全証言東芝クレーマー事件―「謝罪させた男」「企業側」 (小学館文庫 Y ま- 2-3)
- 小学館 (1999年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094161939
作品紹介・あらすじ
「怖かった…」大企業・東芝に対して、抗議のホームページを開設。ついには副社長に謝罪させた男は、その後、悪質な「クレーマー」だと逆に攻撃されることとなった。彼のホームページのアクセス数は1000万件を超える。まさに渦中の人となった彼だが、そのときの気持ちを冒頭のように表現する。個人vs大企業の間にいったい何があったのか?その証言にはいまだに食い違う部分が多い。インターネットという新しい情報伝達手段が生んだ事件の真相を、双方の言い分から探っていく。
感想・レビュー・書評
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「クレーマー」という言葉が定着したのはこの事件がきっかけか。当事者双方への取材を行って、かなり客観的に書かれてはいるが結局は双方の言い分は平行線のまま。話が拗れた原因もお互い様のような気がするな。
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正直なところ、両者の主張が食い違い過ぎてよく分からなかった。
ただ、本書を読んだ限りでは、テクニカルな面については東芝は十分過ぎるほどきちんと対応していたと思われる。ただ、説明の丁寧さは欠けていた。あくまでも、本書を読む限りにおいてではあるが。
おそらく、ちょっとしたボタンの掛け違いが大騒動にまで発展しまったのだろう。
それと、インターネットの影響力がこの時点で相当高くなった点は無視できない。 -
本事件の注目すべきは、個人が、巨大組織に対抗する手段としてインターネットに投稿して、自身の主張を不特定多数に知らしめた点である。個よりマス(総体としての消費者)を優先視し、東芝は、副社長が謝罪するまでに至った。一方、A氏も大騒ぎになるとは予想していなかったということは意外に感じた。結局、両者の主張は食い違ったままであり、この対抗手段がぶつかり合いを激化させるだけでは不毛なことである、とする著者の主張に共感できる。
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4094161937 254p 2000・1・1 初版1刷
〇 顧客と企業の立場が逆転した節目を感じます。
X 証言の食い違いがあまりにも多く、検証があいまいになってしまっているところが非常に残念。 -
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4094161937
── 前屋 毅《全証言 東芝クレーマー事件 199912‥ 小学館文庫》¥ 520
── 《報復 東芝への苦情電話で暴言を浴びせられた 19990710 週刊ダイヤモンド》
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大変面白かったですこんなことがあったと知らなくてある日 修理の電話をかけたら東芝さんものすごーく丁寧だったのでびっくりしました何年か前にかけたときは言外に あんたの使い方が悪いんだよ ぺっって 聞こえてくるような あしらいだったので。
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AKKY氏の常軌をいした行動と東芝の対応をまとめたいますが、全体的につっこみが足りなすぎて不満が残ります。
追っていくと、AKKY氏が本当にクレーマーで東芝が特別な対応をしたが、最後にはキャズムを埋めることができなくて、確信犯的にインターネット上に公開したことがわかります。
ちょっと東芝に同情しました。 -
ネットで実際に(実際に?)目撃した事件が紙メディアで、要領よく、かつ望みうる限り公正にまとめられているのを見るのは、何となく安心するというかけりがついたというか、自分の中で納得がいってようやく終わった心地がする。当事者にとってはまだ全然そんなことはないだろうけれど。著者の事実関係を解きほぐしていく手腕は買うが、現象を抽象化したり分析的に考察するまでには至っていないようだ。取って付けたようにインターネットの功罪を云々するエピローグはいただけない。巻末の、堀部政男という人の解説はもっといただけない。この事件はインターネットの特質や危険性への警鐘、利用者のモラルのへったくれのというのが本質ではなくて、というかその辺は単なるおまけというか新味のあるスパイスに過ぎなくて、人はいかに自分の立場に依存し、自分の都合のいいほうにいいほうに考え、早のみこみをし、嫌なことは後回しにし、その結果コミュニケーションが阻害されていくかという昔ながらの普遍的なお話ではないのか。つーか、インターネットの功罪を云々するまとめに持っていくなら、著者は、舞台がインターネットに移ってからの周辺の動きなどもう少し詳細を書き込むべきであった。ひょっとしたら事件をリアルタイムでは目撃してないのか?