あきらめません!

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065277683

感想・レビュー・書評

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  • 垣谷さんワールドでした。

    60歳定年リタイアをきっかけに、東京から夫の実家がある山陰の町へ移住した夫婦。

    ガーデニングと散歩と…など考えていた生活は思っていたより波瀾万丈で、と言った内容です。

    いつものように前時代的な考え方を持つじいさん達にイライラしたり、反撃にスッキリしたり。
    けど、いつもよりイライラ>スッキリで、おもしろかったのですが、途中リアル過ぎて少ししんどい感じでした。

  •  定年退職後、夫の郷里に移住し余生を送ることにした妻の、田舎生活での悪戦苦闘を描いた作品。
             ◇
     ともに定年を迎えた郁子夫婦。
     自宅のローンも完済し、子どもたちも独立。老後はそのまま東京で、趣味に遊びにと悠々自適生活のはずだったが……。

         * * * * *

     未だに色濃く残るジェンダーバイアス。

     垣谷氏お得意のテーマですが、今回は夫の郷里である田舎町を舞台にしたことで、頑迷固陋な男尊女卑思想を際だたせることができていました。

     滑稽なほど愚かしいこの封建的思想。
     何も男性だけの考えではなく女性にも根強い。本作でも幹夫(郁子の夫)の幼なじみの女性から発せられてもいます。「女の敵は女」の典型です。

     その不合理を指摘して、改善策を提示する。ことは簡単ではありませんが、始めなければ何も変わらない。

     描かれるのはジェンダーギャップを解消するべく改革に乗り出した郁子の姿(準主役の由香の姿も)。多少順調に行き過ぎの感はあるけれど、「チーム郁子」のメンバー設定や時代劇の悪役のような頑迷老人たちをギャフンと言わせる筋立てなどは、読んでいて痛快なことこの上ありませんでした。

     これも映像化して欲しいと思うような、垣谷美雨さんの本領発揮の作品です。


  • 定年退職後、のんびり過ごそうと移り住んだ地方都市は男中心の封建社会。
    女性の立場は男の従者の様。男中心の議会では女性目線の福祉や雇用など案件は通らない。
    そんな市議会に一歩踏み込んだ女性が市長にまで突き進んでいく。
    周りを巻き込み、なんとかしようという心意気が心地良かった。

  • いつものことながら垣谷さんの痛快コメディ

    夫婦とも無事定年を迎え、さてこれからはのんびりと
    夫の幹夫は、野菜作りに釣り、妻は読書とイングリッシュガーデンを楽しもうと、東京のマンションを売却
    山陰地方の片田舎、幹夫の実家の隣家を買い第二の人生をスタートさせる

    図書館に行くつもりが市議会場に入り込んでしまい市議会を傍聴したことがきっかけとなり、あれよあれよと話が展開する

    市議会の男性議員の女性議員に対する下卑た野次は
    国会の場でも見た光景
    家庭生活に蔓延する男尊女卑の考え
    ああ、むしゃくしゃ、イライラ、腹が立って腹が立って

    少しずつ、少しずつ自分の考えを伝え、賛同者を増やしていくことは、並大抵のことではなかろう
    現在活躍しておられる女性議員や女性知事さんの前には、そこへの道を切り拓かれた先人の並々ならぬ苦労があったことだろう

    郁子が市長となりクォーター制を導入し女性市議を増やしどんどん改革を成し遂げていく過程は痛快だった
    そう簡単にはいかないと分かっていながら、一番市民生活と直結している市議会などは、無駄を見直していったら改革はすぐにできるのではないかと思わせてくれるスピード感だった


  • やっぱりテンポいいわー。理不尽なイライラもギモンもトントン気持ちよく解決してゆく。そんなに上手くいくワケないじゃん、って思うけど、そうよねこうありたいよね、って思う。
    重いの読んだ後は垣谷さんでリセット、が心地良い。

  • すこいバイタリティ。
    60歳を越えても
    諦めず何事もチャレンジしていく精神でありたい。

  • あっという間に読破
    バイタリティのある主人公
    余りにも酷い周りの老害の議員
    変えなくては 
    子育てに優しい社会に

  • 二人の女性が主人公。
    一人は定年退職を機に、夫の実家への移住の話が持ち上がり、姑との同居では気が進まないなか、実家の隣家が売りに出され、別居となり念願の広い庭が手に入ることに魅力を感じ移住に踏み切る。
    もう一人は生まれてからずっと同じ土地に住み、幼い子供を育てながら平凡な日々を過ごしていたが、夫の母親が家をでて行方がわからないと義父が来る。世間体を考え警察への相談を渋る義父。
    この二人の物語が交互に展開されながら、それぞれの結末はどうなっていくのか?と関心が高まる。
    物語は、突然、ある出来事を契機に二人を結びつけていく。そこからは理不尽に腹立たしさを感じながら、主人公の女性がどう立ち向かっていくか、結果を早く知りたくて、一気に読み通した。
    地方では高齢化、過疎化が進む日本の縮図みたいな市を舞台に、男尊女卑の意識が色濃く残る男性中心の世界で果敢に挑む女性たち、読後感は爽やかで痛快だ。

  • 今の日本の問題を教えてくれつつ、エールをもらえた作品だった。
    声をあげたいのにあげれない人の背中をそっと押してくれる。

  • 爽快すぎて一気読み。
    ただこれを読んでいると、自分の中にも無意識のうちに男だからという無駄なプライドや古くさい考えが残っていること、女性は大変な苦労・努力を強いられていることを理解していたつもりでもまだまだ足りてなかったと痛感した。
    政治に関して、自分が前に立って!というところまで感化はされてはいないけど、色眼鏡をかけずにそれぞれの主張を聞いてみようと思った。まずはそこから。
    237冊目読了。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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