- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101005140
感想・レビュー・書評
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こういう終わり方なんですね、覚えてない、、、
まぁさておき意図的なものだったらちょっと鳥肌もんですが、ほかの作品とかも見るにどうもそうでもないような気がする。時代に逆らってないんじゃないかな、この作家。無理言うなと言われること必至ですが、だからこそ余計に残念感が募るというか何というか。
まぁそれは横においても特に雪子・妙子の描写がしつこくて若干ええ加減にせい、と突っ込みたくなる。ちょっと時間の感覚が現在とは異なるってことかな? -
上巻、中巻は絵巻物らしい風光明媚さが際立っていたようだったが、下巻は四姉妹それぞれの駄目なところというか、人間らしい至らなさが目につく書きぶりであったと思う。
姉妹の中でもわけてイデア的な存在だった雪子も最終行において、風に散った桜が地面に落ちたような、現実感を示されて物語が終わる。
まさに「物語」という感じ。今は古典とされるものも、当時読む人にはこの作品のような活き活きとした情景や心情のもとで読まれたのだろうなあということに思いを至らせるような。
面白かったです。 -
作家が、戦前~戦中~戦後の時局下で書き続けた、強い反戦の思いがこもった作品、という解説の手引きを受けて読むと、作品が理解しやすいように思われた。
作品の読後感は、耽美的、叙情的な美しい作品かという先入観より、はるかにデモーニッシュであり、一部グロテスクにも感じた。これば主に四女妙子を中心に展開する大洪水や赤痢罹患、男性関係などからの印象だが、進歩的で才能もある彼女が、四姉妹の中でだんだん鬼っ子のように、自己抑制も効かず変化していく様は、台頭していく軍国主義と重ね合わされているのかもしれない。
一方、大洪水の場面の息をのむ迫真の描写もすごいが、三女雪子のお見合いをめぐって、二女幸子が様々な気配りや段取りを考えるところなど、複雑な状況や分析、人物のそれに対する内心、つまり「その間の事情」を仔細に十二分に語りつくし、綿々と続く文章も息をのむように美しい。作家が源氏物語の現代語訳を完成した影響といわれていて興味深い。
さらに、舞台の神戸らしく、外国人家庭との交流も描かれ、大戦に巻き込まれていく世界の状況も描かれる。最後は晴れて縁談がまとまり、上京する雪子だが、下痢が止まらないとは妙子の赤痢などを思いださせ、明るくない将来を暗示しているのではないだろうか。
作家が愛し、描きとどめた古からの上方の風物、そして焼け野原で敗戦を迎える前の東京の文化。
一体戦争に関連して亡くなる人の中に、「なんでこんなことに!?」と思わない人はいるのだろうか?
繁栄を極めたあとの閉塞感、現代は「細雪」の時代に似ているようにも思われ、たいへん心配だ。
原作を読んでから、市川崑監督の同名映画も、映画のもつ時間的制約を逆手にとり、思いきった取捨選択でまとめていることがわかった。作中の一文を巧みに捉えたシーンや、オリジナルで加えられた台詞、場面など。映画は比重として雪子のお見合いをめぐる美しい風物詩がより強く印象に残る。公開から早くも20年以上になるようだが、映画ならではの映像美、音楽、主役どころはもちろん脇まで豪華な俳優陣の名演技をとどめ、もうなかなかこんな映画はとれないのでは、とこちらも記念碑的作品に思われる。 -
上流社会の家庭の日常、事情をつらつらと描いているだけのことである。しかし読むうちにその家族の一員あるいは傍らにいる者になって気にかけずにはいられなくなる。四季折々の花、風景、衣装を思い浮かべながら読み進む。なるほど絵巻物だ。職業婦人、自由恋愛が当たり前の現代に通づるものがある。
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いやぁ、やきもきさせまくった上に、最後はこうでしたか・・・
一種の反則技のような気もしますが、
「これでいい」とか「これがいい」とか「これだからいいのだ」とか思ってる人も多いんでしょうか・・・
上中下で、すごいページを読んだと思うのですが、飽きもせず楽しめたのは事実です。 -
雪子の縁談がようやくまとまるが、妙子はバーテンダーとの間に子どもを授かる。そのことで
啓坊を諦めさせてできちゃった婚に仕向けようと画策するが、死産に終わる。
雪子はようやく結納や結婚へと着々と事が進むが下痢にかかって終わるという。なんという終わり方や笑。 -
最後の最後、下痢だなんて。
谷崎さん、いいなぁ。
嫌いじゃない。