ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453270

感想・レビュー・書評

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  • 私はアートに詳しくないので、マハさんの作品から教わることが多い。印象派の画家が変えたのは芸術だけでなく、周りの人たちの人生をも変えてしまった__鮮やかな描写が印象深く、創造ではなくこの世界が存在していて欲しいと願ってしまう。

  • 原田マハさんの書く文章が本当に大好き。
    どうしてこんなに美しい表現が思いつくのか......
    情景を思い浮かべながら丁寧に読み進めていくと、心が温まり、澄んでいくのがわかります。すっかりお気に入りの一冊になりました。絶対に再読します!

  • とにかく美しい本だと思った。
    実在の画家にちなんだフィクションの物語だけどまるで本当に作中に書かれている出来事が起こったかのように感じたのはそれぞれの物語の語り手の女性たちの感情の描写が巧みだからかなと。
    本当に自分好みの美しい絵や映画、本などを観たり読んだりした後の恍惚としたあの感覚や畏敬の念を抱くまでの感動や衝撃が伝わってくるようだった。ただの鑑賞者としてそれらを消費するのではなく画家本人の近くにいて常に芸術を浴びてたらそりゃああいう感覚になるのも分かる。
    作中に出てくる風景や作品、料理はどれも想像するだけで綺麗だったり美味しそうで幸せになる。

  • 当たり前だけど、美術館に飾られている絵画には、それを描いた画家がいる。第三者視点だと人物像がリアルで、巨匠達を身近に感じた。

  • モネやマティス、セザンヌら画家を巡る物語。画家に近い人物の視点から綴られている。

    何か特別大きな出来事が起こる訳ではないけれど、淡々としたドラマが描かれていて、こんな感じのやり取りがあったのだろうかと想像しながら楽しめる。

    ジヴェルニー訪問の直前に読んだので、ジヴェルニー訪問時はブランシェとのやり取りを思い浮かべながらモネの家を歩き、ああ本当にここにモネがいて、この黄色いダイニングで食卓を囲んでいたのだと感慨深かった。

  • 短編でとても読みやすい!辛いお話もあまりなくて気持ちよく読める感じ。誰もが知っている芸術の巨匠の日常を垣間見てる感じがして楽しかった。
    特に最後のモネの話がお気に入り。こんなに有名な人なのに、自然とか食を重視していた所が好き。
    色々な絵を見たくなる一冊。

  • インディアナの寮の部屋。
    シカゴへ向かう電車の中。
    日本への飛行機の中。
    東京からの飛行機の中。

    この本は色んな土地の空気を吸っている。

    もう何作目だろうか分からない原田マハ著作、これは短編集。
    わたしの好みは短編集よりも話が一冊で完結するものだけど、今回の短編集もゆっくりと時間をかけてしまったが楽しく旅をした。

    アーティスト本人出なく、彼らに何らかの関わりがある女性の視点での進行が面白かった。

    全員女性なのも何かこだわりがあるのかな。

    マティスの女中、ドガの友メアリー・カサット、タンギーの娘、モネの後妻の娘。

    特に3/4章はシカゴ美術館を再訪するまでの電車で読み終わっていたから、その後の鑑賞の楽しいことったらなかった。
    特にメアリー・カサットの、浮世絵に出会ってからの筆致が見るからに異なっていて面白い。
    ここで言われているマティスの光、シカゴ美術館には該当のような作品は見受けられなかったけど、1つ、聳え立つ圧倒的な作品があった。マティスの作品をもっと知りたい、勉強したいな
    タンギーについてはもう何度想像したか分からないその生き様、言動、為人、全てわたしのロールモデルだ。

    シカゴ美術館には、モネの睡蓮だけ集めた部屋がある。
    その場に足を踏み入れると包み込まれる穏やかで柔らかな光。水と、緑と、小さな花々。
    睡蓮は連作だし、もうどんだけあるんだよと辟易して一つずつをしっかり観たことなかったのを今すごく後悔してる。

