獏の食べのこし (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 378
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087498882

作品紹介・あらすじ

地上の人口は増えているが、獏の数は減っていて、獏の食べ残す夢の量はどんどん増えていっている。闇の少し残る明け方の路地裏やどう見ても女の人の顔に見える天井板の木目の中に、あるいは赤ん坊が握りしめているこぶしの中に獏の食べ残しは潜んでいる。微毒を含有する夢を噛みつづける、夢の依存症となった夢中毒者、中島らもの愛と世界をめぐるエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • らもさんのおかげでアポリネールと出会えた。
    Les jours s'en vont je demeure.

    らもさんのエッセイはさくさく読めて、ゆるさの中に鋭さがある。言葉に出来ない気持ちを痛いほどに示してくれる。

    「夜が化粧をほどこしてくれた川というものはいいもので、それは一種、おおきな鏡だと思えばいい。街の灯も星もその表では無垢の輝きを放ってくれる。」

  • 賢い人の為の賢いエッセイ、中島らも。
    久し振りに読んでも何時でも新鮮に笑えます。
    20年以上前の文章だなんて信じられない。
    ありがとう、ありがとう!

  • なんだか真面目な、長編の小説を呼んでも集中が保たない時にはやっぱりエッセイがいい.短編小説なんかでもいいけど、エッセイってのはやはり格別だ.巻末コメントを楽しむように読める.
    エッセイが短編小説と異なるのはやはり、エッセイは予め好きな人が書いたのを読まないといけないという点だろう.好きな人が考えたことを素直に文字にされてある.そのまま体に取り込みたくなる.
    あとがきもまた楽しかった.

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  • 本書も、著者の比較的初期のユーモア・エッセイ集です。

    本書より以前の作品に比べると、ずいぶん整った構成の文章が多いように感じました。『頭の中がカユいんだ』や『恋は底ぢから』といった作品は、おそらく著者自身もその魅力を完全に理解しているわけではないと思われるわけのわからなユーモアを、まきざっぽうのように著者の前に投げ出して見せたような印象がありました。

    上手くなったと見るか、最初期のエネルギーが衰えたと見るか、判断に迷いますが、いずれにしても肩の力を抜いて楽しく読むことのできる作品だと思います。

  • 夢中毒者である著者の愛と世界をめぐるエッセイ集。
    あまりにうま過ぎてまったりとした酒では嫌味を感じてしまう。それは「立派な人」と付き合うと疲れる感じによく似ている気もする(P162)。←なるほど。

  • 【中島らもを愛すもの】

    きっと彼はなんでもない価値のない人間だった。
    何も持ってない人。だった。
    いやだと泣き叫ぼうとも、僕もまた似た人間なのかもしれない。
    最後まで自分を愛せなかったのかな。

  • 獏の食べのこしという言葉。
    獏は夢を食べると言われているが、そんな獏が食べなかった『残りもの』それがこの本の内容。

    テーマは中島らもという人を創る、独自の気になるモノ、コト、ヒト。

    一番好きなのは、『時間の密度』と『記憶の容量』

    中島らもは頭が良い。
    だから好き。

  • どんな日常的なことも面白おかしく述べ、読者の興味を惹きつけるような中島らもらしい作品。

  • 古本屋で立ち読み、すぐに購入した。お気に入り。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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