- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087472226
感想・レビュー・書評
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さすがの山描写。マイナス30℃でのビバークも岩に宙吊りも、山を知らなくても想像を掻き立てられてゾワゾワする。
雪山高山の常識?も、素人を突き放さず丁寧に書いてあるので、謎だったことがわかってきてスッキリする(アタックする人って最初から決まってるの?とか)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
感想は下巻にまとめて。
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登山にかける男たちの生きざまが、迫力のある内容で描かれていました!
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2021年最初の一冊にふさわしい良作。
深町の平凡な人生に納得できない葛藤
羽生丈二の山にかける熱い想いや挫折
ジョージマロリーのエヴェレスト登山の謎
色々な要素が詰まっていて読み応え抜群。
カトマンズという異国の地が主な舞台となっているのも個人的には旅の情緒があってよい。
平凡な人生を特別なものにしてくれる、自分は周囲の人とは違う、生きている実感を山は与えてくれる…
深町のマロリーの写真にすがる気持ちや羽生の生き様にそんな人間のうちに秘めた欲望を読み取った。
だからといって全く平凡な人生を送っている自分は山へ気持ちがいかない。自分では考えられないからこそ
ここまで山に取り憑かれた男たちに憧れのような恐れのような複雑な感情を抱く。完全に宇宙人だ。
特に羽生丈二の人生にのめり込んだ。
大体この手の途中登場キャラの半生にページ割かれると途中で飽きるのだけど…この恵まれない山しかない男の不器用な生き方になぜかグッときた。
後半に期待。 -
作者の得意なあやかしのモノや拳法の達人などは、出てきません。
山を愛する人間たちのモノガタリです。必ずもう一度読みたくなります。 -
没入感がすごい。
カフェで読んでいても、エベレストに挑んでるような気持ちになる。 -
神がかり的な感じになってきて、最初はちょっと引いたけれど、読まされていった。
完読してよかった。 -
著者:夢枕獏(1951-、小田原市、小説家)
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登山関係の小説は何冊か読んできたが、これもなかなか面白かった。誰も挑戦したことがないルートからの、無酸素単独エヴェレスト登頂を目指す男と、その周りの山男たちの話。
命を懸けた8千メートル級の登山なので、ページをめくる手が止まらない、ドラマチックな展開をしていく。上下と小さいフォントで分厚いが、改行や会話が多いので、読むのに時間はかからない。事実に基づいたミステリー的な謎も盛り込まれており、そこが興味深かった。有名な問答、どうして山に登るのかと問われ、「そこに山があるからだ」と答えたイギリスの登山家マロリーはエベレストの頂上を踏んだのか。ネパールの、特にカトマンズの様子も良く書かれていた。山に登る男たちのライバル意識からの嫉妬など、やや俗っぽい面もあったが、技術的すぎるより人間的ストーリーのほうが万人受けするのだろう。
余談だが、たまたま読了後読んだ新聞に、現在のエベレスト登山がどうなっているか書かれていて、それもまた興味深かった。やや興ざめな気もするが、人命重視やビジネス的発展の結果なのであろう。