阿・吽 (2) (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
- 小学館 (2015年5月12日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091871046
作品紹介・あらすじ
こころ優しき天才、最澄に降りかかる苦難
山籠りを続ける最澄。
正しさを説く彼を慕う者たちが次々と集まるが、ある日、その正しさを揺がす事件が起こります。
一方、都ではサプライズ人事で王になるべく生まれていない、桓武が帝になります。
不安が蔓延してゆく日本の中枢で、人々に求められたものは果たして何か――
空海、最澄ふたりの天才を描く話題作、待望の第2集の登場です!
世界を変える男たちの物語がまた一歩、動き始めます。
【編集担当からのおすすめ情報】
掲載誌である「月刊!スピリッツ」6月号(2015/5/27発売)記事頁の
山岸凉子先生との対談をきっかけに、単行本帯に「『日出処の天子』を
描いていた頃の熱を感じます」という推薦コメントを頂いてます!
『阿・吽』は第1集では「我を満たせ」と叫ぶ空海が目立っていましたが、
第2集は「正しさとは何か?」と問い続ける最澄がメインです。
凡人といえる弟子たちに囲まれた最澄は、愚直なほど清らかなゆえ、
周囲に波紋を生じさせます。そう、愚直なほど清らかなゆえに。
こころ優しい天才・最澄の宿命に、心揺さぶれることを保証します!
感想・レビュー・書評
-
空海キターーーーーッ!!!!!で終わる怒涛の2巻であった…
『阿・吽』は読みたいけどどうしよう、仏教興味ないし…と言う人も多いんだな、と思われる…平安時代って何時代だっけ、ってな私でも十二分に楽しめる面白い漫画である。読もう。背景解ってない、勉強不足でも読める、それが漫画の素晴らしい所!!繊細な最澄の前で繰り返される人の死…
彼の心はどうなってしまうんだろうか…
この辺り、カネキくんに降りかかる運命の残酷さ、それを受け止め決して闇に引き摺られない、あの感じに似てるんだよ…悪意はあるが仕方ないと割り切ってしまっている狂気に「正しさ」は対応できるんだろうか、ってこの図式とか、瓜江と六月が出て来てしょうがない。比較し、こじ付けて読んでる訳では決してないんだが、如何に東京喰種が人間に在り方を問うている作品かが解る、『阿・吽』の2巻読んでると、そう思う。
こんな時代だから、と言うフレーズはよく聞くが、この作品が生まれたのは間違いなく現在と言う世情があるからだと思う。この「閉塞感」はどこから来ているのだろうか。いつからこんな事を感じる様になってしまったのか。自分からこの世におさらばしてやるんだ、それが社会に対する主張なのだと「死」を念じていた十代。なんであんなに死にたかったんだろうか、それは「周囲と同調できない自分」を持て余し、自分は人とは違うのだと中二病的考えにとりつかれていたからだ。社会に入ると、仕事をしていれば割と自分の居場所が出来たりする。職種差別は学歴に直結しているが、その仕事の中で能力を発揮するのに学歴はあまり必要ないと気付くと、死にたいとは思わなくなる。死にたいと思うほど辛い事も経験するが、それがいつまでも留まっては居ない事も経験で知るようになる。そして、割とずっと働いて来ても報われない社会になっていると突きつけられる。社会人として社会に貢献していても、社会からの報いは受けられないんだな、と知る。閉塞感は現実がクリアに見えてくることで起こる。漠然とした不安ではなく、どんなに働いても、十分な年金を貰えず極貧の内に死ねと言われる社会。だからこそ、こう言う作品が生まれるのだろうと思われる。読みたい人が「いる」と言う現象が起こる。
今の社会では多幸感は得られないとみんなが気付き始めている。その多幸感は「財」には求める事は出来ないのだ。自分の「生」を如何に終わらせるかは財に頼れない、そうなると心が強くなりたいと願うに決まっているじゃないか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2巻もとても面白かったです。
本を開いた時にバーンと載っている最澄の願文が刺さります。
最澄は無力さと絶望を抱えて、仏教の道を進んで行くんだな。
桓武天皇との出会い、今読んでいる「日本の聖と賤 中世篇」でかかれていた日本の仏教は皇族や貴族の側にいた…という方向に進んでいくのはここからでもあるのか、と思いました。
続きも読みます。
実は母の実家は横大路家です。分家の端の方ですが…ちょっと嬉しい。 -
コミック
-
川崎DICE
-
凡人には毒になるタイプの天才
-
面白くなってきました。絵もスッキリして巧みなコマ割りになっています。ただ、難解な仏教用語は出るわ、マイナーな日本史を掘り下げるわで、大丈夫でしょうか。桓武天皇周辺で起こる皇族の陰謀事件や近臣の暗殺事件が描かれていました。8世紀終盤の暗黒な日本史をコミック化するって大胆ですね。
-
最澄と桓武天皇の巻。山に籠り、修行に専念し、また、上も下もない、ともに学ぼうと、来るものを拒まず受け入れ続ける最澄。しかし、ついていけずに食料を持ち出して逃げるもの、つねに笑みをたやさず食料も調達してくるが得体のしれない者も。そばにあって、彼我の実力差に絶望する者。別の道へと進む者。「答えを途中で出すのは弱い者のすることだ」と断じつつもそばに残ることを決めた者。最澄が、絶望を抱えつつも進むのだ、と観じつつ。そして桓武の登場。民も家臣も家族も「愛」で救い得るとふるまうも、度重なる死、遠征軍の敗北、洪水…災難続きに自信もぐらつくが、そこにみた一筋の光は最澄だった、というところで結ばれる物語。
-
仏像ブームのついでに。仏教と言えば、必ず教科書で習う、空海と最澄のお話。歴史モノは漫画だと読みやすいメリットがある反面、人物像が作者によるデフォルメなので、好みにハマらないと読むのがきつい罠。まだ2巻なので様子見…でもこの作家の絵? コマ運び? なんか読み辛いわぁ(~_~;)
-
相変わらずの美しさと迫力。
でも悲しい。