海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001555

感想・レビュー・書評

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  • 感じたことの羅列・・
     *すっごいおもしろかった。
     *難しい言葉のやり取りはあるけれど、ストーリはわかりやすい。
     *エッチな描写はちょっと苦手。ノルウェーの森よりはソフト。
     *物語の解釈を誰かと討論したくなる。
     *映画ソラリスを思わすシーンがよかった。
     *年齢、年代的に懐かしく感じるアイテムの名前が出てきてノスタルジック。
     *これほど自分の生きる意味を考えさせられたことはなかった。でもまだ分からない。
     *ハルキスト45点(合格ラインは60点)に成長した。
     *死ぬまでにサウンド・オヴ・ミュージックを観ると決めた。
     *絵を見たい。
     *

  • 【感想】
    うーん・・・
    村上春樹ワールド全開というか、結局よくわからない顛末で物語が終わったような気が・・・
    ナカタさんが何者だったのか、なぜあのような特殊能力を持っていたのか、戦争中のあの出来事は一体何だったのか・・・
    謎が多すぎる物語で、自分の理解力が乏しいからか、正直ついていけなかったな。

    総じて、分からない世界観すぎる。
    駄作ではないと思うが、少なくとも面白いとは一切思わなかった。


    【引用】
    p174
    フルニエの流麗で気品のあるチェロに耳を傾けながら、星野青年は子どもの頃を思い出した。
    毎日近所の川に行って魚や泥鰌を釣っていた頃のことを。
    あの頃は何も考えなくてよかった。ただそのまんま生きていればよかったんだ。
    生きている限り、俺は何者かだった。自然にそうなっていたんだ。

    でも、いつのまにかそうではなくなってしまった。生きることによって、俺は何者でもなくなってしまった。


    p323
    「よう、おじさん」と青年はナカタさんに声をかけた。
    「こんなことを言うのはなんだけどさ、まあ悪い死に方じゃねえよな」

    ナカタさんは深い眠りの中で、おそらく何を考えることもなく、静かにそのまま死んでいった。
    死に顔も穏やかで、見たところ苦しみもなく、後悔もなく、迷いもなさそうだ。
    ナカタさんの人生がいったい何だったのか、そこにどんな意味があったのか、それは分からない。
    でもそんなことを言い出せば、誰の人生にだってそんなにはっきりとした意味があるわけじゃないだろう。
    人間にとってほんとうに大事なのは、ほんとうに重みを持つのは、きっと死に方のほうなんだな、と青年は考えた。
    死に方に比べたら、生き方なんてたいしたことじゃないのかもしれない。
    とはいえやはり、人の死に方を決めるのは人の生き方であるはずだ。

    ナカタさんの死に顔を見ながら、青年はそんなことを考えるともなく考えた。

    • toratora1025さん
      ナカタさんが何者だったのか、なぜあのような特殊能力をもっていたのか、戦争中のあの出来事は一体何だったのかは同感です。
      ぜんたいとしてはワール...
      ナカタさんが何者だったのか、なぜあのような特殊能力をもっていたのか、戦争中のあの出来事は一体何だったのかは同感です。
      ぜんたいとしてはワールドらしく複数の流れが平行して展開されていて面白かったです。
      2021/03/05
  • この本もお借りして読んだもの。
    村上春樹初体験!

    読了後の感想:う~ん、やっぱり難しい小説だった(汗)。

    まずは、ジャンルがわからない。
    SF? ファンタジー? 恋愛? 
    なんかこれらが複雑にからみあっている感じ。

    あと、猫と話せるナカタさんの存在がわからない。
    こどものころに急に意識を無くしてから、読み書きができなくなったナカタさん。
    別世界への入口を開けられたり、亡くなってから、不気味な白い物体が身体からでてきたり・・・。

    存在といえば、ほんのちょっとしか出てこないさくらさんのこともわからない。
    そもそも登場させなくても、話の進行に影響しないのではないか?

    一番わからないのは、主人公と佐伯さんの関係性。未だに理解ができていない。
    絵の中で描かれているのは主人公ということだが、それであれば主人公は以前に時空を越えていたのか? などなど・・・。

    タイムスリップものは大好きなので、最後まで読み進められたが、この作品は本当にわかりずらい・・・。

    最後の終わり方も、自分にはスッキリしないし・・・。

    でも、こういうのがノーベル文学賞をとるかもしれない村上春樹作品なんだとはじめてわかったことが収穫だった。

    あと、自分は、単純明快でリアリティがあって、感動できる小説のほうが好きなんだなあとも再認識できた事も良かった!

