空白の叫び 下

著者 :
  • 小学館
3.78
  • (61)
  • (83)
  • (90)
  • (8)
  • (3)
本棚登録 : 442
感想 : 87
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093797306

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 上巻と同様にもやもやとした終わり方でした。
    結局誰も救われることなく。いきなり本を買わないで図書館で借りてよかった。

  • 上巻では三人の少年が犯罪を犯して、少年院に収監され、そこでの生活を描いているのだが、少年の心理描写や少年院でのリアルな風景は、ページをめくる手を早める。
    しかし、下巻になると失速・・・。少年院を出た後の少年たちが再び犯罪に手を染めるまでを描いているのだが、必要でないと思われる人物も出てきたりして、話も冗長。
    期待して読んだだけに残念。
    まぁ、水準以上の出来栄えだとは思うが・・・。

  • 貫井さん、容赦がない。

    あらすじ:
    中学生の少年、凡庸を厭い苛立ちを抑えられない久藤・大富豪の子息で他者から完璧に見られる葛城・両親がいない慎ましやかな生活をする神原。何も接点が無い三人だが、それぞれが起こした事件によって、接触が生まれる。決して仲間や同士ではない存在。信頼もしてなければ嫌うことも無い。だが、三人は少年犯罪――それも凶悪犯罪の受刑者として結びついてしまった。


    冒頭容赦が無いと言ったのは、望んでいたものからは取り上げ、望まないものにそれを与える、という徹底した貫井さんの姿勢についての感想だ。ねたばれになるから曖昧にしか書けないけれど、上巻の少年院に入ってからラストまで、残酷なまでに厳しかった。「殺人症候群」を書ききっただけある。厳しいきびしい。
    はじめ、三人の中で一番好意から遠かった久藤。それが下巻からはもっとも理解しやすいキャラになった。いかにも、な完璧キャラ葛城。彼は名状しがたいんだな。自己完結しすぎというか・・・。それが徹底している。かなりきつい体験を舌のにもかかわらず結局落ち着き払っている姿なんて特に。そして神原。一番わかりやすいと思った少年。かれの「欲」の部分はね、やっぱり理解できてしまうんだなあ。
    少年院のくだりは「ショーシャンクの空」を思い出してしまった。だからこそ、あんなふうに話が進むのかな、と思っていたら・・・。うん、厳しい。

    読み出した当初、子供たちが病院の手違いか何かの陰謀で入れ替わってしまう話だと思っていたのだけれど。むー、貫井さんだわ。

  • [2012.10.25]

  • 下巻は院を出た後に再び3人の少年が出会い犯罪に再び手を染める。上巻に比べるとエンターテイメント性がありテンポ良く進む。神原の印象がガラリと変わって行くのが興味深い。弱くて狡くて卑怯で。ムカつくんだけど、いちばん心に刺さる。先生の父親の話がいまいち心に響かないのは主人公に感情移入させられたからか。彼の最後に安心して少しホッとした。上巻で先の見えない重苦しさにどっぷり浸り、下巻でその気持ちもそれぞれの道に分散され、思ってたより後味は悪くなかった。でも上巻に力強い熱があっただけに、銀行強盗のとこや瀬田の印象が少し軽かったのが物足りなく感じた。

  • 少年犯罪の加害者側からの話。

    三人の主人公を取り巻く環境、犯罪、少年院、その後の生活・・・
    骨組みがしっかりしている。

    特に興味を持ったのが主人公が抱える”瘴気”
    (主人公の一人が瘴気と名付けた黒い感情)
    瘴気とは何か、どこから来るのか、それに打ち克つには?
    つい答えを求めてしまった。
    教えてほしい。私が抱える瘴気もどうすればいいんだろう。

    主人公たちの転がるように転落していく様はリアルで、
    一回垣根を越えてしまった後の世界を教えてくれる。

  • とにかく上下とも合わせて重くて長かった~。
    なんとか読み切ったよ。
    なんとも救いのない感じがあるが当たり前かもしれない。
    未成年とはいえ殺人を犯した人間が
    まっとうな暮らしをしていくのはかなり難しいっていうのが
    ひしひしと伝わってくる。

  • 上下巻を読み終わっての感想です。

    「乱反射」・「慟哭」と読んでの3冊目の著者の作品。読後の遣り切れなさは共通しています。

    上巻、主人公3人のそれぞれの物語は、それだけで1作品にしても良かったんじゃないかと思えるほど作りこまれているように思えました。全くの平凡な自分から見て、3人の辛い境遇やその運命には共感できるはずがないのに、それぞれに感情移入してしまいました。
    ちゃんと伏線の回収などもあり、畳み掛けるような後半への展開は小説としても面白かったです。

  • ラストのオチもいい!
    やっぱり小説ってラストも重要なのだ

  • 久々に長い話しをいっき読み。
    中学生男子の衝動というか、熱気、狂気を感じつつ、どこかで3人とも正気で、その正義はまちがっていないのでは?と感情移入させられる文章に完敗。
    面白かった!

全87件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

貫井徳郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×