逆説の日本史2 古代怨霊編(小学館文庫): 聖徳太子の称号の謎 (小学館文庫 R い- 1-2)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094020021

感想・レビュー・書評

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  • 同じことが繰り返しかかれていて、とても分かりやすい。

  • ・崇峻天皇暗殺事件を疑われた聖徳太子は天皇位を継げる状態ではなくなってしまった
    ・崇峻天皇は殯なしで即日葬られた。聖徳太子の叔父であり、史上唯一臣下の手によって暗殺された天皇
    ・藤ノ木古墳の被葬者の足下に壊された金冠が入っている
    ・合奏するためには、近親者で身分も近く、同じ境遇(非業の死)を遂げた人物が的確。それは穴穂部皇子ではないか。
    ・顕徳天皇は後に後鳥羽となった。顕徳は一見良さそうだが実は悪い名前だと当時の人々が考えていた。「贈”徳の字”方式鎮魂法」には終止符が打たれた
    ・中国では「徳」は皇帝となるための絶対条件だが、日本は「血統」。日本では「徳」という概念を怨霊鎮魂に使った。日本では怨霊の鎮魂さえうまくいけば世の中は丸く治まる
    ・「天智」とは殷の紂王が最後まで身につけていた宝石の名前。紂王を討ったのは周の武王。天智と天武の関係と対応。
    ・日唐同盟を阻止するために天武は天智を討った。そこで功績を上げたのは栗隈王。「天智は山科に狩りに行って、行方不明になった」の山科は栗隈の地に近い犯行現場。
    ・天武の父は外国人だったのではないか。持統天皇は断絶の危機を回避した。日本において祖母から孫への譲位はただ一度(持統→文武帝)のみ。天孫降臨の神話はそれを表している。オシホミミは草壁皇子ではないか。
    ・藤原鎌足は「六韜」を愛読していた。「六韜」はマキャベリズムの本。
    ・奈良の大仏は創建当時は世界最大の金剛仏だった。長屋王の怨霊の霊力に屈し、建立後わずか30年あまりで、あっさり都を捨てて長岡、平安京に遷した。
    ・古い時代には東大寺の高さは15丈であり、出雲大社は16丈であった。という記述がある。大仏が大国主に1丈だけ遠慮したという見方

  • 正直言って、その分量が多く、一度読んだだけでは理解しきれていないし、すでに忘れてしまっている部分もある。もちろん、歴代の天皇の順番や年表なども、ほとんど頭に入っていない。
    それでも、「すごい」と感じる。その理由は、「日本の歴史が、学問というしがらみを抜けて、水を得た魚のように、自由に泳ぎ回っている時間の景色」にある。

    内容としては、飛鳥時代の聖徳太子から、奈良時代の天智天皇、天武天皇が中心。

    厩戸皇子がなぜ「聖徳」太子という称号を受けたのか?
    聖徳太子は戦う皇子だった。
    ノイローゼの聖徳太子。
    天智天皇の暗殺。
    武闘派天武天皇の謀反。
    奈良の大仏は仏教信仰の賜ではない。
    などなど、ワクワクしっぱなしである。

    悔やまれるのは、自分にもう少し、歴史の基本知識があれば、もっとおもしろかっただろうに、と思うこと。
    いずれ、もう一度読むことになるだろう。

    それにしても、怨霊・言霊という切り口はおもしろい。

    本書を読んでいて、頭の中に情景として無意識に浮かんだのは、「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」であったのも、またおもしろかった。

  • 2011年の1冊目。
    正月ダラダラしていたため、なかなか進まず…。

    まだ2巻だけど、1巻同様、歴史に詳しいともっと面白いだろうなと思う。定説を知らないので、否定できない。
    でも、出てくる歴史や場所を調べたり、巡ってみたくなる。

  • 怨霊、言霊、穢れから日本史を見据える《赤松正雄の読書録ブログ》

     日本史をおさらいするうえで比類なき面白本をようやく見つけた。歴史の書というよりも歴史推理小説といった方がいいかもしれない。かねてからの「歴史通」や、今はやりの「歴女」には、何を今更と言われよう。このシリーズが世に出てもう10有余年も経っているのだから。しかし、恥ずかしながらその存在を私は知らなかった。井沢元彦『逆説の日本史』1~12である。未読の方は、まず文庫の第一巻を購入されることをおすすめしたい。

     日本史を追う井沢さんのキーワードは、怨霊、言霊、穢れの三つ。彼はことごとくをこれで抑えていく。見事なまでに。彼にかかれば歴史学者は形無し。木っ端微塵にやっつけている。宗教の本来的な役割を知らずに、文献至上主義に陥ってることの弊害を事細かにまた繰り返し飽きもせずに説く。読んでる端から忘れがちな私のようなものには、まことにこれは助かる。しかし、この手法ではさぞかし正統な歴史学者や同業他者から嫌われよう。であるがゆえに、あまり世の中に評価されていないように思われるのは、著者ならずとも口惜しい。

     近眼の人が寝ぼけ眼に顔を洗ってメガネをかけた時のように、ぼんやりしていた歴史絵巻が忽然と姿を現すのは嬉しい限り。というのは少々ほめすぎかも。だが、古代から中世にかけての日本人たちにとっての、様々なる神社仏閣の存在や「和歌」の持つ意味が判明するのは大きな収穫であった。軍事について現代日本人がとかく敬遠しがちなのは、何も戦後に始まったことではなく、古代からの歴史に根ざした伝統であることを知ったことも大きい。

  • 聖徳太子は本当に徳高き人であったのかというのを,代々”徳”の付く天皇の死と対比しながら読み解いて行く。すると,徳という諡が与えられるのは,みな不遇な死を遂げた天皇ばかりであることに気付く。徳という諡を付けて,怨霊を鎮魂しようとしたのである。
    次に,天智天皇の死について,天武天皇のクーデターにより天智は暗殺されたと,文献での記述の不可解さや墓の場所,当時の朝鮮とのかかわりなどを元に,現代の認識と逆説的に解き明かしていく。

  • 聖徳太子以降、徳の字がおくられた天皇は不幸な死に方をしていることに注目し、聖徳太子がなぜ聖徳という字がおくられたのかを解明している。
    また、奈良の大仏の意味を解説したところも納得させられたところが多い。

  • 話があちこち飛ぶところなど、まあ連載をまとめた本だから仕方ないのか、読みにくいところやくどいところがある。

    しかし、内容は興味深いものであった。

    聖徳太子、天智天皇、天武天皇、持統天皇、聖武天皇、平城京、大仏の謎がわかる。

    怨霊信仰の国。日本。
    教科書には載らないことがたくさん。

    2008年04月26日読了。

  • 3月10日読。                                     日本史が勉強したくなります。

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著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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