なつのひかり

著者 :
  • 集英社
3.14
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本棚登録 : 422
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087741698

感想・レビュー・書評

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  • 文章や日常から幻想へ繋がっていくストーリーや謎めいた登場人物設定は好き…なのだけど今作はあまりハマらず。
    個人個人は好きなんだけど、他の誰かとの繋がり方が(悪い意味で)共感しづらいな、とか結局 順子さんは何者?幸裕=裕幸は同一人物?パラレルワールド?ベティは誰?等疑問点が残って上手くまとまらない。夏の白昼夢…にしては周りの人物がハッキリ事象を理解してるし、それなのに正解となる答えは言ってくれないし。掴めそうで分からないモヤモヤ感のが強く残ってしまう読後感が個人的には合わなかった




  • 主人公の栞
    しおりちゃんには、幸裕という兄がいる。
    そう、この幸裕が独特な性格の持ち主で、
    この物語は、そんな幸裕の性格で引き寄せられた、
    (そこに近づいた方々も独特な持ち主なのだが、、)
    人々が混ざり合い、物語が進んで行く。

    物語を読んでいると、
    浮かんでくる情景が不思議で、錯覚や夢のように感じる。

    最初は、隣の少年董平がヤドカリを探しているとこから始まる。

    栞ちゃんにはとても大好きな兄、幸裕がいる。
    私も兄のことは好きだが、
    この兄妹の愛の形は独特。
    栞ちゃんは兄のことを強く思い、抱いたりするほど。

    そんな幸裕には、妻の遙子さんと娘の陶子がいる。
    遙子さんは想像通り、やっぱり美しい方。
    本当に江國香織さんの作品に出てくるような女性にお会いしてみたい。
    欲を言えば、お友達になってほしいぐらい、、、

    それに、そんな幸裕には熟女の愛人、順子さんがいる。

    そして、そして、裕幸の妻だと言い、
    栞ちゃんの家に居た巣頭のめぐが、、、

    まず登場人物同士の関係に、
    頭の中は、クエッションマークだらけだ。

    それから、その他に陶子のことを連れ去ったことをきっかけに、仲を持ったなつみちゃん
    八百屋のおばあさんに、
    同じマンションの建物に住んでいるくすくす笑ってばかりいる可愛げのない双子と、
    洋一、
    あと忘れてはいけないやどかりのナポレオンが出てくる。

    物語はなんだか複雑だった
    どうゆう風に解釈して良いかわからなかったけど、
    ただ、ある夫婦のすれ違いのことを表してるのかなぁと思った。
    幸裕はずるいのよ。
    遙子さんがいるのに、愛人の順子さんが居て。
    でも、ちょっと解決できなかったのが、
    順子さんが言ってた、
    遙子さんには2人の夫がいると、、、
    これって、もしかして、幸裕と裕幸のこと!?
    え!今気づいた!

    簡単に言えば、幸裕は自分を失っていた、
    或いは都合よく、自分を見失ってた。
    白黒つけないことに、目を背け、
    その間に、裕幸になり、他の女と結婚なんかしちゃって、、、

    でも、順子さんは幸裕が順子さんの愛人ではあることに解放されたいことを知っていたからか、
    順子さんは余計にことを複雑に、
    幸裕を自分の手から逃れられないようにしたのかなぁと思った。

    もしかして、陶子ちゃんはあれから笑うようになったんじゃないのかなぁと今思った。

    遠回りや時間がかかったり、
    いろんな人を巻き込んで大変なことになっても、
    二人が落ち着くところへ戻って来られるなら、
    いいやぁ〜と思った。

    順子さんの鬘ではない姿をとても美しく感じた。

    ヤドカリを見たくなる、一緒に過ごしたくなる。
    まさかナポレオンがこんなに活躍するなんて思わなかった。
    あなたの瞳が一番かわいく、強かったよ。

    江國香織さん大好き

    ごちゃごちゃした人たちの世界は、
    やっぱりごちゃごちゃなのよね。
    でも、実はシンプルだったってことに辿り着いたのかなぁ?

    もう一度読みたい本

  • 20歳女性の住むマンション。隣家のやどかりが脱走
    するところから物語は始まる。
    タイトル通り「なつのひかり」が
    物語全体の澄みわたり、きれいな夏色が情景として
    浮かんでくる。
    しかし内容がわからん。
    わかるものではないのかもしれない。
    わかろうとするものではないのかもしれない。
    ところどころに出てくるホラーテイストな
    演出が、
    自分が禁煙中に見た白昼夢を思い出させ
    気分が萎えました。。。

  • すべての登場人物がどこかいびつで歪んでいる
    おばさんが屋台で売っている野菜たちのように、
    どんどん物語は捻じれていく、不思議の国のアリスのようだ
    夏の日のバスルームのタイルのようにひんやりとして
    けれど暑くじっとりと汗が出るような
    そんな不思議な物語だった。

    この世界はどこの世界なのか、なんなのか掴めずにいる

  • 夏の太陽がみせたまぼろし。

  • <もうすぐ21歳>
     
     栞は来週21歳。

     やどかりを捜してとなりの男の子がやってきてから、栞が21歳になるまでに起きた、夏の日の不思議なお話。

     子どもの頃、家出をしてからずっといっしょで、双子のように愛している兄が行方不明になった。妻の遥子さんは「それ」を捜しにどこかへ行ってしまう。

     2人の恩人で兄の愛人である順子さん、もう一人の愛人のようなめぐみさん、がからまって、栞の冒険が続く。案内役は、逃げ出したやどかり、そして、栞の思い出…。

     何か、村上春樹を思い出させる展開で、どんどん不思議な世界に身をおいて、いっしょに何かを探し始めてしまう。

     数日間の出来事のはずなのに、いっしょに何年も旅をしたような充実感が心地よい。

     文庫の解説の三木卓氏の文章も嬉しい。 

     

    2008-01-23 / 小川三郎

  • 2014.8月下旬

    昔に買った本を読み返してる。

    何年振りかに読んだけど、ほんと不思議な世界。
    でも、おもしろかった。

  • 私が好きな夏の描写ではないけれど、夏に溢れてる。食べ物とか空気とか。
    さわやかでもじっとりでも太陽さんさんでもない、独特の夏の感覚。結局、結末はよく分からなくてなんだかファンタジーだったけど、物語の雰囲気はすき。この時期に読めて良かった。

  • 不思議な雰囲気の話。
    主人公ブラコンすぎるだろ……。まあいいけど。
    ヤドカリかわいい。のぞきをしていたわけじゃないと思いたい。
    最後の順子さんがさみしげだった。関係がいつまでも続くとは限らない。愛人かー……。

  • 現実とファンタジーの世界がリンクして、登場人物はみんなぶっ飛んでいるし、よくわからないといえばわからないのだけど、いつものように江國香織の文章だった。おもしろい。でもすっきりと理解できたわけではない。何が起こっているのかさっぱりわからないけど話はゆったりと流れ進み、疑問は苦痛でないくらいに、でもずっと沈殿していく。たぶんわたしはそれが心地よいのだ。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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