ビルマの竪琴 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101078014

感想・レビュー・書評

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  • ビルマの戦線で戦う日本軍の中に、よく合唱をする部隊があった。その部隊の隊長は元音楽の先生で、部隊の中には竪琴の上手い水島という上等兵がいた。
    音楽をきっかけに、既に停戦状態であることをイギリス兵から知ることとなった部隊は、別の場所で未だ交戦中の日本軍にこの事実を伝えるため、水島一人を送り出す。
    残りの隊員はビルマの地で捕虜となり水島の帰りを待つが、一向に戻ってこない。そんな時、ビルマの町中で水島によく似たビルマ僧を見かけるようになり。。隊員たちはあの手この手で、水島本人であるか確かめようとする。

    ようやくビルマ僧が水島であることが分かるが、水島は、各地で散った日本兵の遺骨を弔って回るため、ビルマに残ることを決意していた。

    *2014.9

  • 「文学作品」として有名なこの話。
    実は「児童文学」だったんです・・・!

    時代は日本が敗戦に向かって、一直線だったころ、ビルマの密林の中を逃げまどう1小隊がいた。
    その中にいた、竪琴を弾くのがとても上手な水島上等兵が、ある任務中に姿を消し、消息がわからなくなってしまう。
    やがて、日本は負け、この小隊の隊員たちは、捕虜兵として、収容所で労役に服すことになるが、そこに、水島そっくりなビルマ僧が現れる。
    しかし、僧は隊員たちが話しかけても、何の反応も示さない。この僧は本当に水島なのか。それとも・・・。

    3部構成になっており、最後にすべての謎が明かされる、ちょっとしたミステリーになっている。

    この作品のすばらしいところは、まず、書かれている日本語がすごく美しいことだと思う。

    対象が「児童」のせいもあると思うが、本当に昭和21年に書かれたのか、と疑いたくなるほどよみやすくきれいな日本語で書いてある。

    久しぶりに日本語を「堪能」した気分になった。

    また、水島を心配する隊員と、その心配を十分にわかっていて、それに応えたいと思いつつも、あえて自分の信念を貫き通す水島との友情も、心をうつ。

    実は、この本、15年ほど前に母親から「おもしろいから読んでごらん」と言われていた本だった。その時は「あんな貧乏くさそうな本、誰が読むかい」などと思っていたが、今思えば大バカでした。読んどきゃよかったな~。

    でも、あの頃読んだんじゃ、今と感想も違ってたかもしれないけど。

    しかし。昔の子はすごいね~。
    こういう本を「児童」が読んでたんだから。

    改めて、現代の子ども達が触れている本との程度の格差を感じてしまった。もっとも、本に触れてすらいない子が大半だとは思うけど。

    こういう本をたくさん読んで育った子だから、今の日本を作ることができたんだなあ。

  • ビルマの竪琴(1)」 竹山道雄 仲村トオル 仲村トオルさんの朗読と、大島ミチルさんの音楽とで、戦争への反省と平和の希求を。第二次大戦のビルマの戦場で、水島上等兵は伝令の役を買ってでかけたまま、部隊に戻らない・・・。

    「ビルマの竪琴(2)」 竹山道雄 仲村トオル 仲村トオルさんの朗読で。太平洋戦争の一つの激戦地にまつわる悲しい物語を。僧侶となった水島上等兵は祖国に帰らず、戦死した同胞を弔うことにする。

  •  
    ── 竹山 道雄《ビルマの竪琴 19590417 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101078017
    ── 竹山 道雄《ビルマの竪琴 19470300-19480200 赤とんぼ 1948‥‥ 中央公論社》
     
    http://booklog.jp/search?keyword=%E3%80%8A%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%81%AE%E7%AB%AA%E7%90%B4&service_id=1&index=All
     
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A5%D3%A5%EB%A5%DE%A4%CE%C3%A8%B6%D7
     
    ── 市川 崑・監督《ビルマの竪琴 19560121 日活》三国 連太郎&安井 昌二/第一部
    ── 市川 崑・監督《ビルマの竪琴 19560212 日活》三国 連太郎&安井 昌二/第二部
    ── 市川 崑・監督《ビルマの竪琴 19850720 東宝》石坂 浩二&中井 貴一
     
    http://www.jmdb.ne.jp/cgi-bin/search.cgi?query=%2Btitle:%a5%d3%a5%eb%a5%de%a4%ce%c3%a8%b6%d7&whence=0&max=100&result=normal&sort=score
     
     中井貴一さん、石坂浩二さんらが出演している映画「ビルマの竪琴」
    は今から何年前に撮影された映画ですか? 詳しい方教えて下さい。
    http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10138897025
     
