宵山万華鏡

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713039

作品紹介・あらすじ

祇園祭宵山の京都。熱気あふれる祭りの夜には、現実と妖しの世界が入り乱れ、気をつけないと「大切な人」を失ってしまう-。幼い姉妹、ヘタレ大学生達、怪しげな骨董屋、失踪事件に巻き込まれた過去をもつ叔父と姪。様々な事情と思惑を抱え、人々は宵山へと迷い込んでいくが…!?くるくるとまわり続けるこの夜を抜け出すことは、できるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 京都の夏のお祭り、宵山の不思議な一日。
    本は自由だなー。たっぷり宵山をさまよいました。

  • 間もなく祇園祭ということで、久々の森見さん。
    これからの時期にピッタリの作品。

    最初はあまり引き込まれなかったのだけれど、
    各章が分かれつつ、全てリンクされている構成の中、
    いつの間にか森見ファンタジーの中。

    お祭りの妖しい雰囲気の中、阿呆なことに全力を尽くす、
    『偏屈王』元メンバー他(笑)

    現実から宵山様の不思議な世界へ抜け出したい人に、
    お勧めの一冊。

    あぁ京都に行きたい。お祭りに行きたい。

  • 「働く人の目の前で、日の高いうちから飲む麦酒はうまいなぁ。背徳的な味がするよう……」

    阿呆な計画に巻き込まれ、宵山の夜を駆け巡る仲間たち。年中行事により頻繁にバスの運行予定は狂うわ、観光客は多いわ、平日でも山伏御一行に遭遇するわ、帰路はいつもニッキの香りに満ちているわ…京都、先月まで通っていたけれどまことに油断ならないところである。
    宵山の夜、しれっとした顔で妖が紛れ込んでいてもおかしくない。
    宵山金魚、宵山劇場がたまらなく素敵。金太郎に睨まれて宵山様のところまで引っ立てられたい!

    千と千尋✖きつねのはなし✖夜は短し〜 な世界観。ところどころ、ひやりと怖かった。

  • 以前読んだ「夜は短し 歩けよ乙女」が非常に面白かったので、今回本屋さんで積まれていた森見登美彦氏の「宵山万華鏡」を読みました。
    森見ワールド炸裂といった感じのファンタジー小説でした。
    いったい何処まで読み込んでいけばいいのか、作者はどのように訴えているのかは1回読んだだけでは分りませんでした。
    解説があれば読んでみたいと思います。
    面白い本ですが、「太陽の塔」、「夜は短し 歩けよ乙女」の方がお茶目な清清しさがあるので好きかもしれません。
    また時間をおいて読み直したいと思います。

  • まず表紙がおしゃれ。
    キラキラしている。
    本の内容は、読み進めてもちゃんと分かったような、分からないような。
    それがファンタジーとも言える。
    京都の街並みが想像できて、京都に行きたくなる本。

  • 面白かった!万華鏡の世界に入ってみたいとちょっと思う。

  • 祇園祭宵山を舞台に摩訶不思議な物語りが紡がれてゆく連作短編集。万華鏡(テレイドスコープ)を通し現実と幻想の狭間が混在した宵山の世界。行方不明になりかけた姉妹、偽祇園祭という壮大な法螺話、宵山という日の中に閉じ込められ1日を繰り返す人の話、もの悲しく郷愁漂う感じの、そして背筋の寒くなりそうな感覚の物語でした。「夜は短し歩けよ乙女」の偏屈城に絡んだ人達も出てて、若干の繋がりも。約240頁の物語だが何回も読み返しながら読んだので凄く日数がかかった。そして作品によって印象が違う作家さんだなと思いました。

  • 一風変わった友人と祇園祭に出かけた「俺」は“宵山法度違反”を犯し、屈強な男たちに捕らわれてしまう。次々と現れる異形の者たちが崇める「宵山様」とは?(「宵山金魚」)目が覚めると、また宵山の朝。男はこの繰り返しから抜け出せるのか?(「宵山迷路」)祇園祭宵山の一日を舞台に不思議な事件が交錯する。幻想と現実が入り乱れる森見ワールドの真骨頂、万華鏡のように多彩な連作短篇集。
    「BOOK」データベース より

    京都に住んでいると、閉じ込められたと錯覚するくらい時代が変わっても変化しないものがあるということを感じることがある.そんなことを思い出す一冊.

  • 祭りには恐ろしさと楽しさの両方があるけれど、その根っこは1つという作者のあとがきの言葉が好き。

    この作品に出てくる面白い話も怖い話もレトロな雰囲気で読んでいて文章の中で起こる出来事が京都を舞台にすんなりイメージできた。

    森見さんの面白いことにも怖い事にもとことん力を入れている感じがとても良い。

    宵山金魚の最後の台詞「よくぞ聞いてくれた。意味などない。」というのは純粋に面白さを求めている人々をよく表していてすがすがしかった。

    怖ろしさは、恐怖を感じる人々の目線で書かれている。宵山で起きる怖ろしさには悪意はない。でも人の手には余るものでそれに触れてしまったら怖ろしい目に会う。こういったものは日本昔話に出てきそうなものでどこか懐かしい雰囲気の怪談になってる気がする。

    レトロで無邪気な話でとても好みな雰囲気。うーん、京都行きたい。


    森見さんの作品を読んでいると、面白いものに強く憧れているような、でも一方でつまらない自分をすごく客観視した冷めたものを感じる。

    森見作品の面白さってすごく憧れるけど、つまらない自分の描写にはすごく共感できる。
    それがあるから森見作品はすごく大好きです。

  • 何だろう。こういう森見を待っていた、という気分になった。
    初めはすっとんきょうで愉快な面々のイタズラ話を読んでいたハズなのに、いつのまにか宵山の迷宮に囚われて、抜け出せなくなって…。
    妙にしんと静まり返った余韻が胸に残る。面白いのに怖い、怖いけど儚く美しい、そんな小説。好きだ。

