豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050232

感想・レビュー・書評

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  • 1、2巻で唯一自覚的に輪廻転生を見守ってきた本多が主人公となった1作。1巻で松枝清顕として登場した『生』が、勲を経て、今回はタイのプリンセス ジン・ジャンとなって本多の前に現れる。
    仕事の報酬として大金を手にいれ、余裕ある生活を送るようになった初老の本多の、理性というのか、それまで自身の核であった意思の壁のようなものが崩壊した姿が無惨で、哀れに感じた。露悪趣味と思えてしまうほど、どんなに些細な醜い心のうちや弱さ、慾望まで光を当てて曝け出していて、この作者のように美学が強い人ほど、醜いものにも強く感応してしまうのかなと思った。
    長く挿入されている仏教哲学も内容もあまりに深くて難解で、私はきちんと理解出来ていないと思う…。ただ、読み終わって、何か大きな力(阿頼耶識というものだろうか?)の中にいて無力な人間の儚さを感じた。
    それと、この小説を書き終わった後で割腹自殺をした三島が、何かひどく壮大なことを考えながら執筆していたのだろうことは、ヒシヒシと感じられた。

  • それまで輪廻の歴史の静かで正確な目撃者、記録者として読者を導いてきた本多が、思わぬ乱調をきたします。起・承・転・結の転をみごとに表します。 そうです、今度は三島由紀夫のあの一面、『仮面の告白』『鍵のかかる部屋』『女神』『美徳のよろめき』『音楽』の世界です。この変態チックな世界を、理知的で論理と客観の権化として描いてきた本多の中に見ることになるとは・・・本当に驚くやら、呆れるやら。すごいよ。いろんな意味で。お風呂で一気に読み終えてしまった。う〜ん、「結」に向けて動き出している感じがものすごくします。これはうれしいというよりも、読み終えてしまう寂しさのほうが先立つ感情です。

  • この巻で転生の謎は究極の位置まで来たように思う。それが本多が見たベナレスでの光景。ベナレスの描写とそれに直結する結末では、途轍もない高揚感が襲ってくる。また、この本はある面ではバンコク観光のための異色ガイドにもなる。

  • 本多はすなわち三島自身である。

  • 本多がどんどん変態になっていく…。

  • 2023.12.15読了

  • これのみフェティシズム要素が大変に強い
    ある種問題作といっても過言ではない
    作品なので苦手な人は読む際に
    本当に注意が必要なんだよね。

    最後に出てくるある部分はもしかして…
    と思うのですよね。
    と、なると今回の一連の作品のそれは
    ある種の否定とも取れるんですよ。

    それはところどころ出てくる「象徴」
    の扱われ方でも取れるわけでしてね…

    何だろう、本多の狂い方が
    マジモンでやばかった。
    転生しているものを見据える目がね。

    明らかにそれは
    やばいことなのにねぇ…

  • この辺からホンダが老い始めて好きじゃ無い。
    ホンダはかっこよくないと嫌。

  • 本多ってこういう奴だったっけ?

  • 〈悲恋〉と〈自刃〉に立ち会った本多繁邦は、タイで日本人の生れ変りだと訴える幼い姫に出会う。壮麗な猥雑の世界に生の源泉を探る。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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