているのを知り、 何とはなしに作品紹介に目を通すと 【清貧なイメージ で知られる彼だが、その父・政次郎の目を通して語られる彼はひと味違う。家業の質屋は継ぎたがらず、「本を買いたい」 「製飴工場をつくってみたい」など理由をつけては、政次郎に金を無心する始末】とある。うーんこれは文豪=くず、のパターンか?と、少し前に読ん だ「やばい文豪」 を思い出す、、、
ところが、実際に読んでみて、私の印象はちょっと違った。実家が裕福で、甘ったれのおぼっちゃんで、やりたくない (できない、の方が正確かもしれない) 仕事はやらず、見通しが 甘かったり、 お金の無心をする息子、確かにそれはそうなのだけど、何というか、その言葉の羅列から想像する、どうしようもないちゃらんぽらんでいい加減な息子とは違う。 読んでいて、お坊ちゃんだなあ、トシが長男で賢治が次男だったらねえと思ったり、政次郎に対しても、なぜそこで援助してしまうかなあ、と思うことは多々あるのだが(苦笑) それでも、「お話を作る」 と言うことに対する質治の秘めた強い思いには胸を打たれたし、 教員として頑張る姿にも、賢治の生きられる場所がそこにはあったのだなあと温かい気持ち になった。
と、それよりもこの作品は 「銀河鉄道の父」である。 「父」が主人公の小説だ。なぜ、賢治が主人公の、賢治から見た父や母、妹、自分の人生、じゃないのかな、と思ったのだが、これが良かった。
私は女なので、父から見た息子や娘と言うのがどういうものなのか、実感を持って感じたり、想像することはなかなか難しいので、特に、「」で実際に発せられている言葉ではない、()で思っている気持ちや、本文として説明されている政次郎の思いが、微笑ましかったり、切なかったり、母親にはない感情だな。と思ったり、とても新鮮だった。
ところで、ストーリーとは全く関係ないのだが。
卓袱台と言ったら、昭和のイメージ、 おやじがひっくり返してる。そんなどこかの漫画やコントのイメージそのままだったのだが、終わりの方に出てくる卓袱台の描写が印象的だった。『上座も下座もない車座』なるほど。 この時代には、むしろ『新時代の家』だったのだ。
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宮沢賢治の作品を読んでいなくても大丈夫。
主人公は賢治の父(政次郎)であり、詳しい心理描写に読み手が感情移入しやすい。
対して、賢治の心理描写は殆どないため、その言動から心情を推し量るしかない。この手法が上手く作用して父子のすれ違う感情の「もどかしさ」に引き込まれてしまった。
後半から両者に変化が出てくると、テーマであろう『親子関係』(特に父子関係)が、万人共通であることに気付かされ感動がドーンと最後まで続いた。
読んでよかったと思える本です。いやぁ〜本って本当にいいですねー。(水野晴郎風に)←古すぎ!