ネンドノカンド -脱力デザイン論-

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 431
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093460897

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、エピソードに教訓を添えた、よくある形式のエッセイです。

    「ある仕事を依頼されて、自分の未経験の領域だけれど、見切り発車でてんやわんやした結果、なんだかんだでうまく行きました。今でもその仕事をさせてもらってます」みたいなエピソードが多いですね。

    読み切ってみてまず、佐藤オオキさんは直感や情緒を重要視するデザイナーだと感じました。

    彼は論理的思考をするデザイナーをバカにしているわけではないのですが、「能力の足りない自分にはその方法は無理だから、直感で進めたところ意外とうまく行ってしまった。」という話が多く、それは一見自虐のように見えて、結局は結果が伴っているのだから自分は天才肌である、と言いたいように見えてしまいました。
     同時に、あれこれ考えてこねくり回してモノ作りするのはあんまりじゃない?みたいなスタンスも感じました。私が捻くれているのかもしれませんが。。

     とにかく、海外の著名な賞も取られているのにかなり自信なさげなのが不思議でした。「僕は未熟」「僕には出来ない」「◯◯はすごい」のように、謙遜なのか本当にそう思っているのかはわかりませんが非常に謙虚で控えめな人柄を感じられました。

    語り口はソフトで非常に読み進めやすく、視点は等身大なので、デザイナーでなくても共感できます。読み物として、人の日記を覗いているような感覚でいいと思います。

    オオキさんの言葉ではないのですが、
    「different, but not too differentiate」
    (違うけど、違いすぎない)
    なものづくりは参考にしたいですね。

  • デザインエンジニアリングの話は好きだ。しかし、私はどちらかというともっと人間臭いセールスエンジニアリングの話の方が好きだ。

    その点、この本はデザイン論も話していて興味深かった。ただ体系的に伝えるというよりはプロダクトごとに単発で議論しているのでイマイチ分かりにくい。

  • 佐藤オオキが行ってきたアイデア発想の数々の事例。要素の整理整頓とちょっとの異種融合的チャレンジ。

  • すこしふしぎだけど、使えるデザイン。左脳型と右脳型のバランスが取れたデザイン。粘土のようにこねる楽しさ。

  • オチを先に決めてしまう

    例)実際は白色なのに赤く「感じられる」椅子
    フリ 人が「赤」と知覚できさえすれば、それは十分「赤い椅子」と呼べるであろうという根拠

    どこまでも自由でありながらも、スタートとゴールの間のスキマに最もはまるピースを探し出す

    好きなデザインと正しいデザインの2つのものさし

    切り取った構成要素の時系列や関係性を組み替えていくことで新しいアイデアが次々と出てくる
    鉛筆が一本あるとしたら、素材や質感、色、温度、香り、などの基本スペックから、鉛筆にまつわる行為や状態をザーッと洗い出して、さらには、鉛の芯、周囲の木、と各パーツに分解しながらそれらの関係性を整理する。木は芯が折れるのを保護するためなのか、それとも指の汚れを防ぐためなのか?本当に削りたいのは芯なのか?木なのか?それらの関係を切り離したり、入れ替えたりすることで新しい鉛筆のデザインが見えてくる

    対象物を「見ない」
    探し物が「確かここにあったはず」と思う場所にないのと一緒で、「まさかこんなところに..」と思うような場所に落ちているもの。この時「ここにあるはず」という、「意識の絞り込み」が邪魔している。コスト削減や競合商品との差別化など局所的な要素を意識しすぎることで、その商品の本質的な魅力を見失うことがよくある。これを防ぐためには、対象物をできるだけ凝視しないようにして、その周辺ににじみ出ている要素や背後に隠れている情報にも意識を広げることが重要

    第一印象を何度でも繰り返せるよう、常に「リセットする」こと

    「型」とは、デザイナーによる「問題解決の仕方」の違い

著者プロフィール

デザインオフィス nendo チーフデザイナー
1977年カナダ生まれ。2002年早稲田大学大学院修了後、デザインオフィス nendo設立。建築・インテリア・プロダクト・グラフィックと多岐にわたってデザインを手がける。作品はニューヨーク近代美術館(米)・ポンピドゥー・センター(仏)・ヴィクトリア&アルバート博物館(英)など世界の主要美術館に多数収蔵されている。TOKYO2020の聖火台をデザインし、現在は2024年稼働予定のフランス高速鉄道TGV新型車両のデザインに取り組むほか、2025年大阪・関西万博 日本政府館 総合プロデューサー/総合デザイナーを務める。

「2022年 『半径50メートルのセカイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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