魚神

著者 :
  • 集英社
3.61
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本棚登録 : 819
感想 : 169
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712766

感想・レビュー・書評

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  • 千早さん独特の表現力と世界観にすっかり引き込まれて後半は一気読み。
    この島を取り巻く生臭くどろっとした水質の河口と月経の描写がリンクしているような感覚になった。
    中盤の蓮沼が乗り込んできたシーンがとにかく怖くてたまらなかった。と同時に本当はこんな事したくないのではないかと蓮沼の本心を慮って、せつなくなりました。
    他にもスケキヨがずっとどんな暮らしをしてきたのか、御伽噺と実は接点(生まれ変わりとか?)があるのか、など消化不良なところが多々残りましたが、全ての答え合わせをしない余白といつまでも残る余韻がこの作品の良さなのかなと思いました。

  • 千早さんの作品は、どれも表現や登場人物が独特で大好き。
    見目が美しく心が空っぽな男女2人が異質で淫靡な島でどのように生きていくかという話。
    残酷な中にも美しい表現で描かれている作品。パートナーは必ずしも身体で繋がらなくても心で繋がって入れば言葉も何もいらないと感じさせられた。

  • ミニコメント
    きらびやかな遊郭と影の濃い裏花街、2つの世界がときに美しく、ときに恐ろしく描かれた妖艶で官能的な世界。
    2009年に第37回泉鏡花文学賞を受賞。 

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/711137

  • 何とも感想が難しい。
    どろりとした、高い湿度の中にいる感覚。
    島の独特な匂いがこちらまで漂ってくる。
    独特で、残酷なファンタジー。
    表紙がとても美しい。

  • 江戸時代のような近代のような、不思議な感覚の世界。
    遊廓の話で濡れ場もかなり出てくるけど、いやらしさはなく、悲しい気持ちになる。

    極道の妻達みたいな話だなと思った。極妻見たことないので、完全に偏見ですが。

    蓮沼はいわゆるヤクザなのかな。魅力的なキャラクターで、白亜に対する態度もツンデレなのか?好きなんでしょ?と思わせる感じが良い。でも暴力シーンは苦手…
    そしてスケキヨのサイコパスさも見ていてちょっとツラい…

    じめっとした雰囲気は良かったけど、HP削られる感覚があって、あまり合わなかったので残念。

  • ちょっと不思議な世界
    激しい暴力のところ、隠微なところ、平穏なところ、悲しいところ

  • 具体的な表現と抽象的な表現が入り混じっていて、ずっと夢を見ているような感覚で読んだ。

    蓮沼には生きていてほしかった。

  • 娼婦の生きる島、そこはデンキも通らず前時代的な場所。白亜はそこで育って娼婦になって。兄弟として育ったスケキヨ以外には感情を揺さぶられない。
    官能的で寓話のような展開で、不思議な本でした。一度読んだだけだと最後のオチで白亜が望んだ結末なのかどうかわからないです。確かにお互いがお互いを大事に思ってますが、あまり人間ぽさを感じられない関係かも…。幸せなのは幸せなんだろうけども。

  • 第21回 小説すばる新人賞受賞作

    デンキも無い、澱んだ水の臭いがする孤島。
    その孤島には、かつて政府によって造られた、一大遊郭があった。

    その島に住む、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは、幼い頃に、定食屋の婆に拾われ育てられた。
    二人は「互いの瞳の中に互いの感情をみる」そんな関係であった。
    やがて、婆によって、スケキヨは男娼として、白亜は廓へと売られて行く。
    離れ離れになった二人の魂は、惹きあい、心の底から求め合い、そしてそれゆえに避ける。

    艶めかしく、重く暗く、不思議な魅力の作品。

  • 離島の遊郭が舞台の作品…登場する姉弟は美しく成長し、姉の白亜は遊女に、弟のスケキヨは陰間(男娼)として売られてしまう…。白亜は島随一の遊女になり、そんな中スケキヨが謎の薬問屋として暗躍していることを知る…。以前スケキヨに命を助けてもらい恩義を感じている蓼原、遊女の新笠、スケキヨを追う蓮沼…惹かれ合いそれでいて拒絶しあう姉弟に大きく関わりながら物語が展開してく…。

    やっぱり千早茜先生の作品って凄い!ここまでいい意味で陰湿なねっとりとした世界を作中から読み手に感じさせるテクニック…それでいてあやしくそれでいて艶やかな雰囲気をも感じ、引き込まれるように読み込みました。私は、スケキヨより蓮沼が好きだなぁ(*^^*)

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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