    (20141201 14:35:31)
     

  • 図書館徘徊中に出会う
    原作があったこと初めて知る。
    読んでさらに驚き!児童向けだったんだ。

    平易な文体で書かれていて読みやすい。しかも考えさせられる。

  • 読書感想文を書きました。お父さんにも読むようにすすめました。

  • ギャンブルは引き際が肝心であると言われるが
    その見極めは難しい
    席を離れたパチンコ台の、次の客が大当たりを出すという現象は
    珍しくないもののようである
    資金さえ豊富ならば、「勝つまで粘る」戦術も有効であろうが
    まあだいたいはカモにされて終わるだろう
    あえて戦争とギャンブルを同じに論ずるが
    大戦中の日本が掲げた「玉砕」というスローガンなどまさに
    「勝つまで粘る」戦法の悪いお手本と言える
    すっからかんになっても負けを認めず
    自分の命まで賭けてしまうような
    ギャンブル中毒ここに極まれりとも言うべきやり方である

    …しかし、お金のやり取りにすぎないギャンブルと
    ハナっから人命のやり取りをする戦争じゃ
    勝負の重みが違いすぎるというのも、また確かなことだ
    いやあ負けた、お強うございますなあ旦那とか言って
    退散するようじゃ良心がない
    死んでいった者の無念に申し訳がたたない
    遺族にも顔向けができず、日陰に石を投げられる
    だからつまり、このことからわかるように
    戦争を継続する意志とは、戦う者の良心なのだ
    良心が人を死地に向かわせるのだ
    おそろしいことである
    もしそれが、キレイゴトを盾に取った同調圧力であるとわかっていても
    まったく同じことだ、同調圧力にそむくものは
    同調圧力の報復におびえなくてはならないのだから

    だから、殺し合いの真っただ中にある人々に
    降伏をすすめることは難しい
    そもそも自分を殺しにきている人間の言うことが信じられるわけはないし
    それに加えて仲間同士に蔓延した、抜け駆けを許さない相互監視の目
    同調圧力による束縛があるからだ

    まさにそのような状態にある同胞たちを
    なんとか説得しようと水島上等兵のとった手段は
    一つのギャンブルだった
    単なる臆病心で敵に寝返ったのではないと示すために
    みずから飛んでくる銃弾の前に立ったのである
    結果的に、この方法が成功して
    同胞たちは白旗をあげるのだけど
    それによって裏切られたものも、確かに存在するだろう
    幸か不幸か、水島じしんここで死ねなかったことが
    彼のその後の選択に大きく影響しているのではないだろうか

  • ミャンマーの船旅に

    作者はミャンマーに行ったことはないようですが風景の描写などでこれまでの道中を彷彿させるものがあり、不思議と違和感は感じませんでした。

    日本人戦没者の墓参りもでき、今昔に思いをはせる良い旅になりました。

  • 京都女子大学図書館での請求番号は[N909/Ta68]です。

    「まちがった戦争とはいえ、それにひきだされて死んだ若い人たちに何の罪がありましょう」
    戦争で命を落とした同志を弔うためにビルマに残ることを決めた一人の兵士。ビルマの竪琴とは、何を意味するのか。子供向けの作品ですが、大きくなった今読むと胸に迫るものがあります。

  • ビルマの風景に癒され、音楽の力というべきか、国境を越えた共感に感動を覚えた。筆者がビルマに一度も行ったことがなく、ほぼ完全なるフィクションと聞いて少なからずショックを受けたが…
    素晴らしい作品です。

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著者プロフィール

竹山道雄(たけやま・みちお 1903-84)
1903~1984年。1920年旧制第一高等学校入学、1923年東京帝国大学文学部入学、1926年東京帝国大学卒業後、一高の講師となる。20代でベルリン、パリに計3年間留学、帰国後、一高の教授となる。1948年『ビルマの竪琴』(中央公論社)を刊行、毎日出版文化賞を受賞(以後、二度に渡り映画化される)。1950年一高廃止と共にその後身の東京大学教養学部の教授となるが、翌年には辞し、文筆に専念する。『新潮』『芸術新潮』『心』『自由』などを舞台に、「見て・感じて・考える」を根本姿勢とし、時代の風潮に流れない執筆活動を続ける。著書は『古都遍歴』『昭和の精神史』『まぼろしと真実』『剣と十字架』など、芸術論から時論、紀行文など幅広く、ニーチェ『ツァラトストラかく語りき』『善悪の彼岸』イプセン『人形の家』ゲーテ『若きヱルテルの悩み』など優れた翻訳も残す。1983年『竹山道雄著作集』全8巻刊行。

「2017年 『主役としての近代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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