くちびるに歌を

著者 :
  • 小学館
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感想 : 666
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863179

感想・レビュー・書評

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  • 辻村深月の『島はぼくらと』と表紙が似てる。どちらも島に暮らす少年少女を描いているが、どっちがいいかと言えば、こっち。
    著者が福岡出身だけあって、方言が自然でよい。
    辻村深月は地方を舞台にすることが多いのに、方言は使わない。もちろん意図あってのことだろうけど、島の暮らしを考えると標準語喋ってるのって不自然。
    『島はぼくらと』はいけてる子ばっかりで、自分がいけてると思ってるきらきらした子は面白いだろうけど、どう見てもダメ、という自覚がある子には遠い話って感じ。
    こちらはぼっちエリートの桑原君が、非常にいい。
    彼の自閉症の兄の描き方もよい。
    『島はぼくらと』と違って、あくまでスクールライフ(合唱部)を中心に描かれているのも読みやすいと思う。長さも適当だし。
    まあ登場人物が中学生か高校生かで違ってくることはもちろんあるだろうけど。
    上手いのは乙一だな、と私の中では決まった。
    子どもにもこっちの方をすすめたい。

  • 『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』が課題曲になった年のNコン=NHK学校音楽音クールを軸に五島列島の中学校の少年少女と臨時教員の1年を描いた物語。
    部活に亀裂が生じて危機に陥り、確変によって一致団結してコンクールに挑む定番通りの物語だけに筆者の腕による事になる。
    著書の中では自由曲の題名は明かされることはないが、やはり「唇に歌を」なんだろうなぁ。
    物語の落とし所があまりにも上手い。

  • おもしろかった~~泣いてしまった

    やっぱり作者って大事だなー
    好きな作者だと読む前も読んでる間もテンションがちょっとちがう

    合唱は実際そんなにすきでもないけど、(小学生や中学生や高校生のはすき。自分で歌うのもすき)
    音楽もの、というくくりでも
    とっってもよかった

    乙一だし音楽ものだし青春だし
    とってもよかった。

    男ぎらいの女の子と、
    自閉症の兄を持ちぼっちライフを送る男の子の
    2人の視点で描かれる合唱部
    顧問の先生の妊娠出産や、代わりの美人の先生などもからんでおもしろい~~~~

  • 40年ほど前の吹奏楽部の夏がよみがえった。
    こんなにもドラマティックでもなく、感動的でもなかったけれど、もしかしたらあの平凡な中にも何かしらのドラマはあったのかもしれないし、この少年少女たちのようにひたむきなら作れたのかもしれない。
    純粋さ、毒気のなさ、離島が育む素朴な環境の中でこそ成せるドラマなのかもしれない。感服した。
    ボブマーリーの「ワンラブ」好きで時々ギターを持って歌ってるけど、和訳をじっくり読みなおそうと思った。

  • 五島列島にある中学を舞台にNHK合唱コンクールに出場するまでの中学生、先生等の姿を描いている。
    私の子どもたちも一人は高校から、もう一人は大学からコーラス部であったことで、コーラス部の概要もだいたい理解し、また中学生高校生にとってこのNコンというのは重要なコンクールであることは知っていた。
    青春の真只中にあってひとつの目標に向かって突き進む姿は大人になってしまっては、しがらみ、打算等がからんできて出来ないことだ。ゆえにこの小説は純粋は10代の姿と登場人物たちの成長を描き、とても清々しい。青春のきらきらしたエネルギーを感じさせる爽やかさを感じられる作品だ。

  • よかった。涙が止まらない。青春、素朴さがいいよね~「くちびるに歌を持て、勇気を失うな。心に太陽を持て、そうすりゃ、なんだって吹っ飛んでしまう。」新垣結衣主演の映画も期待したい。

  • やっぱり彼の作品が好き。
    心にじんわり広がってって、読み終わったとき心地よい余韻が残る。

    それぞれの目線で話が進んでいって、いろんな心情を感じながら読み進められるのが面白い。

    こんな仲間達と、こんな学生生活送りたかったなって、ふと自分の学生の頃と照らし合わせながら感じた。

  • 王道の青春小説ですね。身体を楽器にして一つの生き物とする、という感覚が分かるかどうかでまた印象も変わってきそうです。合唱以上に、障害が大きなテーマになっていて、サトルの手紙には胸が締め付けられました。しかし、生まれてきたそのことだけで素晴らしいという肯定には首肯せざるを得ませんでした。難点は、途中ちょっと中だるみしたことかな。それ以外はすがすがしい作品でした。ふらつかないで、まっすぐ立つ。単純だけど大切なことですね。

  • 長崎の五島にある中学校の合唱部が、Nコンに向けて悩んだり苦しんだりする物語です。なんと、その時のNコンの課題曲が「手紙~拝啓十五歳の君へ~」なのです!とにかくこの小説は、中学生にとって「めっちゃ分かる!」「うちらもこんなことよくあった!」がいっぱい詰まっています。地味男子の淡い恋もあったりして、まさに「THE 青春」です!音楽が大好きな人も、部活に燃えている人も、高校合格に向けて死ぬ気で勉強している人も、ぜひ読んでください!

  • ある中学校の合唱部をめぐる青春ドラマ。
    心の変化や葛藤がうまく描かれています。
    ちょっとほろ苦い青春がギュッと詰まっていて、読んだ後は懐かしさで満ち溢れます。

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著者プロフィール

1978年福岡県生まれ、2008年『百瀬、こっちを向いて。』でデビュー。他の著書に『吉祥寺の朝日奈くん』『くちびるに歌を』『私は存在が空気』。別名義での作品も多数。

「2017年 『僕は小説が書けない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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