- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093862592
作品紹介・あらすじ
神の手を持つ医者はいなくても、この病院では奇蹟が起きる。夏目漱石を敬愛し、ハルさんを愛する青年は、信州にある「24時間、365日対応」の病院で、今日も勤務中。読んだ人すべての心を温かくする、新たなベストセラー。第十回小学館文庫小説賞受賞。
感想・レビュー・書評
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【再読】
夏川草介さんのデビュー作です。胸にジーンときます。
神様のカルテシリーズの1作目
2013.01発行。大活字版。
信州松本平の中ほどに位置する地域の基幹病院の本庄病院に勤務する5年目の青年内科医栗原一止(いちと)の奮闘物語です。
読み終って、一止医師に看取られて亡くなった安曇さんは、本当に幸せだったなと思いました。
本庄病院は、医師の守備範囲を超える患者数を抱え、寝る間を削って働き続ける医師と看護師の奮闘ぶりに頭が下がります。そんな中で信濃大学病院から見放された、余命いくばくもない安曇さんが一止医師の元に帰って来ます。受け入れた一止医師は、安曇さんに寄り添い、励まし、生きる希望を分かち合います。
亡くなった安曇さんの帽子から手紙が出て来て、読んで行くと涙が止まりません(涙)
【読後】
一止の細君ハルがいいですね。
私は、こういう芯が強くて、やさしい女性が大好きです(笑)
【登録】
大活字文化普及協会の「誰でも文庫5神様のカルテ」①、➁を音読で読みました。登録は、定本が「小学館 神様のカルテ」です。このため「小学館 神様のカルテ」で行います。
2021.02.18音読で読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
4.5
面白かった。
お医者の話です。重い話かなと思って警戒してましたが、予想に反して暖かい話でした。
辛い場面もありますが、書き方が良いのか、優しく心に沁みてきます。
シリーズなので、次も読みたいと思います。 -
人気シリーズなので
手に取ってみました
正直栗原医師の話し方が合わず
終始その調子で進んでいくので
不安はありましたが、どうにか読了できました
終盤には話し方にも慣れてきて
登場人物にも少し愛着が湧いてきましたが
帯にあるような
押し寄せる感動まではありませんでした
安曇さんの人柄の良さが
この作品の良さくらいの感じです。
続編もちょっと読んでみて
面白いか探ってみようと思います -
同僚に、「○○さんに、どうしても読んで欲しい。」と押しつけられました。
ドラマ?映画?にもなっていた「神様のカルテ」です。
医療に関する話と言う程度にしか、知りませんでした。
迂闊にも通勤で読んで、涙腺が緩みっぱなし。こぼれなくて良かった。
いきなり、夏目漱石風の語り口調で始まり、小難しくこねまわす表現が何だか面白かったのですが、物語が進むにつれ、その口調に合わせるような一止の性格が相まって、惹きこまれました。
医師不足。地域医療。最新医療と看取る医療。
自信が医師であるが故のリアルさと、時代設定を間違ったような言葉使いの“強さ”。
本当に面白かった。
そして、驚く事に「神様のカルテ」は夏川さんのデビュー作らしい。すごいですね。
神様のカルテは、現在3巻まで。
文庫にもなったし、これは自分の手元に残したい物語です。-
>迂闊にも通勤で読んで、涙腺が緩みっぱなし。こぼれなくて良かった。
オヤジの涙、清くて、よいかもしれないが、
通勤電車には似合わない...>迂闊にも通勤で読んで、涙腺が緩みっぱなし。こぼれなくて良かった。
オヤジの涙、清くて、よいかもしれないが、
通勤電車には似合わないかも?2014/01/09
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夏目漱石を愛する医者、栗原一止。
大学病院の医局制度から背を向け、信州の本庄病院で激務に明け暮れる。。。
変人扱いの医者だけど、いつも患者のことを真剣に考えているイチ。
