小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101030050

感想・レビュー・書評

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  • 近代文学の作家、いわゆる文豪に括られる作家の中での好きが増えた。
    初めて読む志賀直哉。
    好きだわ、視線が優しくて。
    アレもコレも包括してて。
    都合良くも都合悪くも全てひっくるめて。
    再読必須。
    優しくなりたい時に。
    そして今度は長編にも挑戦したくなった。
    ついでに顔も好み。

  • 有名な城の崎にて。死がテーマの作品。忙しなく働く蜂の中で放置された死骸。喉に串を刺され川に捨てられた鼠。石を投げたら偶然死んでしまったイモリ。療養中の主人公はこれらを見て生と死について思いを巡らす。他の短編では我孫子や尾道が登場。旅に出たくなった。

  • 「流行感冒」を目当てに手に取る。
    新型コロナウィルス禍で。

  • 久しぶりに本棚から取り出して読んでみると、新たな発見があったりする。高校時代に教科書で読んだ志賀直哉であったが、年齢を経てから何度も読み直してみると、若い頃には見落としていた描写があったりすることに気づく。年代とともに読み方は変わるし、受け取る側のチャンネルが増えている事もあるのだろう。
    これからも名作と呼ばれる作品は時折読んでみたいと思うのであった。

  • 2011 8/15読了。WonderGooで購入。
    最近、西の方に引っ越した先輩が「城崎の近く」と繰り返すので「城崎って『城の崎にて』しか知らないけどそういやそれも読んだこと無い」と思い、そもそも志賀直哉を読んだことがないことにさらに気が付き、買ってみた本。
    白樺派の小説読んだの下手すると初めてではなかろうか。
    小説なのか随筆なのかすらわからないこともある私小説、というのを、友人の同人活動以外ではあまり読んだ覚えがなく、新鮮だった。
    少し行ってみたくなった、城崎。

  • 志賀直哉の作品は初めて。
    森鷗外をずっと読んでいる中で、
    三鷹の墓参りをしたら、その前の墓が太宰治。
    太宰治が批判した志賀直哉、ということで行きつく。

    小説の神様、と形容され、簡潔で独特な文体が美しい、ということだが、そのような実感は得られず。
    ただ、その観点か、読みやすい。
    (鷗外の文章の方が味があると思うが)

    短編なので、一通り読んでも、全てのストーリーが思い出せないのも困る。

    とはいいながらも、個人的に好きな短編はあり、それは以下の通り。
    「赤西蠣太」、「小僧の神様」、「冬の往来」

    夫婦関係を描いた幾つかの短編があるが、ストレートに読むと、時代錯誤。
    深く読むと、自らに正直に、それを自我の解放のように書いている志賀直哉の思いが伝わる。それが一貫していることがわかる。

    何れにしても、志賀直哉の長編も読んでみたい。

  • 情景描写の天才。表現の一つ一つをリアルにイメージすることができる。それでいて、一切の無駄もない。
    著者の死生観を基に描かれる「3つの死と1つの生」或いは「4つの死」。その中で、変動する男の死に対する感覚がこの作品のポイント。
    後養生のために訪れた「城崎温泉」、それがこの話のメインかと思いきや、入湯シーンが一切描かれていないのも、良い意味での裏切りだった。

  • 『城崎にて』は昔、教科書に出ていて読んだが、少しずついろいろな箇所を省略していたことがわかった。
    遠藤周作の『沈黙』も抜粋が載っていて、当時良さがわからなかったが、数年前に全編読んだら心理描写が細かくて、良い作品だと感じた。

    高校生には抜粋したのを読ませるより、じっくり一冊読ませた方がいいのでは?
    合理的にたくさん読ませる教育方針と、最近の若者の倍速映画鑑賞とおんなじだな、とふと思った。

    残念ながら高校生の時にピンとこなかった作品は今回読んでも良い読後感は得られなかった。
    死がテーマだから仕方がないか。

    短い文章で物語を紡いでいく手法は、簡単に物語の世界に入り込ませることができるのだとわかった。
    抜け出すのも早いが。
    その反動で海外の長編作品を読みたくなった。

    『小僧の神様』のほうが好き。

  • 表題の、小僧の神様と城崎にてはさすが小説家らしい、心の動き、自然を素直に捉えて表現している。寂しかった、嫌な感じがした、明るい気分になった、ずいぶん素朴で感情の種類が少ないなと思ったら、10年前に暗夜行路を読んだ時も同じ感想を持っていたらしい笑
    小僧の神様は、再読だけどメタ的なオチは覚えておらず興味深かった。ひらひら揺れる木の葉、静かな蜂の死、もがき苦しむ鼠、あっけないイモリ。
    その他は、不倫(当時は既婚者が商売女や女中に手をつけるのは問題ではなかったと見える)や浮気症の男と妻の押し問答や、妻が悔しい思いをする話で、読んでて微妙な気分(というか古くさくて不快)になった。冒頭になんでこんな短編を持ってきた?と思ったら、どうやら年代順なのね…

  • ◇ 城の崎にて
    死にゆく経過すら不明な不動の蜂と生を体現するように働く蜂
    自殺を知らない動物の、死が決まっているのにそれに至るまでの必死の努力(と、それを笑う人間)
    偶然死ななかった自分と偶然死なせてしまったヤモリ
    生かされていることに喜びを見出せないのは自然なように思える

    風がない中揺れ、風がある中止まる葉の描写が好き

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著者プロフィール

志賀直哉

一八八三(明治一六)- 一九七一(昭和四六)年。学習院高等科卒業、東京帝国大学国文科中退。白樺派を代表する作家。「小説の神様」と称され多くの作家に影響を与えた。四九(昭和二四)年、文化勲章受章。主な作品に『暗夜行路』『城の崎にて』『和解』ほか。

「2021年 『日曜日/蜻蛉 生きものと子どもの小品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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