彼が通る不思議なコースを私も

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 618
感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715347

感想・レビュー・書評

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  • ふわふわと霧の中を歩いているような気にさせる小説。
    自分自身に見えている世界は、隣のこの人には見えていないかもしれない。この人が見ている世界は自分とは違うかもしれない。
    自分とは違う存在を認めて、力を認めて、でもそれに諦めないという選択をする強さを感じる小説でした。

  • 初読みの作家さんでした。全くジャンルも分からず読み始めたが、素晴らしく引き込まれた。そして最後に放り投げられて呆然とした。

  • 2014 2/13

  • なんとも不思議なお話だが、悪くなかった。

  • 白石さんらしくって大好きなんだけどラストがなあ。凝りすぎというか、ちょっとついて行けなかったのが残念。

  • 20140122読了

  • まただ。完全に一致する。自分は日頃から「死」を恐れている。
    必ず死ぬって言われてもうまく消化できない。
    で、ひょっとすると今この瞬間が永遠にループしているんじゃないかと考えたりする。

    「神の子」林太郎を通して人と人との結びつき、恋愛、教育、働くということ、これでもかと思うくらいてんこ盛りで。
    どれもこれもが共感できて、とってもおこがましいけど
    そんな考えをこんな物語に出来てしまう白石さんに凄い嫉妬を覚えます。

  • 今回も白石さんの居心地のよい文章に浸れたんだけど終わり方の解釈に悩む……。

  • 林太郎は確かに不思議な感じがする、行動力もあるし人の事を考えているし魅力的で彼の奥さんになった霧子はどこか冷静な彼に不安を覚えている。霧子はけっして平凡な普通の女性ではないけど相手の本心や伝えてほしいことを言ってくれないからそこで微妙に想いの違いが生まれている。読み出すとスルスルと物語が進んでいって円環のようにタイトルが示すような終わり方であって納得みたいな気持ちになる。


    以下は少しネタバレ

    終わり方では最初と最後が環のようになるそんな感じで、並行世界でもないしひたすらくり返しているわけでもない。ただ、彼女が見た彼との人生の流れがわかってそんな林太郎とも生きて決められていることを変えたいというのはわかる。
    ゼロ年代以降の繰り返しの物語、ひぐらしや新エヴァやまどマギ、最近ならSPEC結なんかがあったので先の景色があってさらなる円環がみたい。

    それを見た霧子が変えていくその先の物語がやっぱり読みたかった。

  • 主人公、林林太郎は淡々としている。彼には人の運命のようなものが薄ぼんやりみえているのだろうか。優秀であると友人から評価される林太郎も実は子供の頃、学習障害という問題を抱えていた。周囲に気づかれずに様々な問題を持っている子供たち、たぶん大人もまた別の問題を抱えている。いつかは終わってしまう命、人生をどういきるか、過去を振り返るのと同じように未来を思い描くことで、限りある寿命をより充実させる。そんなメッセージ性の強い作品。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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