家日和 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 755
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465525

感想・レビュー・書評

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  • 心理描写や行動、温かさが実在している人物・家族のようで読んでいてほっこりする。「妻と玄米御飯」は主人公が小説家だが、奥田英朗自身に近かったりするのだろうか?笑。どの話もヒヤヒヤする場面はあれどとてもいい結末で、全てを語らない終わり方が潔くて気持ち良い。余韻を大切にしてくれているから温かさが残ります。

    この本を手に取ったのはたまたまフリマアプリでセット売りにされてて、作家も作品も知らなかった。「家日和」というタイトル名とレビューで温かくて面白いとあったから。ただでさえ読みたい本が超山積みなのに新たな作家との出会いでまたまた忙しくなります 笑。

    鑑賞/益田ミリの四コマ的なイラストも奥田英朗をもっと知りたいと思わせる、いいアクセントになっていました。


  • 奥田英朗さんは初読みの作家さん。

    『家日和』
    いろんな家族の肖像が心にじんわりと温かく響いてくる短編集
    どの話も全く異なるシチュエーションなのに、身近に感じられる家族の情景がしっかりと描かれていて、穏やかな余韻を感じさせる終わり方が秀悦だった。
    巻末の益田ミリさんによる「解説」ならぬ「鑑賞」も意表を突いていて味わい深かった。
    
    
    収録は以下の6編
    簡単な内容と感想

    「サニーデイ」
    専業主婦紀子がネットオークションに嵌っていく様子が微笑ましい一方、危なっかしい。
    でも素敵なご主人と子供達が傍にいる事に気付けてホッとした。皆さん、くれぐれも所有者の許可なく物品を売り捌くことのないように気をつけましょう!笑


    「ここが青山」
    作中何度もでてくる台詞
    「パパの会社トウサンしたんだよ」
    「人間(ジンカン)至る処青山(セイザン)在り」
    根強いジェンダー意識の世間体に屈することなく専業主夫になる夫と復職する妻のお話。まさにここが青山!息子とのブロッコリーに纏わる奮闘劇もホッコリした。価値観なんて夫婦で分かり合えれば万事うまく行くのかもしれない。

    「家においでよ」
    金のない独身時代には実現しなかった「男の王国」を妻と別居してから着々と築いていく主人公の正春
    多くの既婚男性の本音が垣間見れて微笑ましい。
    マイホームは「女の城」とばかりに拘りを見せる妻たちも、たまには亭主の居心地の良さも考えた方がいいという作者のメッセージを感じた。


    「グレープフルーツ・モンスター」
    専業主婦で家に籠った主婦が、筋肉質で柑橘系の香水つけた若い男性相手にこんな妄想を抱いているなんて・・・
    自由自在に夢を操れる力も凄い。
    むしろ彼女が妄想モンスターだと思った。
    訪問先にこんな主婦がいたらちょっと怖いな。


    「夫とカーテン」
    根っからの営業マンの栄一の猪突猛進が止まらない。
    型破りで奔放で人懐っこい栄一に魅せられながらも、自分の夫にはご遠慮願いたい笑
    妻の春代は四の五の言っても、栄一のことを心底大切にしてるんだろう。お互い相手に尊敬出来る部分があるってやっぱり素敵だ。


    「妻と玄米御飯」
    ロハスに嵌る妻と、その様子をユーモア小説で描きたい小説家の夫のお話
    おもろいなぁ〜。描いて世に出せば妻との関係悪化は免れない。果たして夫が選んだ答えとは・・・
    そういえば、ロハスってどこ行った?笑


    特に印象的だったのは、
    「ここが青山」「家においでよ」
    「妻と玄米御飯」の3話
    でもどれもいいお話だった♪

  • 短編は相変わらずあんまり得意ではないが、会社の方からお借りしたので読んでみた。

    この作家さんの作風、好きだなぁ(*^^*)

    読んでると凄くドキドキするのに、落ちが全部痛くなくて、ホッコリ温かくなるような、優しい小説。

    落ち込んでいる時はこの作家さんの本がいいな。じんわりと胸にしみて、幸せになるような、そんな感じ(*^^*)

  • 家庭発信、6つのドラマ
    それぞれの家庭には、それぞれ夫婦や家族の有り様がある
    まるでちょっとよそのお宅を覗き見しているようなワクワク感があった

    阿部寛や唐沢寿明や筧利夫などが夫役でドラマになりそうな・・・
    実際、阿部寛と篠原涼子で似たようなドラマを見たことがある

    わたしのお気に入りは、「ここが青山」「家においでよ」「妻と玄米御飯」 

    「妻と玄米御飯」は、作家の夫がN木賞を獲り、生活が一変した家族の物語。これってもしかして奥田英朗さんの私小説?!と読者に思わせ、ニヤニヤさせるのが狙いなんだろうなと分かりつつ、奥田さんの狙い通り、はまってしまった


    違う環境で育った男女が夫婦となり、家族を作り、家庭を築いていくのだから、お互いが少しずつ我慢をし、折り合っていがなければならないというのが、6編共通のテーマかな?

    昼寝のお供に寝そべって気楽に読めるコメディタッチの小説だ
    奥田英朗さん、好きだなあ

  • 6作品収録の短編集
    いろいろな家族の物語でした
    そのいずれもが楽しめました
    もしかしたらどこかにいるかもと思わないでもない
    ような家族の日常を描いているんだろうけど
    それがまたよくてなんかたまににやにやしてました

  • 軽やかでいて毒と皮肉があって、ニヤニヤしながら読める、好みの家シリーズのひとつ。

  • 家族の日常。読むとなんかほっこりする短編作品。読み終えてからシリーズ化されてることを知り、残りのシリーズも読みたいリストに入りました。

  • 6つの短編集。夫婦の日常にまつわる現実を、苦さと温もりとの丁度良い匙加減で教えてくれます。以下印象的な作品を簡単に。

    『サニーデイ』
    ネットオークション出品を通して自己肯定感を得る妻。あれもこれもと歯止めがきかなくなる気持ちに共感する人は多いはず。

    『ここが青山』
    突然の解雇で夫は主夫に。家族という味方。

    『家においでよ』
    別居した夫と妻のインテリアに対する価値観。妻側の気持ちが痛いほど伝わって切ない…。

    『妻と玄米御飯』
    ロハスな生活に傾倒し始めた妻と、それを内心うんざり感じる作家の夫。奥様の一人勝ちかな?笑

  • 家族に纏わる短編集。『サニーデイ』オークションに嵌る主婦の話。承認欲求ってやつですかね、暴走っぷりに可笑しさと一抹の切なさ。『ここが青山』似たようなドラマがあったのを思い出しました。適材適所、性別に拘らなくていいんだよね。『家においでよ』これをやられたら、女性としては仁美さんと同じようにそそくさと退散するしかないですね。『妻と玄米御飯』これ、奥田さんの実体験?といったリアルさが(たぶん、違うだろうけど)面白かった。巻末の益田ミリさんの漫画も含めて、くすりと笑えてじんわり楽しかった。

  • ずっと好きでいられるわけではないかもしれない。
    独身のように自由気ままではいられないのかもしれない。

    それでもやっぱり、誰かと一緒に、なんてことない日常を過ごせるのは幸せなんじゃないかなぁ。特別なことをしなくたって、隣にその人がいるだけで落ち着くと感じる瞬間があるのなら。

    鑑賞を益田ミリさんが担当されていることも意外で、良い意味で脱力できそう。

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奥田英朗の作品

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