卍(まんじ) (新潮文庫)

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感想 : 301
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101005089

感想・レビュー・書評

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  • 同性愛をテーマにした小説を選んでレポートを書くという課題で読んだ本
    レポートを書くのに必死で内容をあまり覚えてないのでもう一度読みたい

    • hagecchi55さん
      もっとホモホモした小説なんで選ばなかったのさ!
      もっとホモホモした小説なんで選ばなかったのさ!
      2012/12/04
    • やよいさん
      ユリユリという新たな世界が開けると思って…
      ユリユリという新たな世界が開けると思って…
      2012/12/06
  • いやはや恐ろしい女よ光子は。これはこれは全員光子の沼にハマっていく様子が面白かったわぁ
    4人全員の絡み合いを描いた作品の題名が卍って谷崎潤一郎のセンスの良さひかりすぎている。最後にかけて本当にページを捲る手がとまらなくなった。そんで持って夫まで死ぬんかい!!で園子は生き残るかい!!驚愕のラストでした。夫が園子といた時は恋愛を分からなかったけど光子としてからは恋をしたことに気づくのが好き。これの実写化はハードル高そう〜

  • 読んでいて、光子と園子のやり取りや、園子自身の感情の起伏がすごくリアルで怖かった。
    最後、自分は騙され二人だけ死んで行ったのだと思って、どうにも出来ず園子は項垂れていたけど、実際光子の中で、夫や綿貫は同じ枠だとしても、園子は別の枠にいたから特別だったんじゃないかなと思う。
    同性に崇拝されている時が一番気持ちいい光子なら、園子が二人に騙されて、取り残されたんだと思いこんでもなお、自分に会うために死のうとするような園子の崇拝(愛?)を望んでるんじゃないかな
    光子は園子が光子の事だけを考えて苦悩し、選択する瞬間を地獄からじいっと見てるのかなとか
    一組の百合に振り回された男たちの話です面白かったです♡
    あとずっと会話文で改行がなかったから読んでてめちゃ疲れた、そこだけ注意です。

    綿貫が自分の無精子症のことを知ってもなお突き放さなかった光子に執着してるのと同様に、光子もまた自分のことを崇拝して光子観音にしてくれちゃう園子に執着したのかなとか思うとおもしろい
    光子の園子に対する執着、よく言えば一途な愛がここまでのラストを起こしたと思うと読後感はスッキリです× ̫ ×

  • 谷崎は美文をものす、という点は疑いない。でも私は多分谷崎の文章に滲み出る図々しさ、いぎたなさが苦手なんだと思う。川端や三島の文章にある自己肯定感が低いがゆえの繊細さが谷崎の文章にはあんまり見当たらないと思いませんか??それが最高潮に達してるのがこの『卍』だと思う。川端も三島も自死しちゃうけど、谷崎は開き直って人妻にストーカーした上に自分のものにして、随分長生きしたじゃありませんか!そういうことです。

    自分を崇拝してくれる人が複数人いないとだめな光子は弱い人なのだ。かわいそうに。

  • 知人と「パートナーがその同性と浮気したらどうする」という話になった。「なんか、敵わないよね」という結論に至った気がする。本書はそんな昔話を思い起こさせる。
    ただ、設定としての同性愛や中村光夫が解説で使う「変態性欲」というキツめの言葉、触れ込みの「淫靡で濃密な愛憎」を真に受けると谷崎は誤読すると思う。
    見えてくるのは周囲を誤魔化してでも崇拝される者たろうとするエゴに満ちた悪魔的人間と、跪かざるを得ない凡夫たちだ。悪魔はそのまま谷崎的な女性崇拝につながるのだろう。
    物語はその関係性を構築するため緻密に稼働する。まるで悪魔に奉仕するかのように。

  • 関西を舞台にしている作品で、物語の中のやり取りも大阪弁で交わされており親近感が湧く。女のバトルはいつになっても恐ろしいものだ。

  • ひと昔前の昼ドラを思わせる、衝撃の展開。
    四人の感情が複雑に絡まりあっていく。

    独占したくて、欺く。
    信じるがゆえ、欺かれる。

    光子が本当に愛したのは誰だったのか。

  • 谷崎氏は淫靡な悪女を描くのが本当に巧い。三角関係の話であるが、そこには同性の愛、異性の愛、不倫が複雑怪奇に絡み合う。物語は終始園子の独白という形で進む。話題が往来しながら古風な関西弁を畳み掛ける女性特有の語らい、一字下げを排した独特な構成と文体にも関わらず読み辛さは感じない一方で読者は心地よい錯綜を味わう。

    不謹慎ながら綿貫を本書の園子の姿は「北九州監禁事件」を思い出してしまった。狂気に落ちた綿貫と、光子観音と称し園子とハズを真綿で弱らす描写はなんとも凄まじい。しかしその物語をなんのかんの言って始終抑揚と平静さを以て語る園子が最たる悪魔なのかもしれない。

  • 内田樹先生がブログで無人島に一冊持って行くとしたら「細雪」と書いておられるのを見て、半年前に初めて谷崎の細雪を読んで面白かったので、この卍で2冊目。こんな昔(昭和初期?)に同性愛を描いた小説があったんだっていう単純な驚きと興味。
    超美人の独身光子と柿内夫人園子の関係を中心に、ストーカーのように光子につきまとう性的不能の綿貫、最後は光子と深い関係を持ってしまう園子の夫等が複雑に絡んできて繰り広げられるドロドロの愛憎劇。 嫉妬、疑心暗鬼、狂言、駆け引きの中で皆が狂気に駆られて行く様に背筋が寒くなる一方、なぜ誰もこの泥沼から抜け出そうとせずに、むしろこの状況に耽溺しようとすら見えるのは滑稽な感じもしたのだが、これが美の持つ魔性なのか。 読み終わって、蓮池の淵から地獄の底を眺める仏様の心境。細雪も卍もどちらも金と暇のある有閑階級のお話。

  • 新潮文庫の2018プレミアムカバーの赤い表紙に惹かれ購入。
    学生時代の『刺青』以来の谷崎作品ですが大阪弁での告白体小説という設定のせいで読みづらくてなかなか頭に入って来ず......束縛された状況の中での恋愛の熱情はより過激に爆発する。現代では実現しないお話しだろうなあと読みながら思いました。

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著者プロフィール

1886年7月24日~1965年7月30日。日本の小説家。代表作に『細雪』『痴人の愛』『蓼食う虫』『春琴抄』など。

「2020年 『魔術師  谷崎潤一郎妖美幻想傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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