- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087520347
感想・レビュー・書評
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情景がよくわかんなかったけど、高野聖はまだ読みやすかった。/麻酔なしの関羽的手術/夜中海に行ったと思ったら夢だった/くらげと岡ハゼ/お坊さんが体験した本当にあった怖い話/鶫食べ過ぎ
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怪談というよりも幻想小説という感じです。
「高野聖」の一篇は怖いというよりも、蛭に襲われるシーンが一番印象的で、生理的な気持ち悪さを覚えます。
個人的には「外科室」がおすすめでしょうか。ありえない話だとは分かっていても、青臭い私としてはありえないからこそ逆にそんな稀有なことがあって欲しいような気もする、そして少し残酷なお話です。
http://monokaki3.com/i_kyouka-87 -
自然とファンタジーを織り交ぜて描いた作品群。高野聖は学生と同宿した僧がある山道で遭遇した怪異を昔語り風に話す物語である。正規の道とは外れた山道を歩く僧は蛇や蛭などの続出するグロテスクな熱帯地獄を経て、ある種、女仙のような女性と邂逅した。その女性のなまめかしさ・優しさに打たれ、僧はどこまでも一緒に居たいと念じてしまうほどだった。
しかしながら、後ろ髪に引かれながらも、その女に取りつかれてしまうあまり馬に変わってしまった男や、その女の顛末を知り、聖は道を後にする。聖と対照を描く女の姿は失ってしまった作者の母親の投影という面もあるのかもしれない。 -
泉鏡花の妖艶な幻想小説。
書籍で読んだ時も入り込めましたが、2011年、坂東玉三郎の歌舞伎公演でこの作品が演目になっており、鑑賞に行きました。
リアル世界の高野聖の世界観に、それはそれは感動したのを覚えています。 -
久しぶりに読み返したけどゾクッとするいい雰囲気に浸ることができました。若干人の匂いのする深い山ってとても気味が悪いです。踏み跡も無いような深山幽谷だと神々しさが際立って不気味じゃないですね。
蛭の林の描写は見事です。 -
「高野聖」と「眉かくしの霊」しか読んでなかったのになぜか「読み終わった」で登録してあったので、きちんと全部読んで登録し直した。
「外科室」は評判通り面白かった。ドキハラしたよ!「星あかり」「眉かくしの霊」みたいな、ドッペルゲンガーものも好きです。
以下以前のレビュー
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(2012/09/17)
「高野聖」の、ひるにおそわれるところ本当に感動した。これと蛇の場面は、異界(ひとつや)へ入るための通過儀礼みたいな意味があるらしいけど、そういう素敵な異界要素抜きにしても感動した。
ひるに襲われながら「人類が滅びる時はひるに侵略された時や…」とぼんやり考えるところがもう。世紀末幻想がまさかのひる。
(わたしもなめくじなんかには特別な感情を抱いているので、なめくじに遭遇したときは同じことを考えたりたりたり。
手塚さんの「火の鳥」でもなめくじが最強生物だったし。そういえば神話ではいちばん最初に産まれとったか)
ほそ径、旧道、脇道には気をつけなきゃね。誘い込まれちゃうね。
「眉かくしの霊」もよかったです。 -
「外科室」目当てで読んだ。昔の言葉で難しかったけど、ニュアンスは伝わる。両片思い、凄いな、と思った。あんなに人を愛せたらいいな。
「痛みますか」
「いいえ、あなただから、あなただから」
中原中也の、愛するものが死んだ時には、自殺しなけりゃなりません。、ってフレーズを思い出した。 -
作品の世界に没入するまでの間、言葉遣いが今とは異なるところもあるので、やや読みにくく状況が掴みにくい。
しかし、それも束の間で、段々と没我し、泉鏡花の幻想世界へ耽溺していった。
表題作の「高野聖」は、あらすじは知っていたものの読んだことはなかったが、なんともグロテスクな蛭の道と、麗しき美女の妖艶なエロティシズム!
冒頭に収録されている「外科室」も、鮮烈な執念の美が輝く秀逸な短篇。