高架線 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 374
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065280065

作品紹介・あらすじ

新刊『長い一日』が各紙誌で大評判。
若手随一の小説の名手、芥川賞作家の滝口悠生、初の長編小説。

思い出すことで、見出され、つながっていくもの。注目の芥川賞作家、初めての長篇小説。
風呂トイレつき、駅から徒歩5分で家賃3万円。古アパート「かたばみ荘」では、出るときに次の入居者を自分で探してくることになっていた。部屋を引き継いだ住人がある日失踪して……。
人々の記憶と語りで綴られていく16年間の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ノスタルジックな気持ちにさせる、暖かくて微笑ましい作品でした。「かたばみ荘」の歴代の住人たちが、紡ぐリレー方式のドラマ。著者の作品はこの作品が初めてだったのですが、文字がびっちりでも、文体が語り口調で、出会ったことのないライトな純文学で読みやすかったです。映像化しても面白いかなって、個人的に感じました。

  • 高架線から見た無数の家。沿線にあるカタバミ荘の住人と関係者の記憶。語り形式だか、話が脱線しすぎ。しかしそれが後からじわじわくる。カタバミは、古くから仏具や真鍮の鏡を磨くために用いられてきたことから、別名「鏡草」とも呼ばれる。このことから「輝く心」という花言葉がつけられたそうな。登場人物は、語ることで気持ちが浄化されたのだろう。面白かった。

  • 滝口悠生さんの本はこれで3冊目。やっぱり私、この人の本は、他の作家さんと比べても特別な感じで好きみたいだ、と思う。今まで好きな作家は誰か?と聞かれてもモゴモゴしてきたが、この人は自分の好きな作家だと言えそうな気がする。好きな作家がいてもいなくてもいいとは思うんですが。
    全体的に、なんかやさしい。登場人物ひとりひとりに敬意があって、頭の中で考えていることを愛おしく考えているようだ。人生って、本当にそういう一瞬でも思ったりしたことの積み重ねでできてるわけで、アウトラインだけたどっていると、見落としてしまうことがある気がする。

  • かたばみ荘というおんぼろアパートのせいなのか、何なのか、とってもノスタルジックな気分になるお話。

    出てくる人々のささいなエピソードや、性格、語りも個性的で、気付くとその世界観に引き込まれてた感じ。

    もう1度ゆっくり読み直したい。

  • 私が一人暮らしを始めたアパートにそっくりで、その後の成り行きも今の私の状況と似ていてびっくりした。

  • から二つ目の駅にある家賃3万円、木造二階建ての古アパート「かたばみ荘」。
    出ていく時は次の入居者を探して引き継ぐというシステムのこのアパートの住人たちのつながる人間関係。
    独特の語り口とどうつながっていくかわからないストーリーがちょっと苦手な感じで最初は入り込めなかったのですが‥。
    順番に語り手が変わり視点が変わるのと読んでいくうちに癖のある登場人物や文章のテンポにハマり、結末の収まりが良くておもしろかったです。

  • 最初は今住んでる彼がなぜ行方不明になったのか
    その彼に関わりのある人に取材してるのかな
    ミステリーぽい?と思ったらそんなことはなく
    穏やか物語が続いていく。

  • 宮部みゆき『理由』を思い出した。リレーするように語り手が代わっていくのが面白い。失踪した人物と関係の深い人、ちょっと距離がある人…と主観客観が入り混じって、濃淡が生まれている。『蒲田行進曲』を重ね、かたばみ荘の最後にされる種明かし。気持ちのいい読書だった。『死んでいない者』も読まないと。

  • 再読
    これを読んで感じたことを文章にするよりもだれかに語りたい

  •  暮らしの中の小さなドラマ。蒲田行進曲も絡んできたりして、面白かった。最後になって、いろんなことがわかってすっきりした。

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著者プロフィール

滝口 悠生(たきぐち・ゆうしょう):小説家。1982年、東京都八丈島生まれ。埼玉県で育つ。2016年、「死んでいない者」で第154回芥川龍之介賞を受賞。主な著作に『寝相』『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』『茄子の輝き』『高架線』『やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記)』『長い一日』『水平線』などがある。

「2024年 『さびしさについて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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