    -
    解説を読んで追記

    これからわたしもアートの世界へ踏み出す。
    アーティストとは、奇人才人でありながら、ごく一般的な生活をしている人間でもある。
    起きて、ご飯を食べる。経済的困窮に陥る。恋をする。そして死ぬ。
    ただその生活のうえで少しのスパイスが彼らとわたしを分かつ。
    ここからはビジネスの世界。
    嫌なこともあるだろう、見たくないものはたくさんあるだろう、趣味を仕事にしたくない気持ちも未だ持っている。アーティストたちにもそれぞれ趣味があるというなら、わたしの趣味はどう変化していくのか、怖さもある。でもがんばろ。


    わたしの部屋に今飾られているポストカードは、シカゴにあるジヴェルニーの庭の絵。そしてスーラ。
    モネと言えば黄色。そう思って持ってるポストカードを探して記憶にある光溢れるものを見つけたらピエール・ボナールのものだった…
    アルジャントゥイユの、美しい花々と遠景の工場の対比がいいなと思ってそれは持っていた


    美術史で学べるのは歴史であって、背景にある彼らの人間関係だとかははっきりと記されていない。学問の域を出てしまうし、資料には載っていない。
    やはりわたしは想像巡らす方が向いているのかもしれない…

  • マティスもピカソも現代絵画の巨匠ですが、彼らが取り上げられた『うつくしい墓』よりも、印象派の画家が取り上げられた3編、特にモネが取り上げられた表題作の『ジヴェルニーの食卓」が面白かったです。ガトーヴェールヴェールを食べたくなるし、ジヴェルニーの庭を訪れたくなります。影響力大ですね。
    実際にはジヴェルニーまで行くのは難しいので、高知県にあるという「モネの庭」で我慢するしか無さそうですが、『睡蓮』の水の庭よりも、マネが妻アリスへの手紙で手入れの指示を送っていた花の庭を見たいですね。出来ればナスタチウムが咲く季節に行きたいです。

    ---父が絵の具職人になりたての頃は、絵の具は真鍮製のシリンジに入れて、ピストンを押し出して使うものだったそうです。
    父いわく、チューブ絵の具こそが芸術家たちを重苦しい因習から解き放ったのだと。---

    タンギー爺さんの一節です。売れない画家や駆け出しの画家は街角や郊外でイーゼル広げて写生しているイメージがあったので、チューブ絵の具発明まではそれが難しかったなんて、、、簡単に絵の具を屋外に持ち出すなんて出来なかったんですね。目から鱗でした。
    でも、確かにマネは屋外派だけど、この章で取り上げられているセザンヌも、前の章のドガも屋内派だよなぁとか、セザンヌのリンゴやドガの踊り子を思い出しながら読みました。

    山田五郎さんの美術関係のYouTubeをよく見ます。ドガやセザンヌは山田五郎さんのちょっと下世話な解釈の方がしっくりくるなぁと思いながらも、この小説の語り部となった女性たちの、と言うか原田マハさんの、巨匠をキチンとリスペクトした温かい視線は心地良く、彼らの絵画が日本に来る日が楽しみになります。
    ちょうど、ピカソ展が国立西洋美術館で始まったようです。

  • 偉大な画家の時代背景のようなものが知れて面白かった。

    個人的に気に入ったのが「エトワール」で、
    歪んだ愛情であるのにエトワールになれなかった少女に心を揺さぶられる。

  • 「ジヴェルニーの食卓」だけの本かと思いきや、4編からなる短編小説集だった。モネの話がやっぱり一番好きだと思った。タンギー爺さんは、たゆたえども沈まずにもちょこっと出てきて親近感湧いた。
    創作ではあるので、史実と異なる部分も多いのかもしれないけど、小説での話のやり取りとか、心情の描写とか、色々と想像を膨らませながら読むととても楽しい。いつかジヴェルニーに行きたい!

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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