- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101010106
感想・レビュー・書評
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漱石のはじめての新聞連載小説。各章の始めの雅文がいい雰囲気を出してる。ここだけ声に出して読みたい!
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なぜだか漱石の作品には自分の好みにクリティカルヒットするような登場人物が一人は出てくる。キャラで読むのは浅い読書だとかいうけれど、こんなにキャラがたってちゃしょうがないじゃないか。漱石が悪いんです。
これだと甲野兄。漱石の作品中でも多分一番ツボに嵌りました。この薄幸そうなダルそうな感じが!
そして甲野妹。いきなり文章が神話かおとぎ話に変わったんじゃないかというほどの描写をされていて戸惑った。現実離れした和風クレオパトラ。多分あらゆるファム・ファタールの中でも最も綺羅綺羅しい描写をされているんじゃないかと。最後もファム・ファタールの名に恥じなかったし。徹底しすぎていてやっぱり現実離れ。現実を舞台にしているからやっぱりそぐわない気はしちゃいますがね。
珍しくシェークスピアの要素が入っていたりしてそこも楽しめました。しかし気合の入った文章だったなー、硬い硬い。
そんな硬い文章の内容がこんなに面白いとは思わなかった。漱石作品で夜を徹してしまうとは。今のところ読んだ漱石作品中トップです。 -
漱石の長編で多分唯一読みおわってない。珍しく読みきれない
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素晴らしく面白い。今まで読んだ(5つのみですが)漱石の作品の中では一番面白かった。
さきのレビューでも書いたが、やはりその場にいるかのような風景の描写がすごい。文章も美しく、これは芸術であると言える。
ただ全体的に長く、難しい表現も多いので読み難さはある。しかし読み進めるうちに、面白さは二次曲線のように大きくなっていくだろう。
小夜子は良かったと思う。小野を見て私も反省します・・・。
作中の名言(独断による)を載せておきます。
・一人と一人と戦う時、勝つものは必ず女である。男は必ず負ける。
・真面目と云うのはね、僕に云わせると、つまり実行の二字に帰着するのだ。
・道義の実践は他人にもっとも便宜にして、自己にもっとも不利益である。人々力をここに致すとき、一般の幸福を促がして、社会を真正の文明に導くが故に、悲劇は偉大である。
是非一読をお勧めします。 -
漱石がヒロインの藤尾さん嫌いなのがびしばし伝わってくる。
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すごく独特。これでもかというくらい飾りに飾った荘厳な描写と、中身があるようでない問答の数々。
哲学的と詩、悲劇と喜劇を巡って繰り広げられる静かな闘いが私には心地よかった。
だが結局は喜劇ばかりが流行るのが悲しい現実なのか・・・。 -
なんとも悲しい話
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07.5.23
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09018