「いちいちの死に涙を流してなどおられぬのだ」と自分に言い聞かせながら、
「私は悲しむのが苦手だ・・・・・・。」と辛い気持ちを見つめながら、それでもやっぱりまた生死に立ち向かう。
カメラマンのイチの細君は重い機材を背中に世界の山を飛び回る。
でも気持ちはふんわりといつもそばにいて、イチの気持ちとともに暮らしている。
そしてイチ夫妻が住むオンボロアパート御嶽荘の住人、男爵と学士。
イチの朋友の外科医次郎、そして看護師の東西さん、と水無さん、
イチの大先輩医師である古狐と大狸・・・。
命と医療。
人間の関係について考えさせられる物語です。
病気ってなにかな。治すのは医者じゃなくて本人の力だもの。
最先端医療も大切だけど、人間同士の関係が一番の力になります。
たとえ最後を迎える運命だとしても、どう生きたかを診てくれるお医者さんは素敵ですね。 -
「スピノザの診察室」の流れで、順序が逆でしかも遅ればせながら夏川草介さんのデビュー作に辿り着いた
スタンスは同じ
医師不足の現状や地方医療のあり方、延命治療の是非など問題提起も
大学病院の医局と地域医療を支える地方の病院
5,6人の医師が1チームを構成し、患者5,6人を担当し、症例を議論し、治療方針を検討、最新式の医療機器で治療していく大学病院に対して、1人で40人もの患者を診察する地方の病院
どちらも大切ですがどちらも必要
個性豊かな病院スタッフ東西さんや水無さん、大狸先生に古狐先生
御嶽荘の面々、チャーミングで栗原一止先生の一番の理解者である妻の榛名さん
彼らは、ともすれば胸が痛く、緊張を強いられ、病に侵されているような気になってしまう類の小説でありながら、心地よい風を感じさせてくれる小窓的存在だった
「ただでさえ医者が足りねえご時世だ。それがこぞって最先端医療に打ち込んだら、誰が下町の年寄りたちを看取るんだ?俺たちはそれをやっている。残念ながらひたすら死にいく年寄りたちを看取る仕事が好きな奴は少ないから、こういう病院は慢性的医者不足で、見てのとおり多忙を極める」
「しかし、栗ちゃんは、意外と嫌いじゃないだろ、こういう医療」
大狸先生に見事言い当てられる一止先生
夏目漱石かぶれの変人だが、とにかく優しく人間が好きなのだ
大学病院から見放され途方に暮れていた安曇さんの最期を看取った一止先生
安曇さんの感謝の手紙に、一止先生同様、涙が止まらなかった
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医療系の小説は好きでよく読むが、この作品も現代の医者の過酷な労働条件を分かりやすく伝えている。色々な人がこの手の話を書くからには、やはり現場の状況は並々ならぬ状態なのだろう。
そういう幾百の作品と本作が違うのは、まず主人公が腕はいいが冷血な名医でもなく、駆け出しの研修医でもなく、夏目漱石が好きな変人だということ。最初はとっつき難いが読むうちにそれも慣れた。
この作品が最も素晴らしいのは登場人物の交流だろう。患者とのエピソードも泣かせるが、御嶽荘の廊下の一面の桜は是非見てみたいとと思った。 -
病院が舞台の本は苦手なのだが、これはスラスラ読めたし、気持ち良く読めた。
読み終わったあとに心が温かくなるお話。
田舎の小さな病院に勤める一止がいろんな患者さんに寄り添ってあげて〜といったような話。
一止の古風な喋り方や、奥さんのハルの無邪気な性格、一止を取り囲む友人など登場人物みんなが可愛らしく愛される要素を持っていてほんわかする作品。
一止と発する言葉がとても素敵でぐっと来た。
前に前に、高く高く進むことも大事かもしれないけど、今いる場所で努力することも大事なことだと気づかせてくれる本 -
登場人物の奥様のハルさん始め、患者さん、お友達や同僚の方々 皆さんの関わりが良くって、ほんわかと心温まるストーリーでした。
安曇さんのお婆ちゃんのお人柄も手に取るようにわかり、先生に宛てられたお手紙にも涙させられました。
24時間体制の激務の中、患者さんに寄り添われるお姿。何より主人公のようなDrに巡り会いたく思いました。
映画は、見られませんでしたが、wowowで楽しみたく思います!