  • 祭囃子の聴こえる宵山の夜、知られざる京都で開かれた宵山様のお祭り。
    仲の良い姉妹や、高校時代の友人や、画家と作家や、それぞれが体験した宵山の夜。

    それは霊験あらたかで、ときに奇々怪々で、気付けば恐怖に震え、知らずに優しさで包まれたような…そんな集大成が詰まった物語でした。

    森見さんは、やっぱり最高です。
    こんなにも摩訶不思議な世界を作り出して、さも異色の世界に自分も足を踏み入れた気分にさせてくれる技術。超一流だと思います。
    赤提灯や露店の賑わい、浴衣で京都を練り歩く人々の喧騒。屋台に吊るされて揺れる金魚。
    電飾で目がチカチカする祭の夜を味わった気分です!

    “人生には、意味の分からない遊び心も必要なのだよ“

    そう言われた気分です。

  • もりみー流の「千と千尋の神隠し」?
    きらきらした宵山と情景がきれいなファンタジーなのに、根底に流れている異世界ホラー感がとても怖かった。

    食べなくてよかったし、
    手を掴むことができてよかった。

  • 悲しみはそのまま胸のうちにあったけれども、今はそれを表に出すことはなくなっていた。街で行き過ぎる人たちは、浴衣姿で歩く彼のことを気楽な見物客としか思わなかったろう。病で咳きこみ続けると、やがて咳きこむ力さえなくなってしまう。しかし病は癒えたわけではない。
    (P.147)

    「信じますよ」
     私は静かに言った。「信じます」
    「とても不思議なことなんですよ」
    「私も不思議な目に遭いました。だから信じます」
    (P.202)

  • 色を濃くしていく夕闇の中で、ひらひらと舞うように路地を抜けていく彼女たちは、まるで薄暗い水路を泳ぐ金魚の群れのようであった。

    大好きな森見登美彦節

  • 京都が魔窟に見えてきた!宵山の夜に起こる不思議の数々。おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさと、ほんの少しの恐ろしさにページを捲る手が止まりませんでした。表裏でリンクする仕掛けもいいなぁ。

  • 読後、京都の宵山に行きたくなった作品。宵山の万華鏡に吸い込まれ、摩訶不思議な世界へ誘う、何とも言えないふわふわ感がある印象である。宵山の不思議な世界感はぞっとする場面あり、和む場面あり、万華鏡のようにキラキラした派手な世界で、何にでも形を変え、見方によって模様が変わる出来事、姉妹に起こる不思議な出来事、迷宮入りした不思議なほわんほわん感、金魚をめぐる謎など、宵山の世界において、七不思議以上の不思議があり、それらが現実世界と交互に入り混じっていて、何とも言えない面白さがあった。

  • 最高!!これぞ森見ワールド。
    赤い浴衣の女の子たちに手を引かれて、私も宵山がみせる異世界に迷い込んだみたいな気分。
    金魚、赤い浴衣、風船、山鉾、鯉…紺色と桃色が混じり合う時間。

    失踪した女の子はホンモノの宵山様になったのかなぁ。
    バレエ姉妹の姉の方が会ったのはその女の子では???
    でも結局あれは何だったのか…って考えるよりも、この浮遊感のなかを漂っていたい!

    というか、この世界観を活字で表現できるのが本当にスゴイ。
    表紙の装丁も素晴らしい。
    あと、平成狸合戦ぽんぽこのあのシーンと被る。(笑)
    京都に、祇園祭に、行ってみたくなった。

  • 京都の祇園祭宵山で起きる摩訶不思議な出来事の数々。

    バレエお稽古の帰りに寄り道した宵山ではぐれてしまった姉妹。
    同級生の乙川にまんまと騙された偽宵山作戦。
    偽宵山作戦に駆り出された人たちの奮闘。
    かつて宵山で姿を消してしまった従姉妹と叔父の行く末。
    繰り返す日々に悩まされるときに乙川に差し出した物によって助かった画廊。

    赤い浴衣を身にまとって、ひしめき合う人たちの合間を泳ぐようにすり抜けていく女の子たち。
    ふてぶてしい顔をした妖怪じみた超金魚。

    現実のなかに入りまじった奇怪なものたちの世界。

    どこからが現実でどこまでが異世界なのか、境界線が曖昧になりつつも、祭りの喧騒を感じて魅力的だった。)^o^(

  • 京都の宵山の情景が目に浮かぶようで、きらきらしてとても綺麗でした。
    宵山劇場から面白みが分かってきて、最後の宵山万華鏡を読み終わった後は脱帽でした。

  • お久しぶりの森見さん。

    森見作品に限っては「阿呆」と「くだらない」が
    最大級の褒め言葉だと思っているのですが(笑)
    今回は阿呆はすっかり影を潜め、妖しい雰囲気の短編集。

    こういう感じのもすごく好きだわ~♪
    系統的には「きつねのはなし」に似ているかな。
    京都という土地の持つ魔力を存分に堪能できるお話です。

    読み進めていくうちに、宵山の奥へ奥へと誘われるような…
    赤い浴衣を着た女の子達に付いて行きたくなるような…
    何とも不思議な吸引力のある作品です。

    プッと笑えるお話もあれば、ちょっぴり怖いお話もあり。
    連作短編集になっていて、お話がリンクしているのが面白い。
    また京都に行きたくなりました。

    余談ですが、孫太郎虫をググってしまった事に後悔(笑)

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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