  • 主人公の少年の物語として読めば、典型的な教養小説(少年が旅に出て様々な体験・出会いによって社会を知っていく)と読める
    家族の愛に恵まれず、家出した少年が性を知り、母の不在に向き合う
    そして異常に面倒みのよい兄弟がちょっと説教臭いが核心をついた助言で少年を導く
    p348「いいかい、戦いを終わらせるための戦いとういようなものはどこにもないんだよ」
    p511「死と二人っきりで向かいあって、知りあって、それを乗り越えていくんだ」
    p519「僕らはみんな、いろいろな大事なものをうしないつづける・・大事な機会や可能性や、取り返しのつかない感情。それが生きることのひとつの意味だ」

    それと相似する形で異常に面倒見のいい青年が純朴な老人と旅しながら、人生に対する真摯な姿勢を学んでいく

    以上の二つのメインストーリーに煉獄とも桃源郷ともいえるような、異界をめぐる物語が入り込む
    それは実世界では決して会えない人と会える世界であり、メタファーの世界であり、深層心理の世界のようでもある
    p142「でもメタファーをとおせばその距離はずっと短くなります」
    p234「いろいろなことは君のせいじゃない・・予言のせいでもない・・世界の仕組みそのものが滅びと喪失の上になりたっているからだ。僕らの存在はその原理の影絵のようなものに過ぎない。風は吹く。」
    p271「僕らの住んでいる世界には、いつもとなり合わせに別の世界があり・・・迷宮のかたちの基本は腸なんだ。つまり迷宮というものの原理は君自身の内側にある。」

    そして少年は東京という現実に帰りつつも、精神世界を感じられるようになる
    p528「風の音を聞くんだ」

  • 8年前に読んだ時は読みやすさの反面、何を伝えたいのか掴めず一読して終わった。改めて読んでみると村上春樹のテンポよく読める作風と解釈の余地が多分にある内容、そして歳を重ねるにつれて登場人物の描写から感じるものが増えていくように感じた。少なくとも8年前の若い頃に読んだ時より、特にナカタさんの自身の障害を克服することを願いつつ最期を迎え、星野さんがそれを看取ったシーンは胸を打った。数年後読むとまた違った見方ができるのだろうか。

  • またもやよくわからないが、読み終わった。
    なんで、惹かれるのかわからない。
    が、最後まで読み終わった。

  • 下巻は難しかった。
    それでも惹きつけられる不思議さ。

    カフカ少年、佐伯さん、ナカタさんにまつわるあっちの世界とこっちの世界の境目。そこを意識した者の数奇な運命。

    カフカ少年は葛藤や呪縛から解放されたくて自らの中へ中へと突き進む。そしてその入口へ辿り着くがこれから進むべき目的とこれまでの意味を知り開放された。

    観念的なお話とすべてが収斂されていく過程がメタファーなのかな。

  • 全然違うように思えていた話が、終盤になるにつれて1つにまとまっていくのがとても綺麗に感じた。

    いくつもの出来事が回収されずに終わったのはモヤモヤする。それも含めてまだ自分にこの作品は全然理解できていないと思うが、今自分が抱いている感情もこの小説から引用すると、他人だけでなく自分に対して、ことばでは正しく伝えられないものなのだから、全く説明しないのがいちばんいいのだろうと思う。

    この作品は純文学だと思う。いつかまた読み返そう。

  • 個人的には羊三部作が村上春樹だと好きなんだな〜と再認識。

  • 初めての村上春樹作品。不思議な世界観に戸惑いながらも、なぜかハマってしまい下巻は一気に読んだ。だが、感想は上手く表現できない。
    エンターテインメント小説に慣れきっているせいか、過去の出来事の伏線回収がない点にはモヤモヤが残る。ナカタさんが過去の記憶と識字力を失う原因となった集団昏睡事件とはなんだったのか?その時に女性教師に起こった出来事は何を意味するのか?ナカタさんやホシノさんの「猫と会話する能力」が象徴するものは?カーネル・サンダーズは何者か?
    何回か読んで考察を深めたいと思う。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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