- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087714036
感想・レビュー・書評
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若い感性
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辻村さんの本だから、大丈夫だよね、と思いながらもハラハラして読みました。
どうなるの?これ。私、はどっちにしても生きてけないじゃん、と。
最後の最後、徳川くんが出てきて、よかったなぁとおもいました。蛇足だけど、もっとその先も知りたいなぁ、と余韻にひたることができました。 -
先日読んだ村田沙耶香の「しろいろの街の~」でも思ったけど、中学生なんて時代がもう遠いむかしとなってよかった。
ほんとにこんな世界の中で毎日を過ごすなんて時代を通り過ぎてよかった。
今回のは、主人公の女の子がリア充女子。相手の男の子がイケてないキャラ系男子。
死に憧れ、人とは違う美的センスに酔い、しかしあくまでも考えは子どもで、はー、おもしろかったな。
音楽室、待ち合わせの展望台、河原の草むら、教室、撮影スタジオ、いろんな場面が目で見たように想像できて、本を閉じたあともわたしの中に残った。 -
女子中学生ならではの嫌な青春が書かれていた。思い出して嫌な気分になりつつ、よく乗り越えてきたよなって褒めたい気持ちにもなった。
タイトルからは想像のできない読後感のいい作品でした。 -
やっぱり、心に来るんだよなぁ
誰彼なくオススメはできない。
みんなが共感できるような本じゃないから。
例えば芹香とかには、絶対に響かない。
でも、分かる人にはノドが詰まるように響いてくる。
響く人には響く。
届いて欲しい人には必ず届く。そんな本。
だからかな、自分が大きな声を出してオススメするのは恥ずかしい。
アノニマスな必死の声が広がって、少年Aと少女Aに届いてくれればそれでいいんだと思う -
ドロドロ感、満載。イマイチ悪に徹しきれない登場人物たち。中途半端なところがこの物語の中学生の青春というか青臭さなのだろうけど。
人との繋がりは渦中にあると見えないこともあって
過ぎ去ってから浮き彫りになったりもするのかと。
ドキッとする題名に振り回されるストーリーだった。 -
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クラスで上位の「リア充」女子グループに属する中学二年生の小林アン。死や猟奇的なものに惹かれる心を隠し、些細なことで激変する友達との関係に悩んでいる。家や教室に苛立ちと絶望を感じるアンは、冴えない「昆虫系」だが自分と似た美意識を感じる同級生の男子・徳川に、自分自身の殺害を依頼する。二人が「作る」事件の結末は―。少年少女の痛切な心理を直木賞作家が丹念に描く、青春小説。
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まったく親しいわけではないが、奥底に似通った感性を感じたクラスメイトの昆虫系男子・徳川に自分を殺すことを依頼したアン。中二という、自分の存在がまだ確立されておらず、些細なことで揺らぐ年頃特有の面倒臭いことこの上なく、しかもひどく狭い人間関係に翻弄されつつ日々を過ごす様子が、息苦しいほどリアルである。そんな中で、アンにとって、自分が殺されるXデーが、生きる希望になっているのも矛盾してはいるが、解る気がしなくもない。徳川と計画を練っていくうちに、彼のことをまったく知らないことに気づいたり、Xデー以後の彼の周りのことに想いを馳せることもできるようになったりするが、それは少しずつ成長している証しでもあるように思われる。そして二人の関わり方も微妙に変わってくる。大人になって振り返れば、小さなコップの中の嵐のようなものであるのだが、あまりに激しく束の間の嵐ではあった。途中、やや中だるみ感はあった印象はあるが、展開から目が離せない一冊だった。 -
中二の4月、芹香や倖から声がかけられなくなったアン。吹替版「赤毛のアン」ばかり見てるお花畑でウンザリなママは机の引き出しに自殺や殺人に関する新聞の切り抜きが入ってるのを知らない。中二病を自覚するアンはママへの不信感、センスないこの世界への絶望をないまぜに、密かに憧れた写真集のことも理解した隣の席の美術部の昆虫系男子徳川に「私を殺してくれない?」と持ちかける−
◆ん-…どす黒い中二病真っ盛りだけど、「死にたい」のに「演出」にはこだわって「痛いのは嫌」とか「どこまで本気?(笑)」ていう笑っちゃうバカバカしさがある。ネズミならよくて猫ならダメなんだ?そういう人間が「理想の事件」を作りだそうなんてバカげてる。(だからこその中二病か)あまりにも簡単にとても同情できない理不尽な理由で他人に自分の不満のつけを払わせる人が多い中、自分の命を使って何を遺そうと画策してるんだ…。自殺して舞台から降りても、舞台はずっと続いていく、ならば人の記憶に、ニュースにずっと残るような事件を…て考えるもんなのかな。まさしく中二(苦笑)。でも。ただの黒歴史で終わらない、救いある終わりで良かった。 -
辻村さんの綴る言葉は、本当に心に馴染む。
気づくと世界に入ってしまう。
今回、殺人という言葉があるタイトルでありながら、イメージしていたものとは大分異なる感想をもっのも、その要因が大きい気がする。
中学の頃、誰もが感じること。
その感覚をとてもリアルに体感させてくれる本だ。