ビルマの竪琴 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101078014

感想・レビュー・書評

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  • 小学2年生のときに、図書の本で借りた。
    戦争は絶対いけないことだと思った。

  • 小学生の頃に何度も読んだ記憶がある。
    戦地で命を絶つ人を馬鹿にする風潮があった中でこれを書くのはとっても格好良い。水島のこれが日本人らしさなのかもなあって思う。厭世的な雰囲気等、とってもミャンマーに興味を持って行ってみたくなる。戦争の恐ろしさとかよりも、人間の崇高な部分に惹かれ、特に外国人が戦死した日本人を弔うのが好き。児童書だからだろうけど嫌な人が出てこなくて、小さい頃はこんな人になりたいって何度も読んだのだったと思う。

  • 南方から帰ってきた傷痍軍人で溢れ、焼け野原が残るーそんな時代にこの本は書かれた。
    当時の日本は、復興という明るい使命感に燃えるものの、戦中から一転、戦争を絶対悪と見なし、戦争に対して、また戦争に関わったものたちに対して、冷静な分析をするものがいなかった。亡き者たちを英霊などと言って語っては、戦争賛美になってしまう。多くの人が死にすぎたからこそ、戦争の惨状を過去の遺物として、なきものとして、葬ることを選んだーーー
    しかしそんな中、竹山氏は「鎮魂」というテーマで、あえて児童書という形を取って書き上げた。おそらく、この本に救われた元軍人や残された家族は多かったのではないだろうか。遺骨も見ることなく、遠い異国で家族や友人は死んだと言われた人々の悲痛な叫びは、水島一等兵が語ってくれている。

    この本の舞台、ビルマ(現ミャンマー)側からの戦争の追憶も読まねばならないとも思う。戦争に巻き込まれ、多くの犠牲を出した国は日本だけではない。インパール作戦で巻き込まれた人々の数は知れない...

    戦争の追憶を忘れずに、霊に敬意を払う。それは新たな戦争のためではなく、今後こんな悲惨なことがないように祈るため。文学人であり、批評家でもあり、また戦後各方面の人間(東京裁判のレーリング判事なども!)との交流のあった竹山氏の書を読んで、改めてそう思わされた。

  • 軍人と僧侶、文明国日本と未開のビルマ。この対比により、人間としてどうなることが幸せなのか、何が世の中を幸せに導くのかを、ビルマで終戦を迎えた日本兵が考える。
    ビルマが未開か、(戦争をしている)日本が野蛮か。
    文明の利器を持っていても、肝心のそれを使う人間の心が野蛮ではないのか。

    あとがきに、戦中の葬儀の話が書かれているが、この頃、南方で亡くなった隊員の葬儀には遺骨も遺髪も何もないこともあったようだ。こういった事実を読むと、水島が僧となり、日本にも帰れず、供養もされず異国の地に埋まっている日本兵を供養してまわらなければと決心したこともうなづける気がする。



  • 戦争を描きつつ、サスペンスの要素もあり、未開の地を訪れるおもしろさもあり、オレンジの衣をまとった僧が肩に青いインコを乗せるという、ビジュアル的なおもしろさもあり。全体を通じて戦争への批判と、平和への願いと、若くして亡くなっていったひとたちへの強い追悼の思いが流れている。いくつもの複合された味わい、けれど分かりやすい、そしてとても後味のやさしい良書。

  • 敬体で綴られているからか
    透明感のある印象を持ちました

    第三話では、謎が解明され、
    さらにテーマ性がぐんと前に出てきて
    読み応えがありました

    人食人種のくだりが残念です

  • やはり心温まる名著。こみ上げる尿意も構わず一気に読み通す。戦場で歌う唱歌が敵方の民謡であるという、見えないつながり。「野蛮」と言われる土着の民と接することによって気づかされる、「文明」の中に潜む野蛮、あるいは“方向性の相違”。これらから、国家主義の表出である戦争は、自らの死に直面する行為であると同時に、異文化に住む生身の人間と対面する行為なのだということを改めて感じさせられる。「戦後の日本人はどちらの方向に、どのように生きていくのだ?」という、この小説のメッセージ性は、現在の日本にも(つねに)突きつけられているように思えた。

  • 戦争の記憶や残像が生々しい戦後の混乱・混沌の真っ只中、子供向けの童話として世の中に出た「ビルマの竪琴」。作者は何を子供に伝えたかったのか。まず1つ目は天命、いわゆる天がその人に与えた使命についてである。人がその天命に気づいて覚悟を持って行動に移せるか否か。周囲や世相の動きに流されることなく、自分の意思を貫くことができるかどうかということ。2つ目は芸術ーこの本では竪琴ーが人に与える影響力について考えることができるかということ。3つ目は思索について。自分のあり方や人生についてまた他者への思いについて深く広く考え、思いにふけることの意義。少なくともこの3つが私に強く伝わってきた。子供向けの雑誌に連載されたが、戦後80年近く経った現代でも世代を問わず名作として愛されている一冊であることは間違いないと思う。

  • 戦争という陰惨なテーマでありながら、主人公水島が、生きる上で本当に大切なことは何なのか、苦悩し考える。
    生死が分からなくなった水島が一体何をしていたのかは、最後の手紙でしか知らされないが、死に近づいた生活をしていたからこそ感じることが出来る何かがあるに違いない。

  • 戦地で亡くなった方への弔いの思いを書いた物語。
    かなり前に観た映画を小説で読みたくなった。

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著者プロフィール

竹山道雄(たけやま・みちお 1903-84)
1903~1984年。1920年旧制第一高等学校入学、1923年東京帝国大学文学部入学、1926年東京帝国大学卒業後、一高の講師となる。20代でベルリン、パリに計3年間留学、帰国後、一高の教授となる。1948年『ビルマの竪琴』(中央公論社)を刊行、毎日出版文化賞を受賞(以後、二度に渡り映画化される)。1950年一高廃止と共にその後身の東京大学教養学部の教授となるが、翌年には辞し、文筆に専念する。『新潮』『芸術新潮』『心』『自由』などを舞台に、「見て・感じて・考える」を根本姿勢とし、時代の風潮に流れない執筆活動を続ける。著書は『古都遍歴』『昭和の精神史』『まぼろしと真実』『剣と十字架』など、芸術論から時論、紀行文など幅広く、ニーチェ『ツァラトストラかく語りき』『善悪の彼岸』イプセン『人形の家』ゲーテ『若きヱルテルの悩み』など優れた翻訳も残す。1983年『竹山道雄著作集』全8巻刊行。

「2017年 『主役としての近代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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