- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094072471
作品紹介・あらすじ
この食堂のお節介は温かくておいしい! 映像業界を離れた春日井楓子が、祖母から駄菓子屋かすがいを引き継ぎ、その店の奥で子ども食堂を始めて約2年が経った。事情を抱える子どもを対象に、1回200円で週に2回。買い物も調理も一緒に行い、みんなで食卓を囲む一風変わった子ども食堂だ。ある日、なじみの商店街の店員から、毎日家の料理を作っているという少女の話を聞いた。「感心な子」だと言う。ヤングケアラーを疑った楓子が本人に尋ねると、怪我を負った母親の世話と家の家事を一人でしていると答えた。楓子は子ども食堂に来ないかと誘うが、けんもほろろに断られてしまう。〈第一話 少女とつなぎとハンバーグ〉料理系の人気ユーチューバー・ナツミが見せた本音とは。〈第二話 はじけるにんじんしりしり〉かすがい食堂の食卓に安楽椅子探偵が現れる!?〈第三話 食卓推理「黄泉がえる母親」〉自分を犠牲にして家事に専念する女子高生・三千香とその弟・璃久に、お節介気質の楓子の思いは届くのか。〈第四話 夢のゆくさき、絆のかたち〉社会を繋ぐ下町の子ども食堂物語、人気シリーズ最新刊。 【編集担当からのおすすめ情報】 発売直後に「王様のブランチ」ブックコーナーで取り上げられ、忽ち大重版となった「かすがい食堂」シリーズの第3作。いじめや貧困など子どもをめぐる問題を扱った第1作、多様性(ダイバーシティ)と差別に切り込んだ第2作に続き、第3作は「ヤングケアラー」の少女を描きます。解説は、作家の深沢潮さん。シリーズを通して著者が伝えようとするメッセージに深い共感を寄せています。
感想・レビュー・書評
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シリーズ第3弾。
駄菓子屋の奥で子ども食堂を始めて約二年が経つ。
楓子のおせっかいは、相変わらずと言えばいいのか…。
今回は、高校生の三千香が同じ商店街で買い物をする姿を何度か目にして、「ヤングケアラー」だと確信し、うちの食堂へ来ないか?と誘うのだが…。
しつこく誘われるのにウンザリ気味の彼女は、弟と参加するが、これっきりだと言う。
辛辣な意見を澱みなくズバズバというのに一瞬度肝を抜かれる。
そこまで言うんだ…と。
弟だけが姉の態度を謝って、週に一度参加するかたちになるのもあり…なのか。
今回はこのほかにも子育て関して、考えさせられることが多い。
しつけは、教育は、恐怖や懲罰による支配ではないということ。
暴力は肉体的なものだけじゃなく、威圧したり、叱りつけたり、怒鳴ったり、大きな音を立てたり、罰を与えたり、などの一切合切含めて否定すべきだと。
これは子どもに対してだけじゃなく、大人でもそうである場面もちらっとある。
会社やバイト先で叱る、高圧的に命令する、恥をかかせる、罰則を与えるなどの行為は、反発を招き、憎悪を溜めるばかりで忠誠心も下がる。
叱れば叱るほど相手は見えないところで、手を抜こうと考えるばかりになり、百害しかない。
結局、他人を叱るという行為は、親であれ上司であれ先輩であれ、当人の鬱憤晴らし以外のなにものでもないから不快になる。
叱るのは相手のためだ、という間違った正当化を信じているからよけいに厄介でもある。
鬱憤の連鎖は何ひとついいことなどないのだと。
自分も今までの子育てを振り返っては、反省すべきことばかりであったと思い知らされた。
この「子ども食堂」は、内面のちょっと深いところまで入ってきたなぁ…と感じた。
ただ、食堂のメニューはそれほど難易度が高いわけでもなく、子どもたちもいっしょに作れるものなので、無理をしていないところが続いている秘訣なのかも。
今回は、冷凍フェスのくだりがあったのにはちょっと驚いたが、便利なものは活用していけばいいと思う。
みんなでわいわいと意見言い合うのもありだと…。
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シリーズ3作目。
今回はヤングケアラーの姉弟の話をベースに、子どもとの接し方(しつけ、教育方)について書かれていた。
叱る、高圧的に命令する、恥をかかせる、罰則を与える、等。
ここに掲げた接し方をしているとどうなるのか。
子供相手の仕事をしていると、その保護者との関わりもあります。
自分の子供に対して、平気で酷い言葉を使う人もいます。側にいるこちらが恐ろしく感じるくらいの事もあります。
そういう言葉を受け取った子供は、これ以上傷つかないようになのか?自分をかばって、嘘をつくことがあります。
そういう場面に出くわすと、少し悲しく辛くなります。
今作も考えさせられるテーマでした。
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ちょっと緊張する内容。
生徒に暴力的になったことはないけれど、
やはり言い方一つで相手の反応も変わる。
今までの生徒にきちんと対応できてたかしら。
正直、ここに書いてあることは理想。
でも、理想を追うのは大事。
こっちにその気はなくとも、
相手がどう受け止めたかが問題だから。 -
首突っ込みすぎと思ってたら案の定。ハンバーグのつなぎの話が面白かった。