- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104034
感想・レビュー・書評
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吉本を作ったモデルの女性と言われる女興行師の波瀾万丈の生涯。
ダメな夫、次々降りかかる試練、時代の波、その度にプライドも捨てて「ど根性」で乗り越える。
絶妙なタイミングでの商売へのお金の投資の仕方、相手との駆け引き。
さすがです。
これだけのことができないと、商売を大きくすることはできないんだ、と感心。
商売には勘とセンスが必要なんだわ。
そして、こんなにこんなに苦労して苦労して..でも最後は..
心が少し痛いせつない読後感。
吉本の芸人さんたち、頑張って!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ブギウギで興味を持ち久しぶりに山崎豊子さん。
今吉本も変わらないと行けない分岐点にいるタイミング。この時代には戻れないけど、今の時代のエンターテインメントを磨いていってほしい。 -
大阪の寄席道楽を営む女性の話。
商売魂が第一。
子どもや恋愛は、二の次。
女としての幸せ…とはなんだろう。
私、読書三昧で一生独身なんだろうか。
本好きな方と出会えたらいいのに、なんて。
落語聞きに行ってみたいな。 -
山崎豊子文学忌 1942.1.2〜2013.9.29 豊子忌
直木賞受賞作
大阪商人の気迫と根性で大阪一の興行師となった女性の一代記。
主人公の多加は、吉本興行の創業者・吉本せい。
愛人の上で死んだ夫の借金を背負うマイナスからのスタート。そこから、創意と工夫と根回し。そして、気配り、心付け。使うところには、惜しまず使い、興行でしっかり稼ぐ。
次々と繰り出される興行は、安来節の芸能化、真打落語家への采配、漫才への変革と、大阪の芸能の歴史の一端を担っていた様。
東京空襲の後、大阪から人を雇い毛布や食料を運び、落語家への見舞いに回るなど、思いたったら、行動しないと気がすまない。
最後は戦争により、多くのものを奪われたけれど、やり切った人と読みました。
素晴らしい女性だけれど、読んでて息苦しくなる程の仕事への情熱。ろくでなしの夫を白装束で送る意味はあったのか。ロマンスになりかけた男性に未練はなかったのか。一人息子とも気持ちは離れたまま。
痛快で、清々しくて、少し物悲しいさが残る女傑物語。 -
大好きな作家さん、山崎豊子の小説を図書館で。
この本は初期のころの本で、まだ読んだことがなかったです。
山崎さんの本は何から何までレビューを書けている訳ではないですが、
自分の中ではテッパン小説の一つです。
うまく言えませんが、「艶(つや)」のある文章なんですよね。
読みながら、吉本興業の劇場運営っぽい話だなぁ…と
思いながら読んでいましたが、
あとがきの解説によるとまさに吉本がモデルのようです。
書き言葉が古いので、ちょっと読み辛いところもあるかもしれませんが、
丁寧に取材を重ねたと思われるトピックが
小説の中に散らばっており、とても面白いです。
インターネットが普及した今の時代では考えられないですが、
昔は東京と大阪も文化が異なり、
ある意味違う世界だったんだなぁ…というのが、
本を読みながら感慨深かったです。
(確かに、お笑いの世界でも「東京進出」みたいな
言い方をすることもありますしね。。)
※運命の人(一)~(四)
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4167556065#comment
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4167556073#comment
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4167556081#comment
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/416755609X#comment
※女系家族〈上〉〈下〉
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/410110431X#comment
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4101104328#comment
※暖簾
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4101104018#comment -
2021/4/27 読了
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最近、豊子先生が読みたくて。
同じ女としてこんだけ仕事に力入れてみたい気持ちも分からなくもないが、何か寂しさが付き纏う。
この時代にこんだけの商いの才があるのはすごいことだけどさ。 -
1909年、船場の呉服屋に嫁いだ多加は、家業に無関心の頼りない夫に振り回される。
義父が亡くなった後はたがが外れたように遊び歩くようになり、苦労する。
夫は芸事が好きで、多加はそれを仕事にしてはどうかと勧め、思いきって呉服屋を畳み、寄席を始める。
最初はやる気になっていたが、本来のだらしなさが復活し、また働かなくなる始末。
その後、夫は思いがけないことで死亡し、多加を最後まで苦しめる。
しかし、一人息子を抱える多加は大阪商人として、更に人生を費やして行く。
周りに何を言われようが、商売のためなら何でもやった。
昔から、やはり女性は強い。
だけど、その苦労は生半可なものでなく、時には挫けそうになる多加の気持ちを思うと泣けてくる場面も。
2019.12.30 -
山崎豊子
お笑い界の超モンスターマネジメント会社である吉本興業の創業者がモデルになってます。同じく吉本興業の創業者がモデルになった朝ドラ「わろてんか」の原作、、、にはなってないのかな?
でもまぁ、同じような歴史をたどってますので主人公の多加の喋りは全て葵わかなが頭に浮かびます(笑
何も知らない船場のこいさんが頼んない旦那に嫁いだためにすんげぇやり手になって寄席を大きくしていったってお話。
春団治やエンタツ・アチャコが実名で登場してる、、、
こんな船場言葉いまどき誰も喋らないけど、やっぱり大阪人にとっては心地いい(って字面眺めてるだけやけど)
とこれは多加のお話で実際の吉本の創業者は船場のこいさんではなく、船場に嫁いできたってことかな?旦那さんも働き者やったし、、ここら辺は史実とは違う。
山崎豊子自身が船場のこいさんだったので初期のお話は大阪が舞台になってるのが多いですよね。
やわらかい船場言葉でどぎつい商売をするってところがきっとポイントなんでしょう。 -
夫と一緒に吉本興業を起こした吉本せいをモデルにした小説。吉本せいをモデルにしたドラマに「わろてんか」がある。
吉本せいの一代記も「わろてんか」も本作も一行で要約すれば同じになるが、中見は随分と違う。
花のれんは身代を潰した道楽旦那の道楽を商売のネタにして寄席小屋をつくり、夫婦で大きくしていく。更に夭逝した夫の跡を継ぎ小屋を大きくして言うという、大阪女将のど根性小説といったものである。
山﨑豊子の作品と言うことで読ませてくれるが、NHKが半年の朝ドラにした題材なので、この分量ではディテールが描き切れていないという気がする。ちょっと淡々とした書きぶり。まあ、簡単に読めてよいともいえる。
読んで損はない。