高野聖 (集英社文庫 い 27-1)

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  • 集英社
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520347

感想・レビュー・書評

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  • 情景がよくわかんなかったけど、高野聖はまだ読みやすかった。/麻酔なしの関羽的手術/夜中海に行ったと思ったら夢だった/くらげと岡ハゼ/お坊さんが体験した本当にあった怖い話/鶫食べ過ぎ

  • 怪談というよりも幻想小説という感じです。
    「高野聖」の一篇は怖いというよりも、蛭に襲われるシーンが一番印象的で、生理的な気持ち悪さを覚えます。
    個人的には「外科室」がおすすめでしょうか。ありえない話だとは分かっていても、青臭い私としてはありえないからこそ逆にそんな稀有なことがあって欲しいような気もする、そして少し残酷なお話です。
    http://monokaki3.com/i_kyouka-87

  • 自然とファンタジーを織り交ぜて描いた作品群。高野聖は学生と同宿した僧がある山道で遭遇した怪異を昔語り風に話す物語である。正規の道とは外れた山道を歩く僧は蛇や蛭などの続出するグロテスクな熱帯地獄を経て、ある種、女仙のような女性と邂逅した。その女性のなまめかしさ・優しさに打たれ、僧はどこまでも一緒に居たいと念じてしまうほどだった。
    しかしながら、後ろ髪に引かれながらも、その女に取りつかれてしまうあまり馬に変わってしまった男や、その女の顛末を知り、聖は道を後にする。聖と対照を描く女の姿は失ってしまった作者の母親の投影という面もあるのかもしれない。

  • 泉鏡花の妖艶な幻想小説。
    書籍で読んだ時も入り込めましたが、2011年、坂東玉三郎の歌舞伎公演でこの作品が演目になっており、鑑賞に行きました。
    リアル世界の高野聖の世界観に、それはそれは感動したのを覚えています。

  • 久しぶりに読み返したけどゾクッとするいい雰囲気に浸ることができました。若干人の匂いのする深い山ってとても気味が悪いです。踏み跡も無いような深山幽谷だと神々しさが際立って不気味じゃないですね。
    蛭の林の描写は見事です。

  • 「高野聖」と「眉かくしの霊」しか読んでなかったのになぜか「読み終わった」で登録してあったので、きちんと全部読んで登録し直した。
    「外科室」は評判通り面白かった。ドキハラしたよ!「星あかり」「眉かくしの霊」みたいな、ドッペルゲンガーものも好きです。

    以下以前のレビュー
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    (2012/09/17)
    「高野聖」の、ひるにおそわれるところ本当に感動した。これと蛇の場面は、異界(ひとつや)へ入るための通過儀礼みたいな意味があるらしいけど、そういう素敵な異界要素抜きにしても感動した。
    ひるに襲われながら「人類が滅びる時はひるに侵略された時や…」とぼんやり考えるところがもう。世紀末幻想がまさかのひる。
    (わたしもなめくじなんかには特別な感情を抱いているので、なめくじに遭遇したときは同じことを考えたりたりたり。
    手塚さんの「火の鳥」でもなめくじが最強生物だったし。そういえば神話ではいちばん最初に産まれとったか)
    ほそ径、旧道、脇道には気をつけなきゃね。誘い込まれちゃうね。
    「眉かくしの霊」もよかったです。

  • 「外科室」目当てで読んだ。昔の言葉で難しかったけど、ニュアンスは伝わる。両片思い、凄いな、と思った。あんなに人を愛せたらいいな。
    「痛みますか」
    「いいえ、あなただから、あなただから」
    中原中也の、愛するものが死んだ時には、自殺しなけりゃなりません。、ってフレーズを思い出した。

  • 幻想的な小説は、ほとんど読んでいませんでした。今までこの作者の作品を読んだことがなかったことを少し後悔しましたね。ジャンルや作品内容より文章の上手さに感服しました。高校生の頃読んだ志賀直哉『剃刀』の時と同じ衝撃でした。
    文章の上手さのひとつとして情景がくっきりと頭に浮かびあがることではないかと思います。『高野聖』と『剃刀』はぞくっとした作品でした。

  • NHKのテレビ番組のJブンガクを見ています。
    2010年の8月に 高野聖を紹介していたので読み直しました。

    日の光を遮って昼もなお暗い大木が切々に1つ一つ蛭になって了(しま)うのに相違ないと,いや,全くの事で。

    というくだりを

    Each of the trees here, any of them big enough to block sun at midday, would crumble into small pieces, turning into even more leeches - just imagine that!

    と訳していました。

    へー,そういう意味なんだと
    高野聖 の中身と英語の勉強になりました。

    英語にしてみると高野聖 の良さと日本語の良さを再認識できることが分かりました

  • 作品の世界に没入するまでの間、言葉遣いが今とは異なるところもあるので、やや読みにくく状況が掴みにくい。
    しかし、それも束の間で、段々と没我し、泉鏡花の幻想世界へ耽溺していった。

    表題作の「高野聖」は、あらすじは知っていたものの読んだことはなかったが、なんともグロテスクな蛭の道と、麗しき美女の妖艶なエロティシズム!

    冒頭に収録されている「外科室」も、鮮烈な執念の美が輝く秀逸な短篇。

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著者プロフィール

1873(明治6)年〜1939(昭和14)年)、小説家。石川県金沢市下新町出身。
15歳のとき、尾崎紅葉『二人比丘尼色懺悔』に衝撃を受け、17歳で師事。
1893年、京都日出新聞にてデビュー作『冠弥左衛門』を連載。
1894年、父が逝去したことで経済的援助がなくなり、文筆一本で生計を立てる決意をし、『予備兵』『義血侠血』などを執筆。1895年に『夜行巡査』と『外科室』を発表。
脚気を患いながらも精力的に執筆を続け、小説『高野聖』(1900年)、『草迷宮』(1908年)、『由縁の女』(1919年)や戯曲『夜叉ヶ池』(1913年)、『天守物語』(1917年)など、数々の名作を残す。1939年9月、癌性肺腫瘍のため逝去。

「2023年 『処方秘箋  泉 鏡花 幻妖美譚傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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