- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087712766
感想・レビュー・書評
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千早さん独特の表現力と世界観にすっかり引き込まれて後半は一気読み。
この島を取り巻く生臭くどろっとした水質の河口と月経の描写がリンクしているような感覚になった。
中盤の蓮沼が乗り込んできたシーンがとにかく怖くてたまらなかった。と同時に本当はこんな事したくないのではないかと蓮沼の本心を慮って、せつなくなりました。
他にもスケキヨがずっとどんな暮らしをしてきたのか、御伽噺と実は接点(生まれ変わりとか?)があるのか、など消化不良なところが多々残りましたが、全ての答え合わせをしない余白といつまでも残る余韻がこの作品の良さなのかなと思いました。
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千早さんの作品は、どれも表現や登場人物が独特で大好き。
見目が美しく心が空っぽな男女2人が異質で淫靡な島でどのように生きていくかという話。
残酷な中にも美しい表現で描かれている作品。パートナーは必ずしも身体で繋がらなくても心で繋がって入れば言葉も何もいらないと感じさせられた。 -
ミニコメント
きらびやかな遊郭と影の濃い裏花街、2つの世界がときに美しく、ときに恐ろしく描かれた妖艶で官能的な世界。
2009年に第37回泉鏡花文学賞を受賞。
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/711137 -
何とも感想が難しい。
どろりとした、高い湿度の中にいる感覚。
島の独特な匂いがこちらまで漂ってくる。
独特で、残酷なファンタジー。
表紙がとても美しい。 -
ちょっと不思議な世界
激しい暴力のところ、隠微なところ、平穏なところ、悲しいところ -
第21回 小説すばる新人賞受賞作
デンキも無い、澱んだ水の臭いがする孤島。
その孤島には、かつて政府によって造られた、一大遊郭があった。
その島に住む、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは、幼い頃に、定食屋の婆に拾われ育てられた。
二人は「互いの瞳の中に互いの感情をみる」そんな関係であった。
やがて、婆によって、スケキヨは男娼として、白亜は廓へと売られて行く。
離れ離れになった二人の魂は、惹きあい、心の底から求め合い、そしてそれゆえに避ける。
艶めかしく、重く暗く、不思議な魅力の作品。 -
離島の遊郭が舞台の作品…登場する姉弟は美しく成長し、姉の白亜は遊女に、弟のスケキヨは陰間(男娼)として売られてしまう…。白亜は島随一の遊女になり、そんな中スケキヨが謎の薬問屋として暗躍していることを知る…。以前スケキヨに命を助けてもらい恩義を感じている蓼原、遊女の新笠、スケキヨを追う蓮沼…惹かれ合いそれでいて拒絶しあう姉弟に大きく関わりながら物語が展開してく…。
やっぱり千早茜先生の作品って凄い!ここまでいい意味で陰湿なねっとりとした世界を作中から読み手に感じさせるテクニック…それでいてあやしくそれでいて艶やかな雰囲気をも感じ、引き込まれるように読み込みました。私は、スケキヨより蓮沼が好きだなぁ(*^^*)