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- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087205251
感想・レビュー・書評
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緊張の走る国際政治の現場にいなくても、参考になるヒントがたくさん詰まっている。
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国連事務総長特別代表としてカンボジア、ユーゴスラヴィアで
和平交渉にあたった明石康氏の交渉術、とあるが、
実際には「交渉術」というようなハウツー本ではない。
もっと生々しい、人間同士のギリギリのやりとりが語られている。
知らなかったが、明石氏のやり方は欧米では
元アメリカ国連大使ジーン・カークパトリックに
ヤスシ・アカシという人物は災禍だった。国連の歴史にも特筆される大災禍だった。
アカシのためにボスニアでの平和維持活動(PKO)は歴史上でも最も効率の悪い軍事行動となってしまったのだ」
と非難されるなど極めて評判が悪かったらしい。
だがそれはセルビア人=絶対悪として空爆を主張したアメリカ、
NATOの側からの一面的な見方であったように思う。
ああいう状況ではおそらく、誰もが被害者であり誰もが加害者で
ありうるという、相対的な見方が必要だと思う。
だからこそ明石氏は悪の権化とされたミロシェビッチとも
何度も直接会い、交渉を続けたのだ。
その後、イラクやアフガニスタンにおける国連軽視の
アメリカ主導による軍事制裁ありきの政策をみると、
明石氏のようなやり方のほうがいくぶんマシだったような
気がしてならない。