彼が通る不思議なコースを私も

著者 :
  • 集英社
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感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715347

感想・レビュー・書評

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  • 内容紹介
    人は彼のことを“神の子"と呼ぶ――学習障害を持つ子どもたち。世界を変えようと決意するひとりの教師。彼の目に映る、人間の未知なる可能性とは。直木賞を受賞した『ほかならぬ人へ』をはじめ、“運命"をめぐる数々の名著を物した著者が、生への根源的な問いを放つ、渾身の一作。
    「本物の時間というのは、絶えず伸びたり縮んだりしているんだよ。人間はみんなひとりひとり、持っている時間の長さが違うんだ」――友人がビルから飛び降りようとしている現場で、霧子は黒ずくめの不思議な男と出会った。彼は修羅場の最中、気づけば消えるようにいなくなってしまった。彼の名前は椿林太郎。学習障害児の教育に携わる、抜群に優秀ですこし変わった小学校教師。霧子はひょんなことから彼と知り合うことになり、魅かれていくが、実は彼には知られざる不思議な能力があって……。

  • 興味深かった。
    が、謎はなぞのまま夢から覚めてしまいました。

  • 人がビルから飛び降りたのに怪我で済んだという凄い場面に居合わせたのに手を貸すこともなく素通りした男に、霧子は合コンで再会する。霧子が心の中で「死神」と呼ぶその人は、とても不思議で魅力的な男だった。

    ディテールの描写がとても細かい。しかも登場する場所や会社は実名が使われている。霧子が就職する会社も、社名こそ出てこないが容易にあのメーカーだと分かる。そんなリアルな世界の中で、林太郎の設定だけがどこかファンタジー。そしてそんな林太郎が変えていこうとする世界は、人々が目をそらして関わろうとしない現実。
    林太郎が関わっているのは、認知に偏りがあることでレッテルを貼られたり、虐待を受けたりしている子供たち。「小さい頃から何でもそつなくこなして、一流高校、名門大学へと進む子供たちよりも、むしろ発達に偏りのある彼らの方によほど未来を感じる。この国は、そういう可能性に満ちた子供たちを、旧態依然とした教育システムのせいでどんどん駄目にしてしまっている。もうこれ以上、そんなことを続けさせるわけにはいかないんだよ」
    ラストは「え?そういうオチ?」とちょっと驚くけれど、それは重要ではない。全て読み終えて初めてタイトルの意味がわかる。
    とても読みやすくてほぼ一気読みだった。

    「頭の中で大きな音がしている」というエピソードは、編集者さんの実体験だそう。さらに著者の白石氏自身も、学校でじっと座っていられない子供だったそうだ。

  • これ、ラストどうやって終わるのかなーと思っていたら、、、
    でも、この小説、嫌いじゃないです(笑)。

  • 不思議な、不思議な物語でした。

    子どもたちと向き合うこと。
    それぞれの事情を抱える子どもたちと向き合うこと。

    安易に誰かを責めないこと。
    痛みを与える人は、同時に痛みを抱えている人でもあるということ。

    うまく言葉にならないけれど、読んでよかった、そう思えた一冊でした。

  • 死神?と疑ったところからスタートして、教育問題、虐待へと重点が移ったりしながら、ドキドキして読んでいたのに最後で肩すかしと言うか、、、

  • Σ(゚Д゚)エッ マジで夢オチ〜〜?www
    まさかのラストでした(笑)
    色々と重い内容が展開されていたので、どうまとめるか楽しみながら読んでいたのだが。。
    すべてが夢だったとは(笑)でもそんな出来事が本当は無くてよかったねといったところかな(笑)
    唐突に選挙で当選とかちょっと怪しかったけどね(笑)

  •  友人がビルから飛び降りようとしている現場で、霧子は黒ずくめの不思議な男と出会った。彼の名前は椿林太郎。学習障害児の教育に才能を発揮する、優秀ですこし変わった小学校教師。霧子は彼に魅かれていくが、実は彼には知られざる能力があって…。

    「本物の時間というのは、絶えず伸びたり縮んだりしているんだよ。人間はみんなひとりひとり、持っている時間の長さが違うんだ」

    「とにかく一日一日を生きていこうって思う強い気持ちを持つしかないんだ。自分が好きだってことなんだよ。他の誰でもない、とにかく自分自身が大好きで、超愛してるって思えることだよ。」

    「僕はね、こういう能力を手に入れてみて、たった一つだけきみたちが知らないことを知ったような気がするんだよ。それはね、死は決して終わりではないってことなんだ」

     生死観にかかわるテーマを含みつつも、若い二人の生活感たっぷりに話は進んでゆく。そして胡蝶の夢・・・。一気読みできる作品です。

  • 最初から最後まで違和感の塊に支配されたような気分。常になんとも言い難いモヤモヤ感がつきまとう。発達障害などをテーマにしているようだが、何を伝えたいのかがわからない。登場人物と作者に振り回されて終わるという感じがする。

  • 話、文章は読みやすく、好印象です。
    読み終わってみると、作者の主張を、物語に混ぜて語ってる感が強いかな。
    最後はどうなの?。最近はタブーではないのかね

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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