にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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本棚登録 : 1774
感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101016016

感想・レビュー・書評

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  • 九州大会で3位に入賞したときの朗読作品。
    これのおかげで、いろんな人に覚えてもらって、「古典の声」なんて言われたりして、印象深い作品。
    現代文ではないので朗読しづらいのだけど、プロが読むのを聞くと、日本語の美しさを理解できる。

  • 「と」の識別とか受験生の時にやったなぁ。まったく覚えてなかった。でもそれを思い出してからはようやっと読めるようになった。

    うまく言えないけどすごく好き。たけくらべのせつなさは現代の小説ではなかなか出せないと思う。今までよんだ近代小説と違って登場人物に好感が持てる感じが良かった。

  • なによりもまず、そのあまりにも美しい文章について触れるべきなのかも。言文一致が生まれて間もない頃の文章であるにも関わらず滑らかに流れていく言葉と、そんな時期だからこそまだ使われていた古文調の言葉遣いで述べられていくその文章は、読めば読む程に魅力が増していく。
    そして、そこに描かれる物語の大半は、世間という荒波に翻弄され、風習という名の運命の荒野に投げ出された男女の報われぬ物語。社会の進歩に対して余りにも早く自我というものに目覚めてしまった、早熟の才故に描くことのできたあまりにも報われぬのに美しき物語。僅か25歳で天寿を全うする、その最後の1年間に書かれた本書には、踏み躙られても尚衰えぬ輝きというものがある。

  • とにかく文章のリズムがいい。声に出して読みたくなるほどだ。
    華魁にならなければならない美登利。恥かしそうにして正太と口を利くことができなくなってしまうところとか、上手いなあと思う。
    美登利は源氏物語の紫の上に重なる。何も知らずに無邪気に遊んでいられた子ども時代は良かったなあという気持ちになった。正太は何にも気づいていないけれど、美登利はきっと一足先に大人になってしまったんだろうと思う。
    大人になるのはすごく悲しいことだ。けれど、誰にでも受け入れなければならない現実がある。そう思うと辛いけれど、やはりそれを受け入れ、生き抜いていくしかないのではないかと思う。
    最後に、水仙の花が格子戸に置かれているシーンが印象的で美しく、どこか救われた気持ちになった。

  • 残念ながら、私の力不足。古文調の文章が理解出来ず、、、。高校生の頃に読んでおけば、また少しは分かったかもしれないと後悔。
    明治期の小説て、今の人が読むのは結構難しい。現代語訳のものが出れば有り難いのだが、そんなことはないだろう。

  • よ、よめない・・・

  • 朗読したほうが読みやすい。言い回しに古めかしさがあるけれど味わい深く、吉原の艶やかさが目に浮かんだ。憎み合うところから始まる恋、思春期らしてむず痒くて
    そわそわ。甘酸っぱい。でも二人が結ばれることなく別々の運命をたどってしまう切なさに胸が苦しくなった。美登里の「大人になんかなりたくない」という気持ちは共感できる。楽しかったことも好きな人を想うことも出来なくなるのなら大人になんてなりたくないよね。僧侶になる信如、遊女になる美登里、決して結ばれないけど惹かれあった二人の淡く悲しい恋模様に心打たれた。

  •  
    ── 樋口 一葉《にごりゑ たけくらべ 1895‥‥ 20030101 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101016011
     
    (20231126)

  • にごりえだけ読んだ。古典が苦手なので現代語訳と照らし合わせて読んだが、あの若さでこの物語を書いた樋口一葉は本当に素晴らしい逸材だと思う。当時の状況もこの本を読むと分かる。最後は心中したんじゃなくて無理心中のような気もする。

  • 君知らずや、人は魚の如し、暗らきに棲(す)み、暗らきに迷ふて、寒むく、食少なく世を送る者なり。北村透谷 雑誌「文学界」1893

    美人の鑑には遠いが、物言う声は細く清(すず)しく、人を見る目は愛嬌に溢れて、身のこなしが活き活きとしているのは快いものである。樋口一葉『たけくらべ』1895

    樋口一葉『にごりえ』1895

    されど人生いくばくもあらず。うれしとおもふ一弾指(短時間)の間に、口張りあけて笑はずば、後にくやしくおもふ日あらむ。森鴎外『舞姫・うたたかの記』

    人は性欲の虎の背に乗って絶望の谷に落ちる。森鴎外『ウィタ・セクスアリス』

    おんなが裸になって私が背中へ呼吸(いき)が通って、微妙な薫(かおり)の花びらに暖(あたたか)に包まれたら、そのまま命が失せてもいい。泉鏡花きょうか『高野聖ひじり』1900

    まだあげたばかりの君の前髪が、リンゴの木の下に見えた時、前髪にさした花櫛の花のように美しい女性だと思った。島崎藤村『若菜集』1897

    与謝野晶子『みだれ髪』1901

    美しき花もその名を知らずして文にも書きがたきはいと口惜し。正岡子規『ホトトギス』1897 俳句

    悟りという事はいかなる場合でも平気で死ねることではなく、平気で生きて居ることである。正岡子規『病牀びょうしょう六尺』1902

    高浜虚子

    ※明治、②ロマン主義。自我・個人。日清戦争前後

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著者プロフィール

1872年、東京に生まれる。本名なつ。92年、20歳で小説『闇桜』を発表。以降、96年に24歳で
亡くなるまで、『大つごもり』『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』などの名作を書いた。

「2016年 『漫画版【文語】たけくらべ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

樋口一葉の作品

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