破軍の星 (集英社文庫)

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  • 集英社
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感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087480948

感想・レビュー・書評

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  • 南北朝時代、東北から中国大返しもビックリな上洛軍を仕立てて活躍した北畠顕家の物語。そんな人物像に興味を持って手にした一冊。

    鮮やかな合戦・布石で清冽なデビューを飾る前半、成長とその先で出会う葛藤の後半という構成でテンポ良く読み切れる小説でした。
    特に「民」という視点を得ての国への揺れる思いが胸に淡い期待を抱かせつつ終盤へと向かわせてくれたのですが…。

    楠木正成・足利尊氏など当代の魅力的な人物、そして戦国時代の東北にもつながる南部・伊達・結城・斯波といった武将の登場が物語に彩りを添えています。

  • ハードボイルド系の作家の北方謙三が書いた歴史小説です。

    南朝方の有力武将の一人北畠顕家を主人公としています。どちらかというと、歴史物の小説は、「義」や「生き方」にかける「滅びの人」を主人公にした者の方が好きだったりするので、とても面白かったです。

    最初に足利尊氏が反旗を挙げて時に、東北から京都まで軍勢を率いて16日で到着し、豊島河原合戦で勝利するというのはすごいことだなと思ったりします。こういう武将を戦略で死なせてしまう建武の新政は上手くいかなくて当然なんだろうなと思ったり、雪深い東北を拠点としなければもう少し歴史は変わったのかなと思ったりしました。

  • 時代は鎌倉幕府から建武の新政を経て足利幕府へと移り変わる頃
    楠木正成と言われれば思い当たる節もあるが…
    という時代で、ここまでの小説が書けるとは!
    北方謙三氏に感服しつつ、読み進める。読んでも読んでも減らぬ文量とは逆に疾走する物語。
    読ませていただきありがとうございました、と

  • 感動…

  • ホットドッグプレスの人生相談のイメージしかなく、北方謙三は読まず嫌いでした。北畠顕家って教科書とかに載ってた人なんでしょうか?足利尊氏なんか足元にも及ばんぐらいの人物やのに自分は全く知りませんでした。足利方からの視点は顕家の凄さを表すのに必要なんかも知れんけど、急に視点が変わるので戸惑いました。最後まで楽しく読めました。ちなみに武田信玄より先に「風林火山」を使用しています。

  • 古本で購入。

    “麒麟児”と謳われた北畠顕家は弱冠16歳で陸奥守に任命され、義良親王を奉じて陸奥へ下向。
    父の親房や結城宗広ら有力武将に支えられ、奥州経営を始める。
    後醍醐天皇の下で推進された新政は大塔宮と足利尊氏の対立を孕む、極めて不安定な状態にあった。
    若き公卿顕家は遥か陸奥の大地で国のありようを自問する。
    山の民と結びついた顕家は、彼らの夢と己の抱く「理想の国」を重ね合わせていく。
    陸奥において夢を追うか、朝廷の臣として足利と戦うか。
    二者択一を迫られた顕家だが、ついに足利討伐のため西上する。
    その行く手に輝くのは破軍星だった―

    という、南北朝時代前夜を舞台とした小説。
    日本史をテーマにした北方謙三作品としてはこれが初です。

    以前読んだ『水滸伝』『楊家将』にも劣らない漢たちの世界。これぞまさに北方ワールド。
    主人公の顕家はもちろん楠木正成を始めとする朝廷方の諸将、そして敵方である足利尊氏・直義兄弟たちまで、熱き漢たちの想いが交錯する。
    敵方が「悪役」ではなく「敵役(かたきやく)」として実に魅力的に描かれているのも、北方作品の醍醐味です。
    まるでいいところのない新田義貞も、見方によっては可愛げのあるかわいそうな武将なのだ。

    オリジナルの設定として、奥州藤原氏の末裔(を匂わせる)の安家一族を登場させている。
    わずかな年月で陸奥を鎮めたという史実に、顕家の器量だけでなく「山の民」の力を絡めた、というのがおもしろい。

    北方謙三の描く敗者は美しい。
    敗者ゆえに美しいのではなく、たとえ閃光のようであっても全知全能を傾けて生き抜いた人間の死ゆえに美しい。
    そう思わずにいられない1冊。
    この人の作品はとにかく結末の余韻がいい。

    しかしおもしろい、南北朝。北方の他の南北朝モノも是非読んでみたい。

  • 16歳と言う若さで陸奥守に抜擢された南朝方の北畠顕家の話。
    花将軍、麒麟児と謳われた彼に興味を持ち読みました。
    やはり、彼の聡明さが際立っていました。
    公卿でありながら武士でもあった彼。
    他の公家達とは全く大違いの力量です。
    21歳と言う若さで戦死しますが、戦死する前に後醍醐帝に書いた秦上文を弟(顕信)に託し、最期まで国の事を考えていた彼。
    そんな彼をリスペクトします。

  • 南北朝期の公卿・武将である陸奥の守・北畠顕家を主人公とした、北方謙三の歴史小説。歴史小説ですが、男の生きざまを描いたハードボイルド小説と言った方が良いかな。北畠顕家は若くして陸奥の守となり、足利尊氏も一度は蹴散らしている人物ですが、21歳の若さで死んでいます。20年前のNHK大河ドラマ「太平記」では後藤久美子が演じているそうで、今更ながら観たくなった。

  • 2012年5月15日読了『破軍の星』北方謙三著 評価B+
    北畠顕家は、南北朝時代に建武の新政の後醍醐天皇により、若くして陸奥守に任じられて奥州に着任、非凡な軍事的才能と人間的な大きさで、力を付ける。朝廷の要請で、遠く奥州から京都まで遠征して、足利尊氏を打ち破るが、九州から再起した尊氏に結局は力負けする。しかし、その高貴で賢い天才は最後まで輝きを失うことなく太く短い生涯を終える。(21歳で死去)
    天皇、公家、武士の相克の中、平和な世の中を夢見つつ、力一杯生きた若者の物語である。

  • 正論が正義には勝てない、ということがつくづく良く分かる。
    歴史的背景はどうあれ。

    現代に置き換えても、瓦礫を受け入れる、受け入れない問題に対する
    明確な方向性が書いてあります。今の日本は国では無い。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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