- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101078014
感想・レビュー・書評
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「文学作品」として有名なこの話。
実は「児童文学」だったんです・・・!
時代は日本が敗戦に向かって、一直線だったころ、ビルマの密林の中を逃げまどう1小隊がいた。
その中にいた、竪琴を弾くのがとても上手な水島上等兵が、ある任務中に姿を消し、消息がわからなくなってしまう。
やがて、日本は負け、この小隊の隊員たちは、捕虜兵として、収容所で労役に服すことになるが、そこに、水島そっくりなビルマ僧が現れる。
しかし、僧は隊員たちが話しかけても、何の反応も示さない。この僧は本当に水島なのか。それとも・・・。
3部構成になっており、最後にすべての謎が明かされる、ちょっとしたミステリーになっている。
この作品のすばらしいところは、まず、書かれている日本語がすごく美しいことだと思う。
対象が「児童」のせいもあると思うが、本当に昭和21年に書かれたのか、と疑いたくなるほどよみやすくきれいな日本語で書いてある。
久しぶりに日本語を「堪能」した気分になった。
また、水島を心配する隊員と、その心配を十分にわかっていて、それに応えたいと思いつつも、あえて自分の信念を貫き通す水島との友情も、心をうつ。
実は、この本、15年ほど前に母親から「おもしろいから読んでごらん」と言われていた本だった。その時は「あんな貧乏くさそうな本、誰が読むかい」などと思っていたが、今思えば大バカでした。読んどきゃよかったな~。
でも、あの頃読んだんじゃ、今と感想も違ってたかもしれないけど。
しかし。昔の子はすごいね~。
こういう本を「児童」が読んでたんだから。
改めて、現代の子ども達が触れている本との程度の格差を感じてしまった。もっとも、本に触れてすらいない子が大半だとは思うけど。
こういう本をたくさん読んで育った子だから、今の日本を作ることができたんだなあ。 -
ビルマの竪琴(1)」 竹山道雄 仲村トオル 仲村トオルさんの朗読と、大島ミチルさんの音楽とで、戦争への反省と平和の希求を。第二次大戦のビルマの戦場で、水島上等兵は伝令の役を買ってでかけたまま、部隊に戻らない・・・。
「ビルマの竪琴(2)」 竹山道雄 仲村トオル 仲村トオルさんの朗読で。太平洋戦争の一つの激戦地にまつわる悲しい物語を。僧侶となった水島上等兵は祖国に帰らず、戦死した同胞を弔うことにする。 -
図書館徘徊中に出会う
原作があったこと初めて知る。
読んでさらに驚き!児童向けだったんだ。
平易な文体で書かれていて読みやすい。しかも考えさせられる。 -
読書感想文を書きました。お父さんにも読むようにすすめました。
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ギャンブルは引き際が肝心であると言われるが
その見極めは難しい
席を離れたパチンコ台の、次の客が大当たりを出すという現象は
珍しくないもののようである
資金さえ豊富ならば、「勝つまで粘る」戦術も有効であろうが
まあだいたいはカモにされて終わるだろう
あえて戦争とギャンブルを同じに論ずるが
大戦中の日本が掲げた「玉砕」というスローガンなどまさに
「勝つまで粘る」戦法の悪いお手本と言える
すっからかんになっても負けを認めず
自分の命まで賭けてしまうような
ギャンブル中毒ここに極まれりとも言うべきやり方である
…しかし、お金のやり取りにすぎないギャンブルと
ハナっから人命のやり取りをする戦争じゃ
勝負の重みが違いすぎるというのも、また確かなことだ
いやあ負けた、お強うございますなあ旦那とか言って
退散するようじゃ良心がない
死んでいった者の無念に申し訳がたたない
遺族にも顔向けができず、日陰に石を投げられる
だからつまり、このことからわかるように
戦争を継続する意志とは、戦う者の良心なのだ
良心が人を死地に向かわせるのだ
おそろしいことである
もしそれが、キレイゴトを盾に取った同調圧力であるとわかっていても
まったく同じことだ、同調圧力にそむくものは
同調圧力の報復におびえなくてはならないのだから
だから、殺し合いの真っただ中にある人々に
降伏をすすめることは難しい
そもそも自分を殺しにきている人間の言うことが信じられるわけはないし
それに加えて仲間同士に蔓延した、抜け駆けを許さない相互監視の目
同調圧力による束縛があるからだ
まさにそのような状態にある同胞たちを
なんとか説得しようと水島上等兵のとった手段は
一つのギャンブルだった
単なる臆病心で敵に寝返ったのではないと示すために
みずから飛んでくる銃弾の前に立ったのである
結果的に、この方法が成功して
同胞たちは白旗をあげるのだけど
それによって裏切られたものも、確かに存在するだろう
幸か不幸か、水島じしんここで死ねなかったことが
彼のその後の選択に大きく影響しているのではないだろうか -
ミャンマーの船旅に
作者はミャンマーに行ったことはないようですが風景の描写などでこれまでの道中を彷彿させるものがあり、不思議と違和感は感じませんでした。
日本人戦没者の墓参りもでき、今昔に思いをはせる良い旅になりました。 -
京都女子大学図書館での請求番号は[N909/Ta68]です。
「まちがった戦争とはいえ、それにひきだされて死んだ若い人たちに何の罪がありましょう」
戦争で命を落とした同志を弔うためにビルマに残ることを決めた一人の兵士。ビルマの竪琴とは、何を意味するのか。子供向けの作品ですが、大きくなった今読むと胸に迫るものがあります。 -
ビルマの風景に癒され、音楽の力というべきか、国境を越えた共感に感動を覚えた。筆者がビルマに一度も行ったことがなく、ほぼ完全なるフィクションと聞いて少なからずショックを受けたが…
素晴らしい作品です。