- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104034
感想・レビュー・書評
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1909年、船場の呉服屋に嫁いだ多加は、家業に無関心の頼りない夫に振り回される。
義父が亡くなった後はたがが外れたように遊び歩くようになり、苦労する。
夫は芸事が好きで、多加はそれを仕事にしてはどうかと勧め、思いきって呉服屋を畳み、寄席を始める。
最初はやる気になっていたが、本来のだらしなさが復活し、また働かなくなる始末。
その後、夫は思いがけないことで死亡し、多加を最後まで苦しめる。
しかし、一人息子を抱える多加は大阪商人として、更に人生を費やして行く。
周りに何を言われようが、商売のためなら何でもやった。
昔から、やはり女性は強い。
だけど、その苦労は生半可なものでなく、時には挫けそうになる多加の気持ちを思うと泣けてくる場面も。
2019.12.30詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
夫と一緒に吉本興業を起こした吉本せいをモデルにした小説。吉本せいをモデルにしたドラマに「わろてんか」がある。
吉本せいの一代記も「わろてんか」も本作も一行で要約すれば同じになるが、中見は随分と違う。
花のれんは身代を潰した道楽旦那の道楽を商売のネタにして寄席小屋をつくり、夫婦で大きくしていく。更に夭逝した夫の跡を継ぎ小屋を大きくして言うという、大阪女将のど根性小説といったものである。
山﨑豊子の作品と言うことで読ませてくれるが、NHKが半年の朝ドラにした題材なので、この分量ではディテールが描き切れていないという気がする。ちょっと淡々とした書きぶり。まあ、簡単に読めてよいともいえる。
読んで損はない。 -
主人公の一貫して油断も隙もない姿勢に窒息するほどの緊張感で長い物語。読む方にも体力がないと読めず切なかった。
仕事、仕事の女の人生って・・。しかもそうじゃなければ成功はなかったのだろう。
ただ、この物語は主人公よりも作家の性格がかなり強く投影されてるのかと思う。実在の人物をモデルに描くフィクション小説と言うよりは主人公の身の上に起こった事実を淡々と詳らかにしていく作業を原稿用紙の上に繰り広げたものと感じる。
節約(しまつ)はするけど、心の襞を描きだせば別の瑞々しい人物像が現れるのだろう。奥に隠してるあったかい部分が。
でなければ、今の吉本興業はないと思う。
簡潔な文章で文章自体は読みやすいが、若干の恋愛感情も心に押し隠す色気のなさに☆3つ。
(図書館本) -
主人公多加の商売人魂、細やか且つ熱心な仕事ぶりに魅せられる。たまに見せる女としての一面、人間らしさ、それを振り払うようにまたも仕事に邁進する…人間の強さと弱さを見た気がした。
描写が細かすぎるのか、どうにも文と相性が悪く、入り込めなかったところがある。題材、登場人物は魅力的だが、人を選ぶ本かもしれない。 -
10
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現在放映中の「わろてんか」の原作と聞いたような気がして読んでみたが、全然違う内容なことにまず驚いた。(原作じゃないのかな?)
もしこれから同じ内容と思って読まれる方がいれば要注意。ところどころ似たエピソードも登場しますけどね。冷やし飴とか安来節とか。
こちらの女席主・多加のほうが何倍も逞しい。そして死んだ夫のダメ亭主っぷりの凄まじいこと(笑)この時代の女性は忍耐強く我慢強かったのかもしれないが、いくらなんでもこれでは「ほなもうわてがやりますわ」となるのも頷ける。
大正と昭和をど根性で力強く生き抜き、大阪の寄席興行を大きく育てた女席主。船場商人のコッテコテの大阪弁が痛快。
恋心や息子への愛も封印し、商いだけに生きた彼女が戦後間もなくに始めたのは、芸人たちの借金を棒引きにして回ること。関東大震災のエピソードにしても、彼女の芸人に対する感謝と愛情が伝わってくる。
戦後どうやって復興し、現在の吉本興行へと繋がっていくのか、この続編もあったらいいのにな。
2018/01 -
吉本興業を起こした女主人 多加の物語。女である事が、今よりずっと不利であった時代に、その才覚と根性で笑の世界でのし上がっていく。大阪弁でポンポンと物語が進んで痛快だが、ラストは悲しい。仕事に全てを賭け、好きな人と結ばれる事も諦めた。戦争の陰が大きくのしかかり、全てを失ってしまう。その後が知りたい。
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最初は面白かったんだけど。
うーん -
P319
直木賞 受賞作品 -
20160416
徹底的に商いに全てをかける姿はなかなか真似できるものではない…。。