- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087460971
感想・レビュー・書評
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私が好きなのは
「やんなくちゃなんないときは やんなくちゃ
なんないことを さあやんなくちゃ」
「遠くまで行く必要は なくなった
遠くに行ける そんな気がした」
「こんなにもふざけた きょうがある以上
どんなあすでも ありうるだろう」
「これからもきっといろいろ あるけれど
いつかなつかしいんなら愛だ」
です。著者も短歌読む人なんだねー。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルを直訳すると、短い歌。ということで、短歌を愛する若者たちの青春物語です。ちなみに英語で「短歌」は、そのまま「tanka」でいいらしい。
2005年から2006年にかけて、ライブドアと集英社の携帯サイトで連載されていたケータイ小説を改題、加筆修正した文庫オリジナル作品です。著者ご自身が歌人でいらっしゃいます。
本作の舞台は、吉祥寺。ハーフの内気なイケメン、19歳の国友克夫(CHERRY BOY)と、知り合った女性にすぐ手をつけちゃう天才歌人、25歳の伊賀寛介(PLAYBOY)、この2人の視点で交互に話が進んでいきます。
ひと区切りが3ページと短く、すぐ視点が切り替わってしまうため、以前読み始めたときにはなかなか話に入り込めず、途中で読むのをやめてしまったのですが、今回改めて読んでみたら問題なく楽しめました。
ただケータイ小説のせいなのか、いろいろ中途半端でもったいないような気も。せっかく個性豊かでおもしろい人たちがたくさん登場するのに、克夫や伊賀の横をさっと通り過ぎて行ってしまうようだし、ストーリーもなんだか尻切れトンボで、あれはどうなった、あの人はどうした、と気になることがけっこうある。2人の視点で語られる限界という事情もあるとは思うのですが、もうちょっと追いかけてほしかったかなぁ。
でも短歌の魅力は伝わってきました。〈苦しい気持ちは、五七五七七のリズムにのせると、とたんに他人事みたいになって、ほんの少し心が軽くなる〉という克夫くんの一文がすべてを表していると思いました。なんてことのない出来事も、短歌に表したとたんにちょっと特別になるというか、その瞬間が切り取られて、かけがえのない思い出になったような切なさを帯びます。良いですね、短歌。
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タイトルの「ショートソング」が短歌のことだと気づいたのは本を読み進めていた途中であり、あまり短歌に関する本だとは思わずこの本を手に取った。
2人の主人公の視点でストーリーが構成されていて、少ない文字量で視点がテンポよく切り替わるので読みやすかった。
吉祥寺のカフェの名前がたくさん出てきて、他の方の感想を見ていると実在する店なのかなと思いつつも地方の私には縁のない話なのであまり気にならなかった。
色々な登場人物があったと思うが、一度登場したきりでその後出てこないまま、終わってしまった人もいたと思うので登場させた意味がわからないままで読後感はもやもやした感じでした。
短歌を愛でる感性がもう少しあれば楽しめたのかなと思いました。 -
ギリギリの 三点となったそのわけは なんとも言えぬ 文の軽さか
少しだけ 言わせてもらうと 此の本に 出てくる短歌は 概ね好き -
触れたことのない短歌の世界をちょっとだけのぞいた気分。
なんとなく誰もスッキリはしない気がするけど、日常ってこんなものかもしれない。 -
内気なハーフの美男子大学生とプレイボーイな天才歌人の目線で短く交互に語られる吉祥寺を舞台にした青春とそれを切り取り生まれる短歌。内心と実際という違いはあれど両者の奔放な男子ぷりがカラッとしていっそ小気味良い。著者を含む実在歌人作の沢山の作中短歌は短い中に感情や情報が凝縮されて現代らしい身近さも魅力。
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たくさんの短歌で彩られる様々な人の人生。
その短歌がおもしろい。
容姿端麗なのにセンスもコミュニケーション能力も自信も欠けるカツオ。
そこそこの容姿だけど人を惹きつける魅力あふれる伊賀。
伊賀がカツオに惹かれる気持ちはよく分かった。
カツオの描き方がとても魅力的で、彼の短歌もとてもいい。
作家の枡野さんは自分は伊賀とは違うとおっしゃってたけど、何となくこんな風に魅力ある方なんだろうなと想像できた。
この作品読んで、前に読んだせきしろさんと西加奈子さんの短歌の本『ダイオウイカは知らないでしょう』を思い出した。
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ストーリーは正直そこまで引き込まれるものではなかったけど、引用されている短歌が洗練されていて面白かった。
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私はこういう小説もありかな〜チェリーボーイとプレイボーイ2人の立場から話が進む、面白可笑しい痛快ラブストーリー
少し内容が薄い感は否めなかったけれど、短歌の世界を垣間見ることができておもしろいと感じた。伊賀さん憎めない笑こういう人いるなぁ〜って思ってしまった。そして、吉祥寺のカフェに行きたくなっちゃった!
傷つけた
そんなことさえ
気づかない
POPな男は
まじたち悪い -
短歌を交えて進んでいく小説。
最近短歌に興味が出てきて読んでみました。
物語の中に出てくる短歌は、この物語のために作られたのではないようですが、
自然に盛り込まれていて楽しめました。
物語の中に短歌が出てくるのって、現代の小説だと珍しい形式な感じがしますが、
源氏物語とか古典にはそういうスタイルがあるので、その手法を現代小説に持ち込んだって感じなんですかね。
短歌がそれぞれのキャラクターらしくて、いい味を出していると思います。
手法も含めて面白い